ポップな雰囲気のグラフィティが特徴的なキースヘリング。誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
彼の作品を理解する上で重要なのが、アイコン的に登場するキャラクターたちです。
その中でも代表的なものの一つが「犬 」。
シンプルな直線で描かれていますが、ポップかつ印象に残るデザインですよね。
一目見て、犬のデザインが気に入った!という方もいるでしょう。
犬の意味を知ってキースヘリングの作品を理解したい、犬が出てくるグッズや作品について知りたい、と思っている方も多いと思います。
この記事では、キースヘリングの犬の意味を解説し、作品に出てくる犬の役割・メッセージの考察によって、彼の作品がより理解できるようになっています。
実はキースへリングの犬には少しダークな意味合いがあるんですよ!
また、現代アート作品を購入したい方、キースヘリングのグッズを身に着けたい方に向けて、アートが購入できるサービスについても紹介しているので、チェックしてみてくださいね。
1.キースヘリングとは
キースヘリング(Keith Haring)は、アメリカのニューヨークで活躍したポップアーティストです。
名門美術学校・スクールオブビジュアルアーツに入学した若き日のヘリングは、さまざまな手法での表現を試みます。
挑戦的な仲間たちに囲まれながら80年代のニューヨークにインスピレーションを受けたヘリングは、通学路であったニューヨークの地下鉄の黒い掲示板に大胆にも絵を書きはじめました。
このチョークの《サブウェイ・ドローイング》は日を追うごとに増え、作品を目にした地下鉄通勤をする人々から、やがてニューヨークの人々へとその名前を広めることとなったのです。
シンプルで万人に受け入れられるチャーミングさを持っていますよね。
その後もヘリングは、美術館やギャラリー以外にもクラブやシアターで展示を行ったり、他のアーティストともさかんに交友関係を築いたり、オープンなポップアーティストとして活躍の道を進んでいきます。
また、数多くの慈善団体や、病院や、孤児院のために公共芸術作品を制作し、ヘリングが参加した個展やグループ展は100を優に超えたと言われています。
それにともなって、絵画や彫刻だけでなく、衣装デザインやポスター、レコードジャケット等にも表現の形式を広げ、「アートは大衆のものである」という意見と社会への批判意識をもって制作をしていました。
彼の作品は分かり易く、一目見ただけで意図が伝わることから、「視覚言語」のようであるとも評されました。
自由と平和を夢見てパワフルに活動していたキースヘリングですが、不幸にも当時流行していたエイズにかかり、1990年に31歳でその生涯を終えます。
明るい気持ちで希望を持ち、社会に勇気をもって挑む。彼が色彩豊かでシンプルな作品に託したメッセージです。
没後30年余りが経った今でも、ポップアーティストの代表として愛され続けている理由が分かりますね。
キースヘリングについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご参考ください。
2.キースヘリングの犬の意味
キースへリングの作品は、フリーハンドで描かれたラフな線、シンプルな落書きマンガのようにも見える表現が印象的です。先ほど紹介した《サブウェイ・ドローイング》にもその特徴がよく表れていました。
キースへリングの作品は、ニューヨークの街などにスプレーを用いて描いたりするストリート・アーティストたちに影響を受けた一方で、パブリック・アート ( 公共空間における美術 ) としての側面もあわせ持っています。
社会的な立場や、人種、考え方の違う人々が自由に鑑賞できるアートに価値を見いだし、一般大衆の支持を得てその名を広めていったキースヘリングは、誰もが分かるキャラクター(人々、犬、天使、悪魔、赤ちゃん、ハート…)に、彼の思いを込めて象徴的に扱いました。
その中でも作品によく登場する「キースヘリングの犬の意味」を知りたいですよね。
踊ったり、吠えたり、噛みついたり、じっとしていたりと様々な形で彼の作品には「犬」が登場しますが、一般的には
【キースへリングの犬の意味】
- 懐疑心(相手の行動をうたがい、素直に受け取らない気持ち)
- 権力の象徴
- その当時のアメリカ政府
- 発展したり・成長するさま・行動のパワー
などを表しているのではないかと言われています。実は少しダークな意味を持っているのですね。
しかし、キースヘリング自身は、キャラクターそのものに込めたメッセージについてはっきりと言及はしておらず、特定の意味は定められてはいないようです。
ダークな意味合いを持つことを示しつつ、あえて定めないことで多くの人が自分独自の解釈をできるような作風になっているのですね。
3.キースヘリングの犬が出てくる作品
もっとキースへリングの犬の意味を知るには作品でどのように扱われているのか見ることが一番です!
そこでキースへリングの犬が出てくる作品を3つ解説します!
