マン・レイとはどんな人?代表作品や価値の高い作品も解説! | Artis

マン・レイとはどんな人?代表作品や価値の高い作品も解説!

マン・レイとはどんな人?代表作品や価値の高い作品も解説!
出典:Artpedia https://www.artpedia.asia/manraytears/

フランスを拠点に活動した芸術家マン・レイ。

絵画や写真、彫刻など幅広い分野で活躍し、現代にも大きな影響を与えた人物として知られています。

今回は、マン・レイの人生を踏まえながら代表作品や価値の高い作品を解説します。

1.マン・レイの人生

マン・レイは、1890年にアメリカ・フィラデルフィアで生まれました。

ロシア系ユダヤ人の移民の家庭に生まれ、誕生した当時の名前は「エマニュエル・ラドニツキー」でした。

1912年に、ラドニッキー家は「レイ」という姓に変更します。

当時「エマニュエル」という名前だったことから「Manny(マニー)」という相性で呼ばれていたため、「Man」だけをとり「マン・レイ」と称するようになりました。

幼少期から器用だったというマン・レイは、高校で建築の勉強をしながら、美術館を訪れて独学でアートを学んでいたといいます。

1-1.パリ時代

アメリカで生まれ育ったマン・レイですが、1921年に転機が訪れフランスに移住します。

はじめに暮らしたのは、アーティストが多数集まるモンパルナス地区でした。

ここで、歌手のキキと出会い、1920年代のほとんどを彼女と過ごしました。

しかし、華やかな世界で生きてきたキキに嫉妬をしたマン・レイは、彼女から離れ、シュルレアル写真家でアシスタントを務めていたリー・ミラーに惹かれ始めます。

それ以降、20年に渡りマン・レイは写真家として生計を立てるようになりました。

次第にフランスでも人気の写真家となり、シュルレアリストの作品展にも参加しています。

1-2.晩年

第二次世界大戦の渦中、マン・レイはパリを離れてアメリカに避難しました。

1940年から1951年をロサンゼルスで過ごし、その間に妻となるジュリエット・ブラウナーと出会います。

また、1941年からは本格的に芸術活動をはじめ、この頃は油彩をメインとした絵画を制作していました。

しかし、パリ時代のような華やかな日々は訪れず、ついに1951年、再びパリへと戻ります。

パリに戻ったのちも画家として活動していましたが、写真ほどの人気を得ることなく、1976年に肺感染症を患い亡くなりました。

2.マン・レイの代表作品

マン・レイは、写真や絵画、オブジェなどさまざまな作品を残しています。

主な作品を4つ紹介します。

2-1.アングルのバイオリン

アングルのバイオリン

出典:クリスティーズオークション
https://www.christies.com/lot/lot-6368089

マン・レイの写真の中でも有名な作品が「アングルのバイオリン」です。

恋人だったキキをモデルにした写真で、体をバイオリンに見立てた表現となっています。

撮影した写真の上から、バイオリンの「f字孔」を描いており、従来の古典的なヌードに上書きするという意味を持つ作品です。

このように、マン・レイは女性の体をモチーフにした作品を多く制作しています。

2-2.破壊されるオブジェ

破壊されるオブジェ

出典:Artpedia
https://www.artpedia.asia/2016/01/30/%E3%83%9E%E3%83%B3-%E3%83%AC%E3%82%A4-%E7%A0%B4%E5%A3%8A%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%B9%E3%81%8D%E3%82%AA%E3%83%96%E3%82%B8%E3%82%A7/

1923年に制作されたオブジェです。

メトロノームに女性の目を写した写真が貼り付けられたシュールな作品ですが、シュルレアリスムが広がる前に制作されました。

この作品は、1957年にパリで開催された「ダダ展」に出展されましたが、フランスの詩人ジャン=ピエール・ロスネが率いるグループに破壊されてしまいます。

翌年、マン・レイは「不滅のオブジェクト」というタイトルをつけ、同じ作品を制作しました。

2-3.涙

涙

出典:Artpedia
https://www.artpedia.asia/manraytears/

女性のマネキンの目から流れる一粒の涙。

この作品は、マン・レイが恋人だったリー・ミラーと別れた直後に制作されました。

涙をガラス玉で表現し、女性自体もマネキンを使っていることから「演技」を意味する作品であり、リー・ミラーへの当てつけともいわれています。

目は、マン・レイの作品における重要な題材であり、多くの作品に用いられています。

2-4.天文台の時刻に─恋人たち

天文台の時刻に─恋人たち

出典:サザビーズオークション
https://www.sothebys.com/en/auctions/ecatalogue/2014/prints-and-multiples-l15161/lot.50.html

リー・ミラーと別れたのちに2年の歳月をかけて描かれた油彩作品の大作が「天文台の時刻にー恋人たち」です。

自分の元を去った恋人の唇をモチーフにして、いつまでも側にいてほしいという思いを込めているといいます。

1×2.5mの大きな画面に描かれた空に浮かぶ唇は、シュルレアリスムならではのありえない世界であり、不思議な感覚に陥ります。

3.マン・レイの作品の価値

マン・レイの作品は、アートオークションでも高い人気があります。

例えば、有名な「アングルのバイオリン」は、2022年5月14日に行われたクリスティーズオークションにて1,240万ドルで落札されました。

これは、オークションに出品された写真の落札価格において最高額です。

 

4.まとめ

今回は、フランスで活躍したアーティスト、マン・レイの人生や作品について解説しました。

マン・レイは、写真や絵画などさまざまな分野で表現を行なっていたほか、映画監督としてもその才能を発揮しています。

いずれの作品もシュルレアリスムのムーブメントを大きく牽引するものでした。

現在も、マン・レイの作品に影響を受けたアーティストが多数います。

また、作品の価値も非常に高く、数々のアートオークションでも注目されています。

 

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