現代アートと聞くと、なんとなく難しそうと感じる方も多いと思います。
しかし、現代アートの歴史や考え方、価値などを知るとその面白さにハマる方も少なくありません。
今回は、現代アートについて詳しく解説するとともに、有名なアーティストやアートを購入できる場所も紹介します。
1.現代アートとは?
アートが地球上に誕生したのは、まだ文字がなかった時代のこと。
当時の人たちは、洞窟の壁に狩猟の様子を躍動感たっぷりに描いています。
その後、神々の存在が崇められる時代になると、アートが信仰を支えるようになりました。
特に、識字率が低い時代は、聖書の内容を絵で表現するために芸術家たちが活躍しています。
ギリシアやローマにアートが広がると商品として認知されるようになりました。
そして、ルネッサンスの到来とともに、ミケランジェロやレオナル・ド・ダヴィンチのような現在でも名を知られたアーティストたちの地位が上がり始めます。
ルネッサンス後もアートは変遷を繰り返し、写実的な様式を重んじた「ロマン主義」や自然の緻密な状況を表現する「印象派」など、リアリティを追求する時代が続きました。
世界中が戦争に巻き込まれたのち、ついに現代アートが登場します。
それまでのアートは、受動的に美しさを感じることが一般的でした。
しかし、現代アートには社会や歴史、人のあり方などを問いかけるメッセージが込められています。
そのメッセージは鑑賞者に問いかけられており、解釈を委ねられている点が大きな特徴です。
1-1.現代アートの理解は難しい
現代アートには、社会情勢や歴史に対する疑問や批判、社会や環境に関する問題提起などが表現されています。
そのため、テーマになっている事象に関してある程度の知識がないと、理解しにくいと感じる方も多いでしょう。
しかし、難しいからこそ鑑賞者が社会情勢や環境などを省みるきっかけになるアートともいえます。
また、現代アートを見ながら思考を巡らせ、想像力を養う時間は豊かなものになるでしょう。
1-2.現代アートの考え方
現代アートは、「対話」をする表現です。
作者は、アートに疑問や批判、問題提起などを込めますが、それだけでは作品の完成とはなりません。
鑑賞者がアート作品を眺め、込められた問いかけに対して思いを巡らせて感想を持って初めて完成となります。
これが、従来のアートと現代アートの考え方における大きな違いです。
2.草間彌生から見る現代アートの価値のつき方
現代アートは、オークションハウスにおいて高額な価値がつくことが多々あります。
例えば、「かぼちゃ」をモチーフにした作品で有名な草間彌生の彫刻は、2015年のオークションで約8億円という値がつきました。
このように、現代アートが高く評価され価値がつく理由は何でしょうか。
そこでポイントとなるのが、需要と供給のバランスです。
これは、アート市場に限ったことではありませんが、「欲しい」という声が上がれば上がるほど、その価値は高くなります。
需要が上がる要因として、作品の希少性や作家の人気度、知名度などが挙げられるでしょう。
希少性に関していえば、作家がすでに亡くなっている場合、これ以上新しい作品が増えることはありません。
そのため、必然的に価値が上がりやすくなります。
存命の場合でも、作家の人気が高ければ、その作品の知名度も高くなるため価値が上がるでしょう。
草間彌生のかぼちゃの彫刻に8億円の値段がついた理由の一つも、彼女の人気の高さです。
また、かぼちゃの彫刻は、草間彌生が初めて屋外彫刻として作った作品であり、希少性の高さも価値に反映されました。
3.有名な現代アーティスト10選
続いては、有名な現代アーティストを10名紹介します。
3-1.アンディ・ウォーホル
アンディ・ウォーホルは、20世紀後半以降のアートを代表するアメリカの現代アーティストです。
美術運動「ポップ・アート」の創設者でもあり、現代アートだけでなくロックバンドのプロデュースや執筆活動など幅広い分野で活躍しました。
もともと商業アーティストとして成功しており、「アート・ディレクターズ・クラブ賞」を受賞するほどの人気ぶりでした。
その後、アートの世界に転向し、現代アーティストとして広く知られるようになります。
彼が亡くなった今でもその人気は衰えることを知らず、アート界に多大な影響を与えた人物といえるでしょう。
【アンディ・ウォーホルの代表作】
3-2.バンクシー