- dogs with UFOs
- The Blueprint Drawings
- Untitled (Dancing dog)
次項で各キースヘリングの犬が出てくる作品の意味を紹介します。
3-1.dogs with UFOs
1982年、ヘリングが当時26歳のころに制作されたこちらの作品は、 40部限定で刷られたリトグラフです。
リトグラフは版画の一種ですが、表現方法が代わっても、太くマジックで描いたようなヘリング独自の線の魅力がよく反映されています。
この作品には「吠える犬」と、「UFO」が描かれており、犬はこの作品において、服従を要求する抑圧的な政府を表し、UFOは未知の存在ー他者性を表しています。
UFOによって攻撃されているようにも、犬が触発されているようにも見受けられます。
“独立した個の意識を持ち、自立する。”という、ヘリングの思いが感じられますね。
3-2.The Blueprint Drawings
1990年頃に制作されたこちらの「The Blueprint Drawings」は17枚からなる版画シリーズです。
このシリーズは、ヘリングの最初の個展(1980年)のために制作されたドローイング作品をもとにつくられました。
タイトルの”Blueprint”は日本語では「青写真」、現代ではあまり使用されなくなった印刷の技術の一つです。
オリジナルのドローイング作品は羊皮紙にインクで描かれたものでしたが、ヘリングは地元の青写真屋の技術に魅力を感じ構想を経て、シルクスクリーンによる版画作品として発表されました。
彼の作品では、単純なキャラクターでダイレクトに1つの意図を伝えるものが多く、現代ではカラフルなイメージが定着しているので、驚いた人もいるのではないでしょうか。
マンガのようにコマ割りを使った表現は、他のヘリングの作品には見られないものです。
いくつかの連続した場面を描くことで、場の状況や時間の流れ方、瞬間的な表現がそれぞれインパクトを持って表されていますね。
描かれているのはどうやら平和とはかけ離れていそうな不穏な風景・・・逃げ惑う大衆、人に噛みつく犬、逆さづりにされてマシーンに拘束されている人々、など危険を感じる場面です。
混沌とした80年代の雰囲気と、ヘリングがメディアや政府に感じていた反抗心、人々を啓蒙するようなメッセージが感じられます。
3-3.Untitled (Dancing dog)
1981年に制作されたこちらは、お互いに吠えながら踊る赤い犬のまわりに緑や黒で人々や模様が個性ある形で描かれています。
横幅が2メートル、縦幅約1メートルある大きなこの画は、人々に大きな印象を与えました。緑と赤は補色関係にあり、色彩におけるアプローチも明快です。
また、特筆すべきなのが、インクが滝のように流れ落ちている点。最初期の《サブウェイ・ドローイング》にもこすれや消えかけーつまり、人々の動きによる影響がみられること。
図像以外の部分でキースヘリングの作品のコンセプトになっていた点が、この作品にも表れています。
4.キースヘリングの犬グッズ3選
以上、キースへリングの犬が出てくる作品をご紹介しました。
どうでしょう?意外な意味で使われていることを初めて知った方はいませんか?
これまで知らなかった犬の意味を知ってより好きになった方も多いと思います。
そこでキースへリングの犬のグッズを紹介します!
4-1.Barking Dog STATUE WHITE Ver.
「吠える犬」のデザインを使った、白くシンプルな彫刻です。
全長は約34cmと、存在感がありながらも部屋に飾りやすいサイズ設定となっています。
メディコム・トイ社から発売されたこちらの彫刻、キースヘリングの太い描画線を表現するために、厚みを出していることがポイントですね!
4-2.ステッカー
こちらも「吠える犬」を使っています。部屋に動きと個性を与えてくれるウォールステッカー。
壁紙の上に貼れるようになっており、手軽に部屋をデザインできることが魅力的です。
4-3.ユニクロとのコラボTシャツ
美術だけでなく、音楽、ファッション、などのカルチャーの中での活動も盛んに行なっていたキースへリング。
アートを民主化したいという彼の思いを汲み取り、日本でもユニクロとのコラボレーションが実現されました。
アート作品とファッションが融合した、ニューヨーク近代美術館(MoMA)とユニクロのパートナーシッププロジェクト、UTのイメージはみなさんも思い浮かぶのではないでしょうか。
線と白黒のシンプルなデザインは、カジュアルに日常のシーンで着ることができそうです。
キースヘリングとユニクロのコラボについてもっと知りたい方はこちらの記事をご参考ください。
5.まとめ
短い生涯を駆け抜け、多くの優れた作品を残して今もなお大衆に愛され続けるキースヘリング。
独特の視覚言語とも評された、キャラクターを用いたビジュアルデザインの持つエネルギー、そして彼の作品について紹介しました。
その中でも重要なキャラクターであるキースヘリングの「犬」は、社会を疑う気持ち、そして特には悪役(政府)として描かれ、混沌とした80-90年代アメリカの空気感、そしてその中で生きる彼自身の思いを表したいというメッセージが込められていましたね。
アイコン的存在である「犬」への理解が深まり、キースヘリングの魅力が伝わっていれば幸いです。
「犬」はグッズ等の展開も豊富で、現代アート作品も販売されています。