ルソーはどんな画家?代表作や鑑賞できる場所も紹介 | Artis

ルソーはどんな画家?代表作や鑑賞できる場所も紹介

私自身、肖像=風景
出典:プラハ国立美術館 https://www.ngprague.cz/o-nas/novinky/mezinarodni-den-celniku-celnik-rousseau

ルソーといえば、『社会契約論』を書いた政治哲学者「ジャン=ジャック・ルソー」を思い浮かべる方も多いでしょう。

しかし、芸術界の代表的な画家「アンリ・ルソー」も忘れてはなりません。

今回は、かの有名なピカソに見出され、素朴派の画家として知られるルソーについて詳しくみていきましょう。

1.ルソーとは

ルソーは、1844年のフランス・ラヴァルにて貧しい家庭に生まれ、幼少期から働かざるを得ない状況に置かれていました。

高校卒業後、弁護士を目指して勉強をしますが、結局軍隊に入ります。

兵役を終えたルソーは、父が亡くなったことを機にパリへ拠点を移しました。

パリへ移動した1868年当時は、まだ画家として活動しておらず、1871年には税関の職員になります。

ルソーが絵を描き始めるのは、40代前半の頃です。

画家として制作を始めたルソーについて詳しく紹介します。

1-1.日曜画家

ルソーは、働きながら余暇を活用して絵を描いていました。

こうした画家のことを「日曜画家」といい、本腰を入れて絵の制作に打ち込む画家とは区別されます。

40代に入って絵を描き始めた遅咲きの画家ともいえるルソーですが、49歳で退職したのちは絵画に没頭するようになりました。

1-2.素朴派の祖と呼ばれる画家

日曜画家として絵を描き始めたルソーは、学校で美術を学んだわけではありません。

ルソーのように独学で芸術を学んだ作家を「素朴派」といいます。

素朴派の作品は、伝統やルールを度外視したダイナミックな作風が多く、現代では多くの美術ファンを魅了していますが、ルソーの作品は生前評価されることはほとんどありませんでした。

1-3.ピカソに見出された画家ルソー

ルソーの魅力をはじめに見出したのは、「20世紀最大の芸術家」と名高いピカソでした。

路上で売られていたルソーの作品に驚いたピカソは、彼に会いに行っています。

その後、ルソーの技術を讃える「ルソーの宴」を開催し、彼の作品は美術界に知られるようになりました。

しかし、ルソーの作品が高く評価されるようになったのは、彼が亡くなった後のことでした。

2.画家ルソーの代表作

ルソーは、40代から絵を描き始めたこともあり、現存している作品数はさほど多くありません。

現在確認されている作品は二百数十点ほどですが、少ない中でもたくさんの名作を残しています。

画家ルソーの作品の中から、代表作を3点ご紹介します。

2-1.夢

夢

出典:MoMA
https://www.moma.org/artists/5056

画家ルソーの存在を「夢」という作品で知ったという方も多いでしょう。

こちらの作品は、ルソーが最後に描いた集大成でもあり、サイズも最も大きい約2×3mの大作です。

愛人であったヤドヴィガがモデルとなっており、彼女が夢の中で出会ったという設定で蛇使いと共に描かれています。

ルソーの作品には、ジャングルがモチーフとして多く登場しますが、「夢」もそのひとつです。

ルソーは、フランスで暮らしていたこともあり、実際にジャングルを訪れたことはありませんでした。

彼が表現する独創的なジャングルは、近隣にあった植物園に通いながら空想を広げて描いたものだといわれています。

2-2.子供の肖像

子供の肖像

出典:オランジュリー美術館
https://www.musee-orangerie.fr/fr/oeuvres/lenfant-la-poupee-196422

ルソーが1892年に描いた作品が「子供の肖像」です。

確かに子供を描いた作品ですが、まっすぐに鑑賞者を見つめるその視線は、どこか不穏であり子供らしさは感じられません。

また、子供が抱える中年男性をモチーフにした人形も、殊更に不思議な印象を与えます。

2-3.私自身、肖像=風景

私自身、肖像=風景

出典:プラハ国立美術館
https://www.ngprague.cz/o-nas/novinky/mezinarodni-den-celniku-celnik-rousseau

ルソーが46歳のころに描いた作品が「私自身、肖像=風景」です。

キャンバスの真ん中に立つ黒ずくめの男性がルソー自身だとされています。

空に描かれた日本列島のような雲にも目をひくでしょう。

当時のパリでは、「ジャポニズム」として日本の絵画が注目されていました。

ルソーも例外ではなく、浮世絵を愛していたようです。

このことから作品の中に日本を表すモチーフを描いたのではないかといわれています。

2-4.眠るジプシー女

眠るジプシー女

出典:MoMA
https://www.moma.org/collection/works/80172

1897年に描かれた作品です。

月が照らす砂漠にて眠る女性に近くライオン。

一見すると危険なシーンに捉えがちな作品ですが、ライオンや砂漠を表現する茶色と夜の情景がマッチして非常に幻想的な感覚に陥ります。

実際、ルソー本人もマンドリンを横に置き深く眠る女性のそばをライオンが通りかかるものの、匂いを嗅ぐだけで食べはしないと説明しており、危険なシーンではないことがわかるでしょう。

こうした現実と非現実を織り交ぜた作品は、ルソーが得意としていた表現です。

2-5.果樹園

果樹園

出典:ハーモ美術館
http://www.harmo-museum.jp/

ルソーが42歳の頃に描かれた作品です。

40代に入ってから絵の制作を始めているため、初期の作品であり傑作として評価されています。

果樹園というタイトルがつけられていますが、よく見ると果物は描かれていません。

また、絵の上部に描かれた雲と山は一体となったように見え、鑑賞者に不思議な感覚を与えます。

独学で絵画を学んだルソーだからこそ描ける心のままの表現であり、この作品を見たピカソは虜になったそうです。

まさしく、素朴派の祖の傑作といえる作品でしょう。

こちらの作品は、長野県にある「ハーモ美術館」で鑑賞できます。

日本でルソーの表現を体感できる貴重な場所のひとつです。

3.画家ルソーの作品を鑑賞できる場所

画家ルソーの作品は、国内外で鑑賞できます。

海外と日本、それぞれ1箇所ずつを紹介します。

3-1.MoMA

ルソーの集大成である作品「夢」が展示されているのが、MoMA(ニューヨーク美術館)です。

MoMAは、2019年にリニューアルオープンしており、1800年から現代に至るまで様々なアーティストの作品を垣根なく楽しむことができます。

ルソーの他にも、ゴッホやピカソ、ムンクなど著名な画家の作品が並び、アートファンのみならずぜひ訪れてみたい場所のひとつです。

3-2.世田谷美術館

日本でもルソーの作品を収蔵する美術館は複数あります。

そのひとつが東京にある世田谷美術館です。

ルソーをはじめとする素朴派の作品を多数展示しており、彼らが活躍した当時に思いを馳せられる場所といえるでしょう。

4.まとめ

今回は、画家ルソーについて詳しく解説しました。

有名な「夢」だけでなく、他にも目を見張るような作品を残しているルソー。

生前は注目されることがほとんどありませんでしたが、現代では素朴派の祖として広く知られています。

日本でも鑑賞できる場所があるので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

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