世界的に有名なのに謎のベールに包まれたアーティスト「バンクシー」。
当記事ではバンクシーの絵35作品とその意味を解説していきます!
バンクシーの絵の購入をお考えの方もぜひお気に入りの作品を見つけてくださいね!
- 1.バンクシーとは何者?
- 2.バンクシーの絵の意味【35選】
- 2-1.『ボロジャンカ、ウクライナ』
- 2-2.『Gorilla in a Pink Mask(ピンク色の仮面をつけたゴリラ)』(2001年)
- 2-3.『Laugh now, but one day we’ll be in charge(笑っていられるのもいまのうちさ、もうすぐオレたちの出番がくる)』(2002年)
- 2-4.『Girl with Balloon(風船と少女)』(2002年)
- 2-5.『Pulp Fiction(パルプ・フィクション)』(2002年)
- 2-6.『Love Is In The Air / Flower Thrower(愛は空中に / 花束を投げる人)』(2003年)
- 2-7.『Think Tank(シンク・タンク)』(2003年)
- 2-8.『BOMB LOVE(少女と爆弾)』(2003年)
- 2-9.『Napalm(ナパーム)』(2004年)
- 2-10.『What are you looking at?(何を見ているんだ?)』(2004年)
- 2-11.『SHOW ME THE MONET(モネを見せてくれ)』(2005年)
- 2-12.『Barely Legal(かろうじて合法)』(2006年)
- 2-13.『Well Hung Lover(吊るされた愛人)』(2006年)
- 2-14.『Armored Dove of Peace(狙われた鳩)』(2007年)
- 2-15.『Donkey Documents(ロバと兵士)』(2007年)
- 2-16.『Nola(ノラ)』(2008年)
- 2-17.『BANKSY VS Bristol Museum(バンクシー対ブリストル・ミュージアム)』(2009年)
- 2-18.『PARKING(駐車場)』(2010年)
- 2-19.『Charlie Brown Firestarter(チャーリー・ブラウン)』(2011年)
- 2-20.『Slave Labour(奴隷労働)』(2012年
- 2-21.『Sirens of the Lambs(羊たちのサイレン)』(2013年)
- 2-22.『Mobile Lovers(モバイル・ラバーズ)』(2014年)
- 2-23.『The Son of a Migrant from Syria(シリア移民の息子)』(2015年)
- 2-24.『Kitten(子猫)』(2015年)
- 2-25.『Dismaland(ディズマランド)』(2015年)
- 2-26.『Banksy × Basquiat(バンクシー×バスキア)』(2017年)
- 2-27.『The Walled-Off Hotel(世界一眺めの悪いホテル)』(2017年)
- 2-28.『Love Is in the Bin(愛はごみ箱の中に)』(2018年)
- 2-29.『Season’s Greetings(クリスマスおめでとう)』(2018年)
- 2-30.『Devolved Parliament(退化した議会)』(2019年)
- 2-31.『Bathroom(バスルーム)』(2020年)
- 2-32.『Game Changer(ゲーム・チェンジャー)』(2020年)
- 2-33.『If You Don’t Mask, You Don’t Get(もしマスクをしないと、得ることはできない)』(2020年)
- 2-34.『Girl playing hula hoop with bicycle wheels(自転車のタイヤでフラフープをする少女)』(2020年)
- 2-35.『Create Escape(脱獄囚)』(2021年)
- まとめ
1.バンクシーとは何者?
バンクシーとはイギリス・ロンドンを中心に活動する正体不明の現代アーティストです。
バンクシーは個人の家の壁や公共の場のに作品を残していくため所有権がはっきりしないことが多く、作品が描かれた壁の持ち主が一般的な落書きと勘違いし消してしまったり第三者に壁ごと盗まれたりすることがあるのです。
作品の反資本主義・反消費主義的なメッセージの他オークションやアート市場への揶揄的な行動など世界に「芸術とは何か?」という疑問符を投げています。
こちらの記事でもバンクシーについて解説していますので、ぜひ合わせてお読みください。
1-1.作家・アーティストとしての特徴
バンクシーは壁にスプレーで絵を描くというスタイルで作品を残しています。
神出鬼没なアーティストでスプレーグラフィティ文化をアートとして広めたのです。
キャンバスに描いたり造形物にしたりする一般的なアーティストとは一線を画していることから注目を集めています。
1-2.評価を受ける理由、価値がある理由
バンクシーの作品は難解なものは少なく非常にシンプルでストレートな傾向にあり、多くの人から理解され共感を得ているのも評価の要因の一つでしょう。
1-3.作品の傾向
バンクシーの絵はテロや暴力、人種差別、過度な資本主義や消費主義などといった様々な社会問題へのメッセージ性を含む傾向にあります。
2.バンクシーの絵の意味【35選】
バンクシーの絵35の代表作と各作品がもつ意味を一挙ご紹介します!
