近年、国内外で注目されている油彩アーティストのひとりが今井麗(いまいうららです。
独自の世界観を確立している彼女について知りたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、今井麗の概要を解説するとともに、代表作品や画集、それらの価格なども解説します。
1.今井麗とは
今井麗は、1982年に神奈川県で生まれました。
父親も画家であり、幼少期より東京・上野の美術館エリアには頻繁に訪れていたといいます。
自身も小学生低学年から絵を描き、多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻にて学んだのち、2006年から本格的に画家として活動をはじめました。
基本的に、油絵の古典的な技法で描かれており、モチーフを的確に捉えて素早く描く作風が特徴です。
1-1.静寂から生まれる絵画
今井麗は生まれつき難聴であり、音のない静寂の世界で生きています。
彼女の目に見えている世界は、彼女の作品にそのまま表現されており、みるものの心を掴みます。
想像の世界を描くことができないという彼女は、目の前にある現実的なモチーフを描くのが特徴です。
一見すると、何の変哲も無い日常を描いているように見える今井麗の作品は、実は静寂から生まれています。
だからこそ、鑑賞者は今井麗が生きている世界にグッと惹き込まれ、まるで自分の現実のような感覚に陥るのではないでしょうか。
1-2.何気ない風景を描く
今井麗の作品に登場するモチーフは、今にも溶けそうなバターやみずみずしいフルーツ、生活感の溢れる室内などです。
誰もの生活にありうる何気ない風景ですが、ありふれたモチーフがまるで発光しているかのように感じられます。
特に近年は「光」の効果を大切にしており、より一層「何気ない日常」こそが尊いことを鑑賞者に伝えてくれます。
2.今井麗の代表作品
今井麗の代表作のうち2つを紹介します。
2-1.BUTTER TOAST
トーストは、今井麗の作品に多く登場するモチーフのひとつです。
こちらの「BUTTER TOAST」も、トーストの上に乗せられたバターの様子から、温度までも伝わる作品といえるでしょう。
こうしたどこの家庭でも見られる情景は、今井麗の真骨頂です。
今井麗は、日常生活の中で気に留めたシーンをスマートフォンで撮影し、後から一気に書き上げるスタイルをとっています。
自身が体感したリアルをそのままに描きたいと思う今井麗ならではといえる作風です。
2-2.REVELATION
2020年に開かれた個展「REVELATION」で展示された作品です。
REVELATIONとは「天啓」という意味があり、中央に描かれたクマのぬいぐるみがメッセンジャーとして知られる大天使ガブリエルをイメージさせます。
クマに加えて、アニメキャラクターやコアラのぬいぐるみがディスプレイされた日常の風景に、陽の光が差し込むシーンが描かれており、今井麗が大切にしている「光の効果」が存分に発揮された作品といえるでしょう。
3.今井麗の画集
今井麗の作品は画集に収められています。
2つの画集について解説します。
3-1.MELODY
2021年夏に出版された今井麗画集「MELODY」です。
同タイトルの個展に合わせて制作されたもので、2020年に描かれた油彩作品が100点掲載されています。
世界中が新型コロナウイルス感染症に翻弄される中、日常の大切さが色濃く表現されており、自分の生活も省みたくなる画集です。
コロナ禍が少しずつ明けつつある今だからこそ、改めて心に響く作品でもあります。
「PARCO出版」より刊行され、価格は3,300円(税別)です。
3-3.gathering
今井麗初の画集となったのが2018年刊行の「gathering」です。
この画集の出版記念として同タイトルの展示も開催されました。
日常生活が切り取られた作品ですが、そこには光が感じられ、多くの人の心を掴みます。
画集に収められた作品は、絵の具が乾ききらないほどのスピードで仕上げられたものばかりで、そのみずみずしさも魅力のひとつです。
「Baci」から出版されており、価格は4,630円(税別)です。
4.まとめ
今回は、日常を巧みに表現する油彩画家、今井麗について解説しました。
彼女独自の静寂から生まれる作品は、見るものにリアルな日常をイメージさせます。
また、日々の淡々とした暮らしがいかに大切なものかを改めて知らせてくれる作品ともいえるでしょう。
作品自体はもちろん、手軽に購入できる画集もおすすめです。