「匿名アーティスト」「芸術テロリスト」として知られるバンクシーとは一体何者なのか?
彼が世界に衝撃を与え続ける作品の数々にはどのような意味が込められているのか。
なぜ彼は捕まらないのか。
バンクシーに対しての数々の疑問を紐解きます。また、話題の「風船と少女」から日本で見られるバンクシーの作品まで様々な作品を紹介します。
この記事を見ればバンクシーの作品をもっと知りたくなるはずです!
1.バンクシーとは一体どんな人?
バンクシーは本名、顔、などプロフィールが謎に包まれている匿名のアーティストです。
個人なのか団体なのかすらもわかっていません。
公表されていることは出身がイングランド南西部ブリストルで1974年生まれということだけです。
1990年代から故郷のブリストルで活動を始め、現在はロンドンを中心に世界中で活動しています。
街中にある壁などの公共物にメッセージ性の強い作品を無許可で残すなどゲリラ的に活動するため「芸術テロリスト」とも呼ばれています。
1-1 バンクシーのアート性
バンクシーはアート性が評価されているわけではありません。
アート性は今後何十年もかけて決まるため、現在評価が固まっている状況ではないのです。
人気が高く高値で取引されてはいますが、20年後30年後の価値がどうなっているかはわかりません。
1-2.現存アーティストの中でトップの売り上げ
バンクシーは2021年上半期のオークション落札額ランキングで、現存アーティストの中で約136億1892万円とトップを記録しています。
高額落札でも有名なバンクシーの作品ですが、アンジェリーナジョリー・ブラッドピットなど著名人もバンクシーの作品を購入しています。
2人が購入した作品の総額は4,000万円らしいですね!
1-3.バンクシーが有名になった2つのできごと
バンクシーが有名になった出来事はいくつもありますが、ここでは2つ紹介します!
- ゲリラ的活動
- シュレッダー事件
次項で各詳細を解説します。
1-2-1.ゲリラ的活動
バンクシーはゲリラ的活動で数々の作品を発表してきました。
例えば数々の有名な美術館に無断で作品を展示してきました。
大英博物館で無断に展示した作品は三日間、職員、お客さんに気づかれずに展示されました。
その後正式にエキシビジョンで展示されたのです。無許可で展示された作品が正式に展示されるのは面白いですね!
・ルーブル美術館(フランス) – 「Monα Lisa Smile」
・大英博物館(イギリス)-「Peckham Rock」
そのほかにも2013年10月1日にNYで突如展示を開始しました。
1ヶ月間、毎日1作品をNYのどこかで発表し続けました。
この企画はドキュメンタリー映画「BANKSY Does New York」にもなっています。ぜひ見てみてください!
1-2-2.シュレッダー事件
この事件は2018年に起こったので記憶に新しい方も多いのではないのでしょうか。
シュレッダー事件は『風船と少女』が落札した後、遠隔操作によって額縁内にあるシュレッダーが作動し、作品の半分が縦に切断されてしまった事件です。
バンクシーは絵を全て切断する予定でしたが、うまく作動せず半分まで切断された形になってしまいました。
オークションを主催したサザビーズは「美術史においてライブ・オークション中に作られた初の作品である」と発表しました。高額化するオークションに一石を投じるバンクシーらしい事件ですね。
1-3 バンクシーはなぜ捕まらない?
日本では無許可で落書きをすると軽犯罪法違反や器物損壊等罪、建造物等損壊罪などの罪に問われます。
海外でももちろん罪に問われてしまいます。
法律上ではバンクシーは法を犯していますが、彼が捕まらない理由は「見つかる前に作品を完成させる」ことにあります。
バンクシーが作品を残す時はグループで動いている可能性が高いことは以前から言われており見張りやアシスタントをおいて、周囲を警戒しながら瞬時に作品を完成させる制作体制があるのでしょう。
2. バンクシーの作品が評価されている理由
ストリートアートはバンクシーが有名になる前からあったアートのジャンルではありますが、無断で街中に落書きする犯罪であったため、公式には評価されてきませんでした。
このジャンルをジャーナリズムの一種として押し上げ、価値のあるものにした点で高く評価を受けています。
3. バンクシーの5つの代表作品とその意味
神出鬼没の覆面アーティスト「バンクシー」。
一体どのような作品を描くのでしょうか?