ぜひ、お気に入りのバンクシーの絵を見つけてくださいね!
2-1.『ボロジャンカ、ウクライナ』
バンクシーの最新の絵はウクライナの首都キーウ近郊に書かれた7作品で、バンクシーは公式SNSにおいて「ボロジャンカ、ウクライナ」とだけ記しています。
部屋の中が痛々しくむき出しになった建物に描かれ、柔道着を着た少年が柔道愛好家として知られるロシアの現大統領「プーチン」を投げ飛ばしている構図です。
大国ロシアに対して力の及ばないウクライナが果敢に立ち向かっていることを意味しているのでしょう。
キーウ近郊に7作品残したバンクシーですが、現地の方は「40歳くらいの男性が絵を描いているのを見た」と述べています。
バンクシーはウクライナ支援の目的でシルクスクリーン作品を販売するなどウクライナを支援していることがうかがえます。
2-2.『Gorilla in a Pink Mask(ピンク色の仮面をつけたゴリラ)』(2001年)
『ピンク色の仮面をつけたゴリラ』は彼の故郷「ブリストルにあるソーシャルクラブ」で制作されたバンクシーの初期作品です。
2001年に作成されてから10年以上もの間、この地域のランドマークでした。
初期作品の中でも最も有名な作品で、反資本主義や反権力など社会的意味を持つものが多い中、この作品は「メッセージ性を持たない」と言われています。
ランドマークとして親しまれた作品でありましたが、2011年にソーシャルクラブがムスリム文化センターに改装される際、新オーナーによって塗りつぶされてしまいました。
2-3.『Laugh now, but one day we’ll be in charge(笑っていられるのもいまのうちさ、もうすぐオレたちの出番がくる)』(2002年)
ネズミに次ぎ、バンクシー作品の中でも出現率の高い「チンパンジー」。
チンパンジーをモチーフにした作品の中でも代表的な作品です。
バンクシーがまだ無名の時代に描かれたとされていますが、今ではバンクシー作品の中でも人気があります。
盲目のチンパンジーが首から下げたプラカードには「Laugh now, but one day we’ll be in charge(笑っていられるのもいまのうちさ、もうすぐオレたちの出番がくる)」と書かれています。
社会的地位の低い者たちたちのメッセージを代弁していると言われている作品です。
2-4.『Girl with Balloon(風船と少女)』(2002年)
風船と少女はバンクシーが長年描き続けている超人気シリーズです。
ハート型の赤い風船は「愛や希望」を表しているとされています。
幼いころの純粋な気持ちを取り戻そうとしているのか逆に離れていっているのかは見る人によって解釈が異なるのが魅力の一つです。
かつてロンドン各地に描かれた『風船と少女』は塗りつぶされ現存していません。
風船と少女はパレスチナ問題などその土地の問題に即してアレンジされ世界中に描かれています。
バンクシーの風船と少女についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてお読みください。
2-5.『Pulp Fiction(パルプ・フィクション)』(2002年)
『パルプフィクション』は2002年から2007年にかけてイギリスのロンドン、オールド・ストリート駅近郊の壁にステンシル形式で描かれたバンクシーの作品です。
1994年に制作されたクエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』のシーンの一部がモチーフ。
サミュエル・L・ジャクソンとジョン・トラボルタが演じるキャラクターが描かれ、映画では銃を構えていたものの、本作は銃の代わりにバナナを構えているポップな作品です。
とても人気のある作品でしたがロンドン交通局に「グラフィティの放置と社会的腐敗の一般的な雰囲気は犯罪を助長する」という意図で一度消去されています。
再びバンクシーは同じ場所にグラフィックを描き今度は服装がバナナになり、手に持っていたバナナは銃に戻りました。
権力に対して皮肉をこめリペイントした背景や名作が名作映画のワンシーンがモチーフなどユニークでポップな作品をお求めの方におすすめです。
2-6.『Love Is In The Air / Flower Thrower(愛は空中に / 花束を投げる人)』(2003年)
バンクシーをあまり知らない方の中でも「見たことある」方が多い作品『愛は空中に / 花束を投げる人』。
