ゲルハルトリヒター展ってどうだったの?特色と展示内容を紹介 | Artis

ゲルハルトリヒター展ってどうだったの?特色と展示内容を紹介

ゲルハルトリヒター展
出典:Lothar Wolleh https://www.lothar-wolleh.com/

現在、日本において過去最大規模のゲルハルトリヒター展が開催されています。

現代アート界トップを走るゲルハルトリヒターとは一体何者なのか?

当記事ではゲルハルトリヒターの生い立ちから作品に込めた想い、展示の詳細、そして見どころをご紹介します!

ゲルハルトリヒターや作品を知ることによって、これから人生の価値観が変わる体験になるはず。

今回のリッチな展示を最大限に素敵な経験にする為に、是非ご一読頂けると嬉しいです!

1.ゲルハルトリヒターについて

ゲルハルトリヒターは「ドイツ最高峰の画家」と呼ばれ、多様なメディアを用いて、スタイルレスな表現を行っています。

カラフルなモザイクがデザインされたケルン大聖堂のステンドグラスは、彼が制作したものです。

国会議事堂の正面入り口にも作品が飾られていることから彼がいかに国家を代表するアーティストとして活躍しているかがよく分かります。

ゲルハルトリヒター展

出典:https://www.koelner-dom.de/

1-1.ゲルハルトリヒターの経歴

ゲルハルトリヒターは、1932年にドイツのドレスデンで生まれました。

ゲルハルトリヒター展

出典:Lothar Wolleh https://www.lothar-wolleh.com/

若かりし頃のリヒターは、地元の芸術アカデミー(ドレスデン美術大学)で絵画を学び始めます。

しかし、当時は社会的リアリズムが国家的に推進されていて、自由な表現を学ぶことはできませんでした。

そんな中、旅行で訪れた西ドイツで、抽象表現主義に触れ、その自由さに強く影響を受けます。

そして、1961年に西ドイツに移住し、デュッセルドルフ芸術大学に入学し、卒業後は1771年から40年以上、同大学で教鞭を取りました。

リヒターは様々な舞台で、圧倒的な活動をし、評価を得ています。

ゲルハルトリヒターの経歴

1964年 ミュンヘン、デュッセルドルフ、ベルリンで個展を開催

1972年 第36回ヴェネチア・ビエンナーレ

 西ドイツ代表として参加

1997年 第47回ヴェネチア・ビエンナーレ

 金獅子賞を受賞

1997年 高松宮殿下記念世界文化賞を受賞

ここでご紹介した経歴は一部に過ぎません。

2012年にロンドンで行われたザザビーズのオークションでは、《アプストラクテス・ビルト(809-4)》が約26億900万円で落札され、当時史上最高額を記録します。

2020年の香港でも、《アプストラクテス・ビルト(649-2》がポーラ美術館に約30億円で落札され、アジアのオークションに出品された西洋のアーティストの作品として、当時の最高価格を記録しました。

リヒターがいかに世界中の人々から注目を集めているかがよく分かりますね。

2.ゲルハルトリヒターの代表作

リヒターは、様々な手法を駆使しながら、一貫して絵画の本質」を探求しています。

有名なものをいくつか紹介します。

どこかで作品をみたことがある人もいるのではないでしょうか。

「フォトペインティング」

新聞や雑誌の写真を模倣し、絶妙にぼかした表現です。

ゲルハルトリヒターのフォトペインティング

出典:https://www.gerhard-richter.com/en

「オーバーペインテッドフォト」

写真の上に油彩やエナメルでペインティングを施します。

ゲルハルトリヒターのオーバーペイントテッドフォト

出典:https://www.gerhard-richter.com/en

「カラーチャート」

モザイクの様に沢山の色を並べたもので、先ほどご紹介したケルン大聖堂のステンドグラスにも応用されています。

ゲルハルトリヒターのカラーチャート

「グレイ・ペインティング」

キャンバス全体を灰色の絵の具で塗りこめたものです。無の概念をグレイという色で象徴しています。

ゲルハルトリヒターのグレイペインティング

「アトラス」

リヒター自身が収集した写真素材をイメージの種類ごとに整理したものです。

ゲルハルトリヒターのアトラス

などなど・・・。

必殺技のような名前が沢山あって、それらが一体どんな意味があるのか良く分からない、難しい・・・と思う方も多いはず。

作品は、体験することによって、初めてその意味に触れることができます。

今回開催されているリヒター展は、日本において過去最大規模とあり、今ご紹介した多種多様な表現を一度に鑑賞することができます。これは、またとないチャンスです。

是非、会場でリヒターの魅力的な作品を生で味わってみてくださいね。

きっと、人生において貴重な経験になるはず。

3.ゲルハルトリヒター展について

この章では、ゲルハルトリヒター展の詳細についてご紹介します。

今回の展示は、基本的に撮影がOKです。

この展示を通して、素敵な思い出ができると良いですね。

3-1.ゲルハルトリヒター展:東京会場(※閉展しました)

