保持している絵画を美しい状態で保管したいけれど、方法がわからず困っている方も多いでしょう。
今回は、絵画の適切な保管方法を解説します。
また、劣化する原因も解説するので、保管をする際の参考にしてください。
1.絵画が劣化する理由
絵画を長期保管すると、経年劣化で色が褪せたり黄色くなったりすることがあります。
絵画が劣化する主な理由として挙げられるのが、以下の2点です。
1-1.湿度
絵画を保管する上で注意しなければならない点が湿度です。
高温多湿な国である日本では、短い間でも湿度にやられカビが発生する可能性があります。
また、カビだけでなくキャンバスが伸縮してしまうリスクもあるため、湿度が高い空間は絵画の保管に適していません。
1-2.紫外線
紫外線も絵画を保管する上で避けたいもののひとつです。
日当たりの良い場所に絵画を保管すると、画材のひび割れや色褪せの原因となります。
特にアクリル絵の具で描かれた絵は退色しやすいので注意が必要です。
油絵はアクリル絵の具ほど退色しませんが、それでも長期間直射日光を浴びれば傷んでしまうため、日の当たる場所に保管しないほうが賢明でしょう。
2.絵画の適切な保管方法
いくら湿度や紫外線に気をつけたとしても、適当に保管すれば傷む可能性があります。
保管するときは、以下のステップに沿って作業をしましょう。
それぞれのステップについて詳しく解説します。
2-1.ステップ1:汚れを落とす
まず、絵画に付着している汚れを落としましょう。
特に、長らく放置していた絵画にはホコリや汚れが付着している可能性があります。
そのままにしておくと、害虫やカビの原因になる恐れがあるため、保管前に掃除しておきましょう。
ただし、絵画の表面に直接触れると、手の脂が付いてしまうので、乾いた柔らかい布や筆を使ってそっと払い落とす必要があります。
また、シミやカビが発生している場合は、専門家に相談したほうがよいでしょう。
2-2.ステップ2.額縁の手入れをする
絵画そのものだけでなく、額縁の手入れも忘れないようにしましょう。
額縁の隅にホコリが溜まっていると、そこからカビが発生する可能性があります。
また、額縁の裏や装飾部分なども見逃さないように手入れすることが大切です。
特に、金属製の額縁はサビが発生することがあるため、柔らかい布を使ってこまめに乾拭きする必要があります。
2-3.ステップ3:湿気を取る
汚れをきれいに落としたら、絵画の湿気を取ります。
湿気がこもった状態で保管すると、カビが発生するため注意しましょう。
絵画の湿気を取る際は、風通しのよい場所に一日置いておきます。
ただし、あまり長い間陰干しをすると、表面がひび割れる可能性があるため、乾燥のしすぎにも注意が必要です。
2-3.ステップ4:柔らかい布で包み箱に入れる
絵画をきれいな状態に整えたら、柔らかい布で包んで箱に入れましょう。
作品の表面を守るための大切なステップです。
また、箱は通気性のよい紙製のものが向いています。
一般的な梱包用のプラスチック素材だと、短期間の梱包には適していますが、長期間保管する際は湿気がこもるため避けたほうが無難です。
2-4.ステップ5:湿度が低く日光の当たらない場所に保管する
箱に入れた絵画は、湿度が低く日光の当たらない場所に保管しましょう。
また、気温が安定していることも重要な条件です。
極端に暑くなったり寒くなったりする場所は避けましょう。
3.絵画の保管に向いている場所
前章でも触れたように、絵画を保管する際は湿度や紫外線に注意する必要があります。
理想は、気温20℃前後、湿度50〜60%程度の場所ですが、自宅で保管する場合なかなか適した場所がなく困る方も多いと思います。
その場合は、絵画を保管する部屋やクローゼットを決めて、温度・湿度計で管理する必要があります。
また、サーキュレーターや湿気取りを活用して、部屋の気温と湿度を一定に保ちましょう。
サーキュレーターがない場合は、定期的に窓を開けて風を通す方法もおすすめです。
3-1.トランクルームを活用するのもおすすめ
絵画を保管するスペースを確保できない場合や絵画の数が増えたときは、トランクルームを活用する手段もあります。
多くのトランクルームは、湿度や温度が一定に保たれており、セキュリティ面も配慮されているので安心して保管可能です。
事前に現地確認ができるケースもあるので、環境が気になる方でも問題ありません。
月額料金がかかりますが、絵画の状態を保ちながら長期間保管する上で、便利な方法といえるでしょう。
4.絵画を保管する際の注意点
絵画を保管する際に注意する点は、湿度や温度、紫外線だけではありません。
より安全に保管するために、以下の方法に注意しましょう。
4-1.立てかけておく
絵画は、必ず立てかけて保管する必要があります。
上に積み上げてしまうと、絵画の重さで下の作品に傷がつく恐れがあるためです。
4-2.十分なスペースをとる
狭いスペースに無理やり絵画を詰め込むと、絵画同士がぶつかる可能性があります。
特に、自宅で絵画を保管する場合、絵画以外のアイテムが倒れてくるような空間は避けたほうが無難です。
事前に、片付けを行い存分にスペースを広げてから絵画を保管するようにしましょう。
4-3.保管中も天日干しをする
広い空間を用意し、適度な室温と湿度を保ったからといって安心してはいけません。
長期間保管する場合、保管スペースに入れたままにしておくと、絵画が傷む可能性があります。
定期的に取り出し、風通しの良い場所で天日干しをするように心がけましょう。
5.まとめ
今回は、絵画の保管方法について解説しました。
大切な絵画は、丁寧に保管しなければ価値が下がる可能性があります。
しかし、絵画は湿度や紫外線、高温に弱く、適切なスペースの確保が欠かせません。
長く保管をするためにも、十分なスペースを確保し、定期的にメンテナンスをしましょう。
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