『愛は空中に / 花束を投げる人』は2003年にバンクシーによって制作された作品でパレスチナのヨルダン川西岸地区南部の県ベツレヘムのアッシュ・サロン・ストリート沿いの建物に描かれました。
ベツレヘムはムスリムが多数派な地域なもののパレスチナにおける最大のキリスト教コミュニティーがある場所です。
バンクシーの活動は初期からパレスチナ問題にフォーカスしたものが多く、この問題に対する初期作品の一つです。
2005年に発売されたオフィシャル作品集『Wall and Peace』の表紙にもなっています。
バンクシーは抗議者やプロテスタントの象徴として描かれているものの、彼が持っているのは火炎瓶ではなく「花束」です。
70年代のヒッピー世代が唱えた反体制的なスローガン「フラワーパワー」に影響が見られ、本作品はパレスチナ側の権利を支持した反戦や反暴力などを意味しています。
2-7.『Think Tank(シンク・タンク)』(2003年)
『シンク・タンク』はイギリスのロックバンド「Blur」の7枚目のアルバムジャケットとして描かれた作品です。
バンクシーは反資本主義的な思想の持ち主で、このような商業作品は稀です。
バンクシーは「私は手形を支払うため、Blurのアルバムを作成する必要があった。素晴らしいレコードでかなりの報酬金が入った。区別を付けることは非常に重要なことだと思う。実際に信じているものであるなら、商業主義という理由だけで仕事をやめてしまうという必要はない。しかし、それ以外の場合は、資本主義を完全に拒否する社会主義になる必要がある」と語りカバー作品の制作を養護しています。
2-8.『BOMB LOVE(少女と爆弾)』(2003年)
2003年に制作されたプリント作品で「戦争と愛」の二項対立を探求したバンクシー初期の代表的な作品です。
微笑むポニーテールの少女が爆弾をあたかもぬいぐるみかのように抱きしめる構図です。
現代社会において、まるで玩具のように戦争や兵器を作り出す政府や政治を無垢な少女に例え、子どもっぽさを批判しています。
背景に目をひくピンクが用いらることで人物を強調しポップな作品となっています。
2-9.『Napalm(ナパーム)』(2004年)
資本主義の表の顔として「ミッキー」と「ドナルド」。
その裏で戦争で苦しむ子どもをモチーフにし反戦や資本主義の矛盾を指摘している作品です。
中央の少女は1972年ベトナム戦争の最中にパーム弾で衣類も皮膚も焼失した9歳のキム・フックさん。
資本主義を共産主義から守るという名目で300万人以上の命を奪ったベトナム戦争や戦争そのものを皮肉っている作品です。
2-10.『What are you looking at?(何を見ているんだ?)』(2004年)
『What are you looking at?(何を見ているんだ?)』はロンドンのある壁に設置されている監視カメラに「何を見ているんだ?」と壁に描いた、かなりシンプルな作品です。
ロンドンには監視カメラ(防犯カメラ)が多く、14人に対して1台のカメラが設置されていると言われています。
「何のためにそんなに多くの映像を撮っているのか?」
「集めた映像やデータはどのように使っているのか?」
人のプライバシーや法律を無視し多く政府は国民や市民に関する膨大な情報を集めて利用していることが内部告発によって複数明らかになっています。
技術の進歩を権力者が悪用するこの時代に疑問符を投げかける一作です。
2-11.『SHOW ME THE MONET(モネを見せてくれ)』(2005年)
『SHOW ME THE MONET(モネを見せてくれ)』は巨匠「クロード・モネ」が描いた「睡蓮の池(1899)」を再構成している作品です。
タイトルは「モネ」と「マネー」のダジャレで皮肉が込められ、不法投棄による環境破壊や現代の消費主義の醜さなどが織り込まれています。
2-12.『Barely Legal(かろうじて合法)』(2006年)
『Barely Legal(かろうじて合法)』はカリフォルニア州ロサンゼルスで2006年9月16日に開催された無料の個展です。
インド象「Tai」が展示物の一つとして展示され、部屋の壁紙にあわせて象の身体に絵柄がペイントされました。
貧困など大勢が無視している課題に目を向けることが作品の狙いであり、「問題があっても、誰もその問題について触れようとしない」という英語の慣用句「Elephant in the room」のメタファーとして象が展示されているのです。
2-13.『Well Hung Lover(吊るされた愛人)』(2006年)
