27才という若さでこの世を去ったバスキア。
彼の描くシンボルのひとつとして「王冠」をイメージする方も多いと思います。
この王冠にはどのような意味が込められているのでしょうか。
今回は、バスキアが描く「王冠」について、その他のシンボルとともに謎を解明していきましょう。
1.バスキアとは
バスキアは、20世紀後半を代表するストリートアーティストのひとりです。
1960年にニューヨーク・ブルックリンで生まれ、27才という若さでこの世を去りますが、短いアーティスト人生の中で1,000点を超える作品を残しています。
当時のアメリカアート界は、白人主義が浸透しており、黒人だったバスキアにとっては逆風でした。
しかし、彼の描く作品に込められた黒人差別や貧富の差に対する政治的なメッセージは、多くのアートファンの心に響きました。
その結果、ストリートアートをひとつの芸術として押し上げた人物として高く評価されています。
亡くなってから、35年が経過した今でも、多くの人を魅了するアーティストです。
2.バスキアのシンボルが持つ意味
バスキアの作品には、「王冠」「スカル」「テキスト」といった印象深いシンボルが描かれています。
一見すると落書きのようにも見えますが、実は深い意味が込められたシンボルです。
それぞれの意味を解説します。
2-1.王冠
「王冠」は、バスキアの絵に頻繁に登場するモチーフです。
王冠といえば「権力」や「支配」をというイメージを持つ方も多いでしょう。
実際、バスキアも権力や支配に対する反抗心を意味して王冠を描いたといわれています。
黒人アーティストとして活躍する中で、人種差別や貧富の差はバスキアにとって大きな壁となっていました。
王冠をモチーフに用いることで、不平等な社会にメッセージを送っていたのです。
また、バスキアは、アスリートをテーマに描いた作品に王冠を描くケースが多くありました。
これは、自分と同様に人種を理由に不当な扱いを受けたアスリートに対する賞賛の意味があるそうです。
2-2.スカル
バスキアの絵には「スカル(頭蓋骨)」も多く登場します。
王冠と同じく、バスキアといえばスカルのイラストが定番となっており、イメージする方も少なくありません。
バスキアは、頭蓋骨に限らず人体そのものに興味を持っていました。
そのきっかけとなったのが、バスキアが7才の頃に見舞われた交通事故です。
脾臓を摘出するほどの大手術を受け、長く入院していた際に、母親から医学書を受け取り人体の面白さに惹きこまれたといわれています。
また、人種差別を批判する彼の思想を踏まえると、肌の色が異なっても骨や内臓は変わらないという強いメッセージが込められているともいえるでしょう。
2-3.テキスト
バスキアの作品に描かれる要素として外せないポイントが、イラストと合わせて描かれるテキストです。
作品によってはテキストのみで構成されるケースもあり、いかにテキストを重要視していたかが分かるでしょう。
テキストの内容は描かれた人体の臓器の名称のほか、アスリートやミュージシャンの名前、政治的なメッセージなど実に多岐にわたります。
こうした表現を用いた背景にあるのが、アメリカの小説家ウィリアム・バロウズが取り入れた「カットアップ」という技法です。
カットアップとは、ランダムに刻まれたテキストを再度組み合わせて別の意味をもたらすことであり、バスキアの作品にも大いに採用されているといわれています。
テキストを使い、感情や思想をイラストだけでなく詩的に表現していることから、より多くの人の心に響く作品に仕上がってるといえるでしょう。
3.まとめ
今回は、バスキアが用いた王冠をはじめとするモチーフについて解説しました。
若くして亡くなったバスキアですが、モチーフが持つ意味を知ると、その短い人生に深いメッセージを残していることがわかります。
現在では、レプリカも多く販売されているので、比較的気軽にバスキアのアートに触れやすいでしょう。
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