大岩雄典の経歴や代表作に迫る | Artis

大岩雄典の経歴や代表作に迫る

大岩雄典の代表作
出典:公式サイト https://euskeoiwa.com/works/2021/blind.html

空間を活かし、物語や言語哲学などを考察し表現する唯一無二の美術家・大岩雄典。

今回は、彼の経歴や作風を解説するとともに、代表作を紹介します。

1.大岩雄典とは

大岩雄典は、1993年に埼玉県で生まれました。

東京藝術大学大学院映像研究科博士後期課程に在籍し、インスタレーションとフィクションの考察・制作に携わっています。

もともと、言語哲学や物語論、ヴィデオ・ゲーム研究などに興味を持っていたという彼。

時空間を単なる形態としてとらえるのではなく、ゲーム的な可能性や歴史、言葉の効力などこの世界に存在するあらゆるものが織り合わせと解釈した上で、哲学・政治的な問題意識を投影させた作品を制作しています。

また、日本では珍しいインスタレーションの歴史・理論の研究家でもあり、文芸誌や美術誌などにおける執筆活動も手がけています。

1-1.大岩雄典の作風

インスタレーションは、大岩雄典にとって単なる空間の広がりではありません。

プロセスやルールが含まれており、まるでゲームのダンジョンを進むようなイメージで表現される芸術作品です。

近年は、世界中が巻き込まれた新型コロナウイルス感染症によって従来と大きく変わった空間のあり方に着目した制作も行なっています。

また、参加型インスタレーションとして、カードゲームをテーマに用いた作品も注目です。

2.大岩雄典の代表作

続いては、大岩雄典の代表作を2点紹介します。

2-1.無闇|Blind

大岩雄典の代表作

出典:公式サイト https://euskeoiwa.com/works/2021/blind.html

真っ暗にした真四角の展示室に表現された作品です。

空間の四隅に怪談話の一節を展示し、鑑賞者は灯を照らしながらそのテキストを読みます。

この作品は、サミュエル・ベケットの戯曲「クワッド」がモチーフになっており、気がつけば「クワッド」に登場する人物と同じ流れを辿る仕組みです。

暗闇が、鑑賞者全員を「盲目」の状態へと誘導し、作品への没入感を促します。

また、耳元をかすめる音声を使って構成される点もこのインスタレーションの特徴です。

2-2.バカンス

大岩雄典の代表作

出典:公式サイト
https://euskeoiwa.com/works/2020/vacances_n.html

「バカンス」は、コント漫才をモチーフにしたユニークな作品です。

豪華客船の一室をイメージした展示室になっており、「豪華客船の一室を舞台に、ある人物が『盗聴器』ならぬ『盗言器』に日々悩まされている」というセリフから始まります。

漫才の「声」が空間に合わさり、語りの中に混じる雑音をモチーフに用いている点が特徴です。

私たちが暮らす中で耳にする「音」は、実際のどこから届くのか。

私自身が発する声は、本当に私が発したのだろうか。

このような問いかけも感じられるインスタレーションです。

2-3.悪寒|Chill

悪寒|Chill

出典:ARTnews JAPAN
https://artnewsjapan.com/30artists_u35/article/8

2021年に発表された作品「悪寒|Chill」は、会場と酷似した模型を作り、それを監視カメラで撮影するというインスタレーションです。

スクリーンには撮影された模型が映し出され、鑑賞者は自分がいるはずの空間に自分がいないような錯覚に陥ります。

この不思議な作品は、批評家マーク・フィッシャーの著書「The Weird and the Eerie」がベースになっており、和訳である「ゾッとするもの」をテーマに制作されました。

3.まとめ

今回は、大岩雄典について詳しく解説しました。

ますます精力的に作品を発表するほか、執筆活動も盛んに行なっている大岩雄典。

また、オンライン講座も手がけており、多くの人が受講しています。

今後も目が離せない作家といえるでしょう。

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