『Well Hung Lover(吊るされた愛人)』は2006年に制作されたストリートアートで、イギリスのブリストル、フロッグモア・ストリートに描かれました。
裸体の男が窓に片手でぶらさがり、窓にはスーツ姿の男性が裸体の男性に気づかず違う方角を見、隣には下着姿の女性がいます。
性的衛生医療の観点から制作された作品で、市議会による検閲を経てイギリス国内において最初の合法的な作品になりました。
裸体が描かれているのにもかかわらず、遡及的な許可がおり保護されています。
2-14.『Armored Dove of Peace(狙われた鳩)』(2007年)
オリーブの枝を加えた鳩は平和の象徴ですが、この作品の鳩は防弾チョッキが必要なくらい常に銃口を向けられています。
パレスチナ・ベスレヘムの壁に描かれた作品で鳩の周りには本物の銃弾の弾痕が多く残っています。
和平が進まないイスラエル・パレスチナ問題をテーゼとし、鳩を狙う銃口は平和が訪れることを良しとしないものが向けているのでしょうか。
2-15.『Donkey Documents(ロバと兵士)』(2007年)
『Donkey Documents(ロバと兵士)』イスラエルとパレスチナを分断する8メートルの壁に描かれたグラフィックアートで、ロバの身分証をイスラエルの兵士がチェックしている構図です。
パレスチナへの侮辱と捉えたタクシー運転手が友人と壁ごとこの絵を切りとりオークションに出品したことで話題になりました。
紛争地域に描かれている作品だからこそメッセージ性があるにも関わらず、切り取られた作品を欧米の富豪が所有することに「芸術の価値とは何か?」論争になった作品です。
2-16.『Nola(ノラ)』(2008年)
『Nola(ノラ)』は2008年にアメリカ・ルイジアナ州ニューオリンズのマリニー地区の壁に描かれた作品です。
「傘少女」・「雨少女」とも呼ばれています。
作品名である『Nola』はニューオリンズのニックネームを指します。
2005年のハリケーン被害を主題にした作品で、傘をさす少女の周りには雨は降っておらず傘そのものが雨の原因になっている構図です。
2-17.『BANKSY VS Bristol Museum(バンクシー対ブリストル・ミュージアム)』(2009年)
『BANKSY VS Bristol Museum(バンクシー対ブリストル・ミュージアム)』はバンクシーの故郷であるイギリスのブリストルが運営する「ブリストル美術館」で開催されたゲリラ的なエキシビジョンです。
開催されるまで限られた関係者しか知らされていませんでした。
平面作品だけではなく立体作品も展示されているのが特徴。
入場料は無料で長期開催にもかかわらず連日長蛇の列ができ、最大7時間待ちになりました。
2-18.『PARKING(駐車場)』(2010年)
『PARKING(駐車場)』はアメリカ・ロサンゼルスの駐車場の横の壁に2010年に描かれた作品です。
PARKINGの「ING」が消され、Aの文字にブランコを吊るし、少女が遊んでいることから、遊び場である公園が失われ駐車場になってしまうことへの批判的なメッセージが込められています。
2-19.『Charlie Brown Firestarter(チャーリー・ブラウン)』(2011年)
『Charlie Brown Firestarter(チャーリー・ブラウン)』はアメリカ・ロサンゼルスの「ビバリー・ヒルズ」で火災に巻き込まれた建物の壁に描かれた作品です。
「チャーリー・ブラウン」は漫画『ピーナッツ』およびアニメ『スヌーピーとチャーリー・ブラウン』の主人公。
彼がタバコを加えながらガソリン容器を片手持ち、今にも放火しそうな構図となっているシニカルな一作です。
2-20.『Slave Labour(奴隷労働)』(2012年
『Slave Labour(奴隷労働)』はロンドンオリンピックの抗議として制作された作品です。
子どもがユニオンジャックの描かれた万国旗をミシンで作っており、オリンピックの記念品やダイヤモンド・ジュビリーを製造するために労働搾取する人たちへの批判が込められています。
一度オーナーによって壁から取り除かれオークションに出品されるものの、地元住民の反対により出品が取りやめられました。
しかし、その後作品が元の壁に戻ることはなく、再度オークションにかけられ売却されました。
ストリートアートの所有権を考えさせられる一作です。
2-21.『Sirens of the Lambs(羊たちのサイレン)』(2013年)