この章では彼の代表作とその意味を5つほど紹介します。
- The Flower Thrower
- 風船と少女
- スープ缶
- ゲームチェンジャー
- Laugh now, but one day we’ll be in charge.
次項で各作品を詳しく解説します。
3-1 The Flower Thrower
「愛は空中に(Love Is in The Air)」としても知られる作品です。
この作品は2003年にパレスチナとイスラエルの分離壁近くにあるガソリンスタンドに描かれました。
石ではなく、花束をイスラエル側に投げようとするパレスチナ人の若者は、暴力や武力ではなく平和で解決しようという意味が込められています。
パレスチナにはこの作品以外にも多くの彼の作品が存在します。
また、彼が手がけたホテルもあり、「世界一眺めの悪いホテル」として有名です。
壁画の他にもシルクスクリーンなど様々な媒体に描かれ、バンクシー唯一の公式作品集「Wall and Piece」の表紙にも描かれています。
この作品に対するバンクシーの強い思いが伝わってきますね。
3-2 風船と少女
『風船と少女』は少女が赤いハートの形をした風船に向かって手を伸ばしている様子が描かれた作品のシリーズです。
少女の手から風船が離れてしまっているのか、少女が空にある風船を掴もうとしているのか、見る人によって解釈が変わる作品です。
この作品シリーズも大変人気のシリーズになっています。
現在は残っていないのですが、『風船と少女』シリーズ1作目はロンドン南部にあるテムズ川沿いの壁に壁画として描かれたのが始まりです。
シリア内戦が始まってから3年がたった2014年にはシリア人の少女の描いた「風船と少女」を発表し世界中で大きな反響を呼びました。
以前から有名で人気の高かったこの作品を一躍注目の的にしたのは先ほど紹介したシュレッダー事件ではないでしょうか?
この作品はのちにバンクシー本人によって『Love is in the bin(愛はゴミ箱に)』と名付けられ、再びオークションに出品されました。約29億円で落札され、この金額は前回の落札額の約17倍と大幅に価値が上昇した結果です。
「風船と少女」については当サイトの他ページで詳しく紹介しています。
ぜひそちらをご覧下さい!
3-3 スープ缶
アンディ・ウォーホルの代表作「キャンベルスープ」によく似たこの作品は2005年にバンクシーが無断でニューヨーク近代美術館に展示した作品です。
その後6日間、誰にも気づかれずに展示され続けました。
このスープ缶はイギリスの大手スーパーマーケット「テスコ」のオリジナルブランドの商品。
地元産業を脅かす大企業への批判が込められていると考えられています。
青色以外にも様々なカラーバリエーションがあります。
3-4 ゲームチェンジャー
こちらの作品はコロナウイルスによるロックダウン真っ只中の2020年5月7日に発表されました。
新型コロナウィルスの最前線で命をかけて働く医療従事者の方々を称え、イギリス南部にあるサウサンプトン総合病院に寄贈されました。
小さな男の子がスーパーマンのようなマントをつけた看護師のおもちゃで遊んでいます。
その横にはカゴに入った遊ばれなくなったバットマンとスパイダーマンのおもちゃが入っています。
この作品は何を表しているのでしょうか。
ただ医療従事者を称えているだけではないように思えてきますね。
看護師は新しいヒーローとして扱われ、前のヒーローたちは使われなくなって忘れられてしまう。
いつか看護師もそのような存在として忘れ去られてしまうのではないか。
ヒーローとして商業化することに警鐘を鳴らしているようにも思います。
3-5 Laugh now, but one day we’ll be in charge.
