各業界でデジタル化が進む昨今、アートの世界も大きく変化しつつあります。
特に、NFTが注目されるようになり、デジタルアートについて詳しく知りたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、デジタルアートに焦点を当て概要や種類を解説するとともに、デジタルアートとNFTとの違いや有名なデジタルアーティストもご紹介します。
1.デジタルアートとは
デジタルアートとは、パソコンやタブレットなどのデジタル機器を駆使して作られたアート作品です。
「デジタル芸術」や「デジ絵」と称されることもあり、近年広く浸透しています。
1-1.デジタルアートの種類
デジタルアートは、単に絵画だけを指すものではありません。
基本的には、デジタル機器を活用して作られたアート作品全てを意味するため、デジタルアートには様々な種類があります。
主なデジタルアートの種類として挙げられるのは以下のとおりです。
- デジタル絵画…水彩画や油絵をデジタル機器で描けるように適用して描かれた絵
- デジタルイラストレーション…デジタル機器を使って描かれたイラスト
- デジタル写真…デジタルカメラで撮影された写真をデジタル機器で加工した作品
- 電子音楽…電子楽器を使って作曲された音楽
- プロジェクションマッピング…立体構造物にCGを映し出す作品
- VFX(視覚効果)…映像作品にCGなどを組込み合成や加工を行って作られた作品
このように、デジタルアートは様々なデジタル機器に関するスキルを活かして創作される点が特徴です。
1-2.NFTアートとデジタルアートの違い
デジタルアートといえば、NFTアートをイメージする方も多いでしょう。
前述の通り、デジタルアートは、様々なデジタル機器を活用して創作されるアート作品です。
広い可能性を持ったデジタルアートですが、アナログな作品とは異なり簡単にコピーできてしまうというデメリットがあります。
こうしたリスクを回避するための認証技術が「NFT」です。
NFTは、「Non Fungible Token」の頭文字をとった略称で、日本語では「代替不可トークン」や「非代替性トークン」といいます。
つまり、デジタルアートに対する証明書のような役割を持っており、NFTが紐づけられたNデジタルアートが「NFTアート」です。
NFTアートは、唯一無二の作品であり、デジタルアートの価値を証明するものになります。
2.デジタルアートがなぜ高騰するのか
ビットコインやドルのように同じ価値を持つものは代替可能な資産ですが、NFTは唯一無二の価値を持つ非代替性トークンです。
NFTは、主にイーサリアムのブロックチェーンに格納されており、その上でデジタルアートを制作し、販売、再販することで価値が守られています。
NFTが登場する以前は、デジタルアートがオリジナルであることを証明できませんでした。
しかし、NFTの登場により、コピーとオリジナルとの判別ができるようになりました。
これにより、オリジナルアートを「所有」することが可能になったことが、デジタルアートに価値をもたらした大きな要因です。
2021年のNFT総取引額は世界全体で176.9億ドルとなっており、前年の215倍にまで増えています。
このように、デジタルアートの市場規模は大きく広がっており、将来性が期待されている点も高騰される理由のひとつです。
3.有名なデジタルアーティスト5選
続いては、有名なデジタルアーティストを5名紹介します。
3-1.Beeple
Beepleは、世界で最も注目されたデジタルアーティストです。
2021年3月に開催されたクリスティーズオークションにて、「EVERYDAYS: THE FIRST 5000 DAYS」が6,935万ドルで落札され、一躍有名になりました。
【Beepleの代表作】
3-2.MAD DOG JONES
MAD DOG JONESは、カナダ出身のデジタルアーティストです。
日本のアニメーションから影響を受けた作品が特徴で、非常に精密な表現力を誇っています。
200年以上の歴史を持つフィリップスオークションにて、初めて出品されたデジタルアートが彼の作品「REPLICATOR」でした。
【MAD DOG JONESの代表作】
3-3.村上隆
日本の現代アーティストといえば、村上隆をイメージする方も多いでしょう。
言わずと知れた世界的なアーティストであり、デジタルアート作品も多く発表しています。
彼の初デジタルアート作品であり、代表作ともなっている「お花」は、24×24ピクセルで表現されているのが特徴です。
煩悩の数を表す108種類作られており、1日に12作品ずつ発表され全て揃ったところでオークションがスタートするという演出が行われました。
【村上隆の代表作】
3-4.鎌田光彦
鎌田光彦は、普段は北海道札幌市の職員として働く公務員写真家です。
本業の傍ら、北海道をテーマにした風景を撮影し、まるで日本画のような作品に仕上げています。
国内外から高い評価を得ている彼の作品は、2022年4月には、NFT作品としてOpenSeaにてオークション販売が始まりました。
【鎌田光彦の代表作】
3-5.小室哲哉
