エドガー・エンデとは?生涯や作品を紹介! | Artis

エドガー・エンデとは?生涯や作品を紹介!

エドガー・エンデとは?生涯や作品を紹介!

知る人ぞ知るシュルレアリスムの作家エドガー・エンデ。

日本における認知度は低いですが、不可思議な作風は鑑賞者の心を捉えます。

今回は、児童文学作家ミヒャエル・エンデの父親でもあるエドガー・エンデの生涯や作品を解説します。

1.エドガー・エンデとは

エドガー・エンデは、ドイツのシュルレアリスム画家です。

ここでは、エドガー・エンデの生涯や特徴を解説します。

1-1.生涯

1901年、エドガー・エンデはドイツのハンブルグで生まれました。

小学校卒業後より装飾画家の見習いとして働いていましたが、画家になることを両親は反対していたといいます。

それでも画家になる夢を捨てることなく、美術学校に通いスキルや知識を学びました。

1922年には、ガートルードと結婚し、4年後には離婚に至ります。

この結婚は、両親から独立し画家になるための苦肉の策だったということです。

その後、1928年にガーミッシュに移り、翌年、宝石店を営むルイーゼ・バーソロミューと結婚しました。

1931年にはミュンヘンに引っ越し、作品制作にもますます力が入ります。

同じ頃、ミュンヘンやシュッツトガルトにおいて作品展を開き、世界的に認知されるようになりました。

しかし、1933年に入りナチスが勢力を伸ばし、近代芸術を弾圧します。

エドガー・エンデにとっても厳しい日々が始まり、経済的にも困窮してしまいました。

さらに、39才で徴兵された上に、アパートとアトリエが空襲を受けたことで作品の70%を失います。

戦争が終わると、芸術活動の復興に力を注いだエドガー・エンデでしたが、1953年には家族を捨てて教え子であったロッテ・シュレーゲルと暮らし始めました。

結果的に、家族の元に戻ることなく、1965年に心臓発作を起こしたことが原因でその生涯を閉じます。

1-2.ミヒャエル・エンデの父親

エドガー・エンデは、2人目の妻であるルイーゼ・バーソロミューとの間に一人息子をもうけています。

その人物こそが、児童文学作家として世界的に有名なミヒャエル・エンデです。

エドガー・エンデは、ミヒャエル・エンデの作品における挿絵も提供しています。

1-3.退廃芸術家

ナチス政権を率いていたアドルフ・ヒトラーは、近代芸術を敵視していました。

ヒトラーが好んでいた芸術は伝統的な絵画であり、シュルレアリスムに代表される表現主義や抽象的な芸術は理解できなかったことが要因とされています。

また、近代芸術家の多くはユダヤ人が占めていた点もヒトラーが認めない理由のひとつです。

こうした背景から、ナチス政権では前衛的な近代芸術を「退廃芸術」と呼び弾圧しました。

エドガー・エンデも例外ではなく、活動の制限を余儀なくされます。

1-4.ロマンティック・シュルレアリスム

エドガー・エンデの大きな特徴は、「心の闇」から浮かび上がるイメージを形にした表現です。

これを「ロマンティック・シュルレアリスム」といい、エドガー・エンデの代名詞ともいえます。

エドガー・エンデは、明かりを落としたアトリエに数日間こもりながら、想像される情景を書き留めていました。

こうした制作方法から「暗闇の画家」と呼ばれることもあります。

2.エドガー・エンデの作品

エドガー・エンデの作品の中から、2つの代表作を紹介します。

2-1.ラザロは待っている

ラザロは待っている

出典:パブリックドメイン美術館
https://600dpi.publicdomainr.net/edgar-ende-0003446/

エドガー・エンデは、イメージの中に浮かぶ曖昧な世界をスケッチしていました。

そのため、彼の作品に明確な意味や答えはありません。

周囲から作品に対する説明を求められることもあったようですが、エドガー・エンデはそれを嫌っていました。

2-2.椅子

椅子

出典:パブリックドメイン美術館
https://600dpi.publicdomainr.net/edgar-ende-0003427/

1989年にエドガー・エンデとミヒャエル・エンデの作品を展示した「エンデ父子展」が開かれました。

この展示会で制作されたカタログの表紙になったのが「椅子」です。

3.エドガー・エンデの作品が鑑賞できる場所

エドガー・エンデの作品が鑑賞できるのは以下の美術館です。

3-1.ピナコテーク・デア・モデル

ピナコテーク・デア・モデルは、ドイツのミュンヘンに位置する美術館です。

近代美術を展示する施設としては、ヨーロッパで最大規模を誇っています。

絵画のほかにも、グラフィックアートや建築、デザインなどの展示も行なっており、さまざまな分野の芸術を堪能できる施設でもあります。

4.まとめ

今回は、ドイツのシュルレアリスム画家エドガー・エンデを紹介しました。

ナチス政権が力を増し、シュルレアリスムをはじめとする近代美術が弾圧された時代に生まれた画家であり、作品にもまさしく心の闇から浮かび上がるイメージが大いに反映されています。

日本では認知度が低く、「モモ」や「はてしない物語」で知られる児童文学作家ミヒャエル・エンデの父親であり、息子の存在をきっかけにエドガー・エンデを知ったという人も多いでしょう。

ミヒャエル・エンデの作品に挿絵も提供しているので、小説と合わせて楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

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