正体不明のストリートアーティストとして世界中で話題になっているバンクシー。
世界各国の街角にアートを残し注目を集めています。
2018年には、サザビーズオークションに出品された彼の代表作「Girl with Balloon」がシュレッダーにかけられるという事件が発生しました。
これは、バンクシー自身が仕掛けた演出で、シュレッダーにかけられた後の作品は「Love is in the Bin」というタイトルに改題され、約29億円で落札されています。
【バンクシーの代表作】
3-3.KAWS
ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活躍する現代アーティストKAWS。
目を「×」で表現した作品で人気を集めています。
アートだけでなく、プロダクトデザインやコマーシャル、アパレルなど様々な分野で活躍しており、ディズニーやナイキ、Supremeなどともコラボレーションをしたことから彼の存在を知ったという方も多いでしょう。
オークション市場でも非常に人気が高く、2019年にサザビーズで開かれたNIGOのプライベートオークションでは、《THE KAWS ALBUM》という作品が約16億2,000万円で落札されました。
これは、予想価格の15倍と言われており、彼の人気ぶりがうかがえます。
【KAWSの代表作】
3-4.ジェフ・クーンズ
ジェフ・クーンズは、まるで風船のような彫刻作品で有名なアメリカの現代アーティストです。
いわゆる「陳腐な」イメージをもたらすモチーフをアート作品に持ち込んだことで話題となりました。
彼の作品の中でもアート界を震撼させたのが、2019年のクリスティーズオークションに出品された「ラビット」です。
高さ1m程度のスチール作品で、なんと約100億円もの値がつきました。
これは、当時の存命作家としては最高額を記録しています。
【ジェフ・クーンズの代表作】
3-5.キース・ヘリング
アンディ・ウォーホルとともに、ポップ・アートを牽引する代表的な現代アーティストのひとりがキース・へリングです。
1980年代、彼は地下鉄構内の広告板にグラフィティアートを描き、一躍有名になりました。
キース・へリングが取り上げるモチーフといえば、「Radiant Baby(光輝く赤ん坊)」を思い浮かべる方も多いでしょう。
これは、キリスト教に由来したモチーフで、エイズや同性愛者による社会への抗議の意味があります。
彼自身、エイズで若くして亡くなりましたが、死後も彼のメッセージは引き継がれ「キース・ヘリング財団」として広く浸透しています。
【キース・へリングの代表作】
3-6.奈良美智
世界で高く評価されている日本人の現代アーティストのひとりが奈良美智です。
大きな目が特徴的な少女をモチーフにした作品で知られ、絵画や彫刻のほか、絵本や雑貨なども制作しています。
2000年のサザビーズオークションに出品された「Knife Behind Back」という作品は、約27億円で落札され注目を集めました。
【奈良美智の代表作】
3-7.草間彌生
草間彌生は、日本を代表する長野県出身の現代アーティストです。
かぼちゃや水玉模様のモチーフを用いた作品が有名で、目にしたことがあるという方も多いでしょう。
特にかぼちゃは、彼女自身を表したものであり草間彌生の代名詞となっています。
2016年には「世界でもっとも影響力のある100人」に選ばれ、さらには文化勲章受章を受賞するなど、彼女のエネルギーはとどまるところを知りません。
2021年に開催されたクリスティーズオークションでは、「pumpkin」が約1億6,382万円で落札されました。
【草間彌生の代表作】
3-8.村上隆
村上隆は、日本のサブカルチャーを世界に広めたパイオニアであり、日本を代表する現代アーティストです。
アート作品を生み出すだけでなく、キュレーターやコレクター、映画監督など幅広い分野で活躍しています。
彼の代表作である「お花」をモチーフにした作品とルイ・ヴィトンのコラボレーションも注目を集め、
ファッションとアートの融合においても先駆け的存在です。
【村上隆の代表作】
3-9.名和晃平
名和晃平は、京都を拠点に世界で活躍する現代アーティストです。
動物の体をサイズの異なるガラス玉で覆った「pixel」という作品で彼の存在を知った方も多いでしょう。
従来の彫刻作品の概念を大きく覆す彼の作品は、国内外で高く評価されています。