デジタル音楽を手がけるアーティストとして、広く認知されている一人が小室哲哉です。
安室奈美恵やglobeといった人気アーティストの楽曲を手がけ、音楽プロデューサーとして活躍しています。
2021年10月に開催された日本最大級と謳われるデジタルクリエイティブフェス「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2021 supported by CHINTAI」のステージ上にて、NFT音楽作品を制作するパフォーマンスを行ったとして話題になりました。
4.デジタルアートを東京で体験するならチームラボがおすすめ
デジタルアートに興味があるけれど、どこに行けば体験できるか知りたいという方も多いでしょう。
東京でも各地でデジタルアートを体験できるイベントや施設が設けられています。
中でもおすすめなのがデジタルコンテンツの制作を行う「チームラボ」の作品です。
チームラボは、2001年の創業以来、アートの既成概念を変えるような作品で国内外のファンを魅了してきました。
東京・豊洲で開かれている「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」は、身体全体でデジタルアートを体験できる空間が広がっています。
5.デジタルアートを販売する6つのステップ
デジタルアートを販売するためには以下の6つのステップを踏む必要があります。
- デジタルアートを作る
- 仮想通貨取引所にアカウントを開設
- ウォレットの作成
- 仮想通貨の購入&ウォレットに入金
- マーケットプレイスにアカウントを作成
- 販売の開始
それぞれの手順について見ていきましょう。
5-1.デジタルアートを作る
まずは、デジタルアートを作る必要があります。
デジタルアートは、主に以下の方法で作ることが可能です。
- PhotoshopやIllustratorを活用して創作する
- スマホアプリを使う
- アーティストに依頼する
ドット絵が作れるアプリを活用すると、絵心がない方でも簡単にデジタルアートが作れます。
デジタルアートの作り方については、下記のページでも紹介していますのでぜひご覧ください。
5-2.仮想通貨取引所にアカウントを開設
デジタルアートが作成できたら、仮想通貨取引所にアカウントを開設しましょう。
主な仮想通貨取引所は以下のとおりです。
- コインチェック
- ビットフライヤー
- DMMビットコイン
- GMOコイン
- ビットポイント
これらの仮想通貨取引所は無料でアカウントを開設できます。
ただし、NFT販売を行う場合は、イーサリアムが必要です。
そのため、イーサリアムを取り扱っていない仮想通貨取引所は避けましょう。
5-3.ウォレットの作成
続いて、通貨を保管するための「ウォレット」を作成します。
ウォレットとは、いわゆる「インターネット上で通貨を管理する財布」です。
そのため、セキュリティの高いシステムが必要となります。
ウォレットには様々な種類がありますが、主に使われているのが「メタマスク」です。
Google Chromeのストアから拡張機能を追加するだけで利用できます。
5-4.仮想通貨の購入&ウォレットに入金
ウォレットの作成が完了したら、仮想通貨を購入してウォレットに入金しましょう。
仮想通貨を購入する際は、日本円を仮想通貨取引所に入金します。
入金した日本円で、イーサリアムを購入しましょう。
入金方法は以下の3種類です。
- 銀行口座入金
- コンビニ入金
- クイック入金
セキュリティ上、クレジットカードやPayPayは使えないので注意しましょう。
5-5.マーケットプレイスにアカウントを作成
続いて、NFT作品を販売するために、マーケットプレイスにアカウントを作成します。
マーケットプレイスは多数ありますが、広く活用されているのは「OpenSea」や「Rarible」です。
海外のマーケットプレイスだとハードルが高いと感じる方は、LINEや楽天などの国内サービスを利用する方法もあります。
5-6.販売の開始
ここまでの準備が完了したら、いよいよデジタルアート作品を販売しましょう。
マーケットプレイスでデジタルアートを販売する際は、NFT化しなければなりません。
NFT化を「Mint(ミント)」といい、スマートコントラクトを活用して新規にNFTを作成・発行することを意味します。
スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で契約内容を実行する仕組みです。
ミントが完了したら、デジタルアート作品を販売できます。
販売する際の値段については、固定価格とオークションのいずれかを選ぶことが可能です。
初回出品時に手数料がかかりますが、一度支払いが終われば、その後は必要ありません。
6.まとめ
今回は、デジタルアートについて詳しく解説しました。
国内外でデジタルアーティストが続々と誕生しており、その価値は将来的にも期待されています。
自分で創作したデジタルアートをNFT販売することも可能なので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。