盲目の猿が首から「Laugh now, but one day we’ll be in charge.(今は笑うがいい、もうすぐ俺たちの出番が来る)」と書かれたボードを首にかけています。
2002年にイギリスにあるナイトクラブに依頼されて描いたもので、当時はまだ無名の画家でした。
意味深なメッセージが書かれていて、バンクシーは何を伝えたかったのか考えてしまいます。
4.日本にもバンクシーの作品が…?!
2019年小池都知事のTwitterで一躍話題になったのが傘を持ったネズミの作品。
この作品は東京都港区の防波堤で発見されました。
この発表の前日に東京都が撤去してしまいましたが、現在は日の出ふ頭2号船客待合所で公開されているそうです。
この作品がバンクシーの作品だという断定はできません。
しかし、バンクシーが2002年に日本に訪れている点、このネズミの作品がバンクシーが2000年前半によく描いていた作品だという点から本物ではないかと言われています。
また、バンクシーの公式HPが出している写真の中に東京都で見つかったネズミそっくりの作品もあるのです!
もちろん、17年前の作品が今まで見つからないのはおかしいのではないかといった意見もあります。
ですが、日本にバンクシーがきて、作品を残していったかもしれないと考えるだけでワクワクしますね!
5.バンクシーの正体について
ここまで紹介して気になるのは「バンクシーの正体」です。
残念ながらバンクシーの正体は未だはっきりしていないものの、2名ほど「バンクシーの正体なのでは?」と噂されている人物がいますので紹介します。
- ロビン・ガニンガム
- 3D
ロビン・ガニンガムとはブリストル出身の男性で最も有力とされている人物です。
ただ本人が認めていないので100%の保証はありません。
人口46万人と小さなブリストルにとってヒーローである「バンクシー」という存在を街ぐるみで守っているのかもしれませんね。
3Dとはブリストルのグラフィティ文化のパイオニア的存在です。
3Dは「マッシヴ・アタック」というミュージックグループを結成しバンクシーの活動に接近したり政治的意味あいもも近かったりすることから、たびたび同一人物説が浮上していました。
また、バンクシーが10歳のころはブリストルではライターとして3Dが活躍していました。
その頃ブリストル自体アメリカン・カルチャーが盛んで3Dとともに多くのライターが切磋琢磨しており、バンクシーも自ずと興味を持つようになりました。
以上の背景から彼の街のグラフティ文化のパイオニア的存在である3Dが同一人物説も浮上していますが真相は未だわからずです。
6.バンクシーの本物の作品はウェブサイトで購入できるの?
バンクシーに興味をもったら作品を購入できるのか気になりますよね。
日本で開催されたバンクシー展で販売されている作品はどれも非公式・非公認のものなので注意しましょう。
また、ネットで調べると彼の作品らしきものが数千円から数万円の低価格で出てきますが、彼の作品はその程度の値段では購入できません。
必ず以下の項目をチェックしてください。
- サインまたはエディションナンバーがあるか
- 同じ作品でも制作年が違う場合がある
- 本物はペストコントロールで確認
- COAが付属する作品は本物のバンクシー作品
もしバンクシーの作品を購入したいのなら私としては「WCP(WEST COUNTRY PRINCE)」がおすすめです。
WCPでは、バンクシーのオリジナル作品をシルクスクリーン技法で複製したリプロダクション作品を制作しています。
WCPはペストコントロールからは認可を受けていませんが、シルクスクリーンの技術が高く、リプロダクション制作が許可されている信頼できる機関です。
バンクシーの作品販売についてもっと知りたい方はこちらの記事も合わせて御覧ください。
7.まとめ
今回はバンクシーについてまとめてみました。
バンクシー自身が一体誰なのかわからない匿名のアーティストだからこそ神秘的で惹きつけられるような気がします。
作品にそれぞれに強いメッセージが込められ、ただの落書きで終わらない、社会的インパクトを与えるのも魅力の一つですね。
バンクシー自身のHPやinstagramもあるので要チェックです!また彼が手がけているパレスチナのホテルは宿泊することもできます、
日本でもバンクシーの作品をみれる機会はたくさんあるのでぜひ見に行ってみてください。