アメリカモダニズムの母として有名なジョージア・オキーフは、花やニューメキシコの風景を頻繁に描いていた画家です。
今回は、抽象的な作品が珍しかった20世紀初頭に活躍したジョージア・オキーフの人生や彼女が残した代表的な作品を解説します。
1.ジョージア・オキーフとは
ジョージア・オキーフは、1887年にアメリカ・ウィスコンシン州で生まれました。
農家の娘として育ったオキーフですが、幼い頃から芸術的な才能が際立っていたといいます。
8歳の時にシカゴ美術館付属学校に入学し、遺憾無く才能を発揮して、常時トップクラスの成績を納めており、わずか10歳で画家を目指しました。
その後、姉妹と共に地元で活動していた水彩画家サラ・マンに師事した他、1907年にはマンハッタンのアート・スチューデンツ・リーグに入学するなど、着実に画家への道を歩み始めます。
学業の途中、家族の健康や事業の都合により、止むを得ず退学となりますが、その才能を生かしてイラストレーターとして生計を立てるようになりました。
そして、1912年には、テキサス州の学校で美術の授業を持ったことをきっかけに、14年もの間教鞭を振るいます。
同時に作品制作にも力を入れ、次第にその地位を確立していきました。
特に、1912年から1914年に出会った画家アーサー・ウェスレイ・ダウの、自然を見たままに模写するのではなく、独自のスタイルで描くという思想はオキーフの作風に大きく影響します。
また、のちに夫となる写真家のアルフレド・スティーグリッツも、オキーフの人生に影響を与えた人物の一人です。
こうした出会いにより、彼女の作品はより前衛的なものになりました。
当時のアメリカでは、芸術といえば男性が制作するものというイメージがありましたが、オキーフの存在は女性芸術家の活躍を後押ししたといえるでしょう。
2.ジョージア・オキーフの代表作品
ジョージア・オキーフは99歳という大往生でこの世を去ります。
晩年まで絵を描き続けたオキーフは、長い画家人生の中で、数多くの作品を残しました。
その中から、代表的な作品を2つ紹介します。
2-1.レッド・カンナ
赤い花の花弁を拡大して描いたダイナミックな作品です。
オキーフ自身は、花を見たままに描いたと伝えていますが、その妖艶な表現はまるで女性器のようだと例えられることもあります。
もともとガーディニングに興味があったオキーフにとって、花を描くことは実に自然なことでした。
特に注視していたのが、花の色だったといいます。
2-2.サマー・デイズ
ジョージア・オキーフが頻繁にモチーフとして取り入れていたのは花だけではありません。
1930年以降、多く登場するモチーフが牛の骸骨です。
中でも代表的な作品が「サマーデイズ」であり、1936年に描かれました。
花をモチーフにした作品とはことなる「死」に対する尊厳が込められた作品です。
オキーフは、夫のアルフレド・スティーグリッツ亡き後、ニューメキシコに移住します。
サマーデイズに描かれている背景は、ニューメキシコの風景であり、いかに移住先の土地や気候を愛していたかが伝わるでしょう。
3.ジョージア・オキーフの作品が見られる場所
ジョージア・オキーフの作品は国内外で展示されています。
ここでは、国内・海外それぞれ1箇所ずつ紹介します。
3-1.東京国立近代美術館
東京都千代田区に位置する東京国立近代美術館では、ジョージア・オキーフの「タチアオイの白と緑―ペダーナル山の見える」を所蔵しています。
1937年の作品で、モチーフとなっているのはオキーフが得意としていたタチアオイの花と晩年の拠点であるニューメキシコから望むペダーナル山です。
大胆に描かれたタチアオイと、遠くに霞むペダーナル山のコントラストに心を奪われます。
3-2.ジョージア・オキーフ美術館
ジョージア・オキーフが亡くなってから11年後に設立されたのが、ジョージア・オキーフ美術館です。
彼女が愛したニューメキシコ・サンタフェに位置しています。
この美術館から2時間ほど離れた場所に、オキーフが暮らした家があるので、両方を訪れると彼女のライフスタイルが垣間見られるでしょう。
4.まとめ
今回は、20世紀のアメリカを代表するモダニズム作家ジョージア・オキーフを紹介しました。
男性が主流だった20世紀初頭の芸術界で、女性作家として道を切り開いた偉大なアーティストであるジョージア・オキーフ。
花や風景を愛した彼女だからこそ描けるダイナミックな作品は、没後約40年が経過する今でも多くの人を魅了し続けています。
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