2012年に開催されたサザビーズオークションでは、「PixCell – Greater Kudu」という作品が約5,000万円で落札されました。
【名和晃平の代表作】
3-10.杉本博司
杉本博司は、東京都出身の現代アーティストです。
ロサンゼルスのアート・センター・カレッジ・オブ・デザインで写真を学び、1974年に卒業して以降、ニューヨークを拠点に活躍しています。
彼の代表作である「ジオラマシリーズ」は、自然史博物館に展示されている標本を写したもので、標本とは思えないリアルな表現が特徴です。
写真といえば、「真実を写すもの」という認識がありましたが、その概念を大きく覆す作品となっています。
【杉本博司の代表作】
現代アートには、他にも多数のアーティストがいます。下記のコラムで合計42名をご紹介していますので、あわせてご覧ください。
4.現代アートを購入できる場所3選
現代アートといえば、大手オークションに参加しないと手に入らないと思っている方も多いでしょう。
実は、現代アートはもっと身近なもので、誰でも購入が可能です。
続いては、現代アートを購入できる場所を3つ紹介します。
4-1.tagboat
「アートで食べていける人を増やす」というミッションを掲げ、多くの人に現代アートを届けているギャラリーが「tagboat」です。
リアルなギャラリー空間だけでなく、オンラインギャラリーの運営も手がけています。
展示空間は、作品を購入できるショールームとしての役割も持っており、絵画だけでなく彫刻や陶芸など様々な分野の現代アートを取り扱っています。
4-2.this is gallery
this is galleryも、現代アートの販売を手がける企業です。
インテリアに見合ったアートを多く取り扱っており、アート初心者にとってもハードルの低いギャラリーといえるでしょう。
ウェブ上で購入できるので、自宅にいながらアートと触れ合える点も魅力です。
4-3.Artis
Artisは、アートとITを融合した新しい概念のECプラットフォームです。
2021年に一般公開されたばかりですが、現代アートをより身近に感じるためのきっかけとなるサービスとして注目を集めています。
現代アートだけでなく、近代美術や立体、グッズなども取り扱っており、様々な分野のアートを知りたい方にもおすすめです。
「アート版フリマ」といったスタイルなので、初めて現代アートを購入するという方でも気軽に利用しやすいでしょう。
スマホアプリもリリースされており、より簡単に現代アートを楽しめる仕組みとなっている点も魅力です。
5.現代アート投資の8つの鉄則
現代アートの楽しみ方として、投資もひとつの方法です。
アート投資を安心して楽しむためには、次にあげる8つの鉄則を守る必要があります。
- アートの知識をしっかりと得る
- 価格の変動に一喜一憂しない
- 感情に流されない
- 入念に調べてから投資する
- 作品の希少性を確認する
- 利益が出るのを待つ
- 大切に保管する
- 所有アートの価値を発信する
まず、アート投資をする場合は、アートについて知識を得ることが大切です。
知識がないまま、闇雲に投資しても価値のあるアートには出会えません。
また、アート投資は、長期間保管し価値が出るのを待つのが一般的です。
焦らずじっくり待つ必要があり、短期間における価格の変動に一喜一憂しないようにしましょう。
投資目的でアートを購入するのであれば、感情に流されて好きなアーティストの作品ばかり買うのも注意が必要です。
好みと資産性とは別物だと考えて冷静に購入しましょう。
アート作品を高く売るためには、大切に保管する必要があります。
日焼けや汚れなどがあると価値が下がってしまいます。
所有しているアートの価値を広めることも、価値を高めるポイントです。
6.現代アートを購入するならArtisがおすすめ
今回は、現代アートについて詳しく解説しました。
現代アートといえば難しいというイメージがありましたが、作者と鑑賞者との対話が生まれる作品であり、身近なものに感じられたという方も多いでしょう。
近年は、ますます現代アートが注目されており、目にする機会も増えてきました。
中でもArtisは、スマホやウェブを通して現代アートを購入できる魅力的なサービスです。
現代アートをもっと楽しみたい方や、購入してみたいという方は、ぜひArtisを活用してみてください。