  • 会期:2022年6月7日(火)~10月2日(日)
  • 会場:国立近代美術館
  • 休館日:月曜日[ただし7月18日、9月19日、9月26日は開館]、7月19日(火)、9月20日(火)、9月27日(火)
  • 開館時間:10:00-17:00(金・土曜は10:00-20:00)*入館は閉館30分前まで(9月25日(日)~10月1日(土)は10:00-20:00で開館します。)

3-2.ゲルハルトリヒター展:豊田会場(※閉展しました)

  • 会期:2022年10月15日[土]-2023年1月29日[日]
  • 会場:豊田市美術館
  • 休館日:月曜日[2023年1月9日は開館]、[2022年12月28日-2023年1月4日は休館]
  • 開館時間:10:00-17:00[入場は午後5時まで]
  • 観覧料(前売券):一般1,400円、高校生・大学生800円、中学生以下無料
  • 販売場所:豊田市美術館(9月4日まで)、T-FACE B館2階インフォメーション(10月14日まで)、オンライン(9月中旬から10月14日まで)
  • 観覧料(当日券):一般1,600円、高校・大学生1,000円、中学生以下無料-オンラインチケットは100円割引、20名以上の団体は200円割引(他割引との併用不可)
  • 所在地:〒471-0034 愛知県豊田市小坂本町8丁目5番地1

【観覧料の減免について】

– 豊田市内在住又は在学の高校生、豊田市内在住の75歳以上、障がい者手帳をお持ちの方(介ぞえ者1名)は無料(要証明)

– その他、観覧料の減免対象者及び割引等については豊田市美術館へお問い合わせください。

3-3.大阪「Abstrakt」展 (※閉展しました)

東京と豊田で行われている大規模個展「ゲルハルトリヒター展」に伴って、大阪でもルイ・ヴィトン主催のゲルハルトリヒターの展示が行われました。

フォンダシオン ルイ・ヴィトンのコレクションから18点の抽象作品が展示されました。

そのなかでも、《940-4 Abstraktes Bild》と《941-7 Abstraktes Bild》は初公開となりました。

  • 会期:2022年6月7日(火)~10月2日(日)
  • 会場:エスパス ルイ・ヴィトン大阪
  • 休館日:休館日はルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋に準じます。(12/31 17:00閉館、1/1 休館)
  • 開館時間:12:00-20:00

4.ゲルハルトリヒター展でチェックすべき作品3選

ゲルハルトリヒター展で、特にチェックすべき3作品を厳選しました。

より展示を楽しむために、是非ご一読下さいませ。

  • 《ビルケナウ》2014年 油彩、キャンバス 各260 x 200cm
  • 《8枚のガラス》2012年
  • 《ストリップ》

4-1.《ビルケナウ》2014年 油彩、キャンバス 各260 x 200cm

(937-1)

ビルケナウ ゲルハルトリヒター展

出典:リヒター展 https://richter.exhibit.jp/highlights/

(937-2)

ビルケナウ ゲルハルトリヒター展

出典:リヒター展 https://richter.exhibit.jp/highlights/

 

(937-3)

ビルケナウ ゲルハルトリヒター展

出典:リヒター展 https://richter.exhibit.jp/highlights/

(937-4)

ビルケナウ ゲルハルトリヒター展

出典:リヒター展 https://richter.exhibit.jp/highlights/

アウシュビッツのビルケナウ強制収容所からタイトルを与えられた、今回のゲルハルトリヒター展の主役といえるこの作品。

リヒターの制作において、一つの到達点とされています。

強制収容所で囚人が秘密で撮影した4枚の白黒写真のイメージを元として、「真の恐怖」を描いています。

4-2.《8枚のガラス》2012年

8枚のガラス ゲルハルトリヒター展

出典:きものと https://www.kimonoichiba.com/media/column/787/

「現実と仮像」というテーマに基づき、リヒターはよく、光を反射するガラスや鏡を用いた表現を行っています。

何枚ものガラスが重ねられて置かれることによって、ガラスに写った像は屈折し、変形します。

「何をどう見るか」ということを、鑑賞者に委ねるリヒターの姿勢からは、絵の本質とは何かという根本的な問いについて再度考えさせられます。

4-3.《ストリップ》

ストリップ ゲルハルトリヒター展

出典:リヒター展 https://richter.exhibit.jp/highlights/

リヒター自身の抽象画を複製し、デジタル上で分割され、ランダムに組み合わされたのがこの《ストリップ》という作品です。

この連作を通してリヒターは、絶対的にランダムであるがゆえに、これといった理由もなくただつねにそこにある、という状況を生み出しました。

リヒターの制作において、新たなる次元を開いた作品であるといえます。

5.まとめ

より展示を楽しむことができるように、ゲルハルトリヒターがどのような人物なのかや、制作のテーマを簡単にご紹介させて頂きました。

テーマの深さや複雑さから、一気にリヒターの全てを理解するのは難しいと思います。

ですが、知れば知るほど、その魅力の内側に気がつくはず。

この記事を通して、皆様のゲルハルトリヒター展が少しでも、より素敵なものになれば嬉しいです。

日本において過去最大のゲルハルトリヒター展で、贅沢な鑑賞体験を是非楽しんでくださいね!

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