『Sirens of the Lambs(羊たちのサイレン)』は食肉産業の残酷さを問う立体作品です。
軍用貨物トラックの荷台に鳴き声のする家畜のぬいぐるみを載せ巡回しました。
バンクシーは2013年10月に1か月間ニューヨークで作品をゲリラ的に発表するシーズンを設け、その作品のうちの一つです。
2-22.『Mobile Lovers(モバイル・ラバーズ)』(2014年)
2014年にイギリス・ブリストルの壁に描かれた作品です。
男女二人が今にもキスをしようとしているがお互いの視線は手に持つスマートフォンに向かっています。
背景全体は暗いもののスマートフォンの明かりが男女の顔を照らしています。
この作品はテクノロジーに消費されリアルなつながりを奪われたりSNSに費やす時間が長すぎたりすることを揶揄し「今を生きる」ことの大切さがメッセージに込められています。
2-23.『The Son of a Migrant from Syria(シリア移民の息子)』(2015年)
『The Son of a Migrant from Syria(シリア移民の息子)』は2015年に制作された作品で、留学移民としてアメリカに居たシリア移民の息子『スティーブ・ジョブズ』をモチーフにしたものです。
フランス、難民キャンプのあるカレーの近くで描かれたもので、難民の入国を禁止したい人々は、次の「スティーブ・ジョブズ」の可能性を奪いかねないという移民や難民の理解を示すメッセージが込められています。
2-24.『Kitten(子猫)』(2015年)
『Kitten(子猫)』は2015年初頭ごろにイスラエルの攻撃を受け廃墟化したガザ地区の家の壁に描かれたグラフィティ作品です。
破壊されたガザ地区を無視してインターネットで子猫の写真ばかり見ている人々を批判しています。
2-25.『Dismaland(ディズマランド)』(2015年)
『Dismaland(ディズマランド)』は2015年にイギリスの片田舎、ウェストン・スーパー・メアの海辺のリゾートで企画・実行された作品です。
まさに「邪悪な某大型テーマパーク」で歪んだアリエルや事故った馬車など資本主義や大量消費社会を揶揄しています。
5週間で来場者数は15万人を記録し経済効果は約35億円あったとされています。
2-26.『Banksy × Basquiat(バンクシー×バスキア)』(2017年)
『Banksy × Basquiat(バンクシー×バスキア)』はアメリカのグラフィックアーティストのパイオニア的存在である「バスキア」の作品をオマージュしている作品です。
アメリカ出身の黒人で初めて有名なアーティストとなったバスキアの代表作が白人警察から職務質問を受けている構図。
黒人に対する偏見や差別への批判的メッセージが込められた作品です。
2-27.『The Walled-Off Hotel(世界一眺めの悪いホテル)』(2017年)
『The Walled-Off Hotel(世界一眺めの悪いホテル)』はバンクシーがプロデュースしたベツレヘムの宿泊施設です。
このホテルのすぐ横にはイスラエルとパレスチナを分断する壁がそびえ立っています。
窓の外からは壁とイスラエル軍の監視塔が見え、パレスチナ問題について深く考えさせられる施設になっています。
2-28.『Love Is in the Bin(愛はごみ箱の中に)』(2018年)
赤いハート型の風船が少女の手から離れている構図の「風船と少女」。
2002年に制作されてからバンクシーの代表作の一つとして知られています。
風船と少女はオークションで落札されると同時にシュレッダーに裁断されるというパフォーマンスの末、『愛はごみ箱の中に』へと改称されたのです。
シュレッダー事件により歴史史上初、オークションの最中に制作された作品として世界中から注目されました。
2021年に再度オークションにかけられ、裁断前の約18倍となりバンクシー作品の中で最も高額で落札された作品となったのです。
芸術が投資だけを目的にお金だけが吊り上がっていくことへの批判の意味が込められています。
2-29.『Season’s Greetings(クリスマスおめでとう)』(2018年)
『Season’s Greetings(クリスマスおめでとう)』は2018年にイギリス・ポートタルボットにある鉄鋼労働者のガレージの壁に描かれた作品です。
両手を広げ口を空けて食べようとしているのは雪ではなく粉塵。
地元の製鉄所から噴出される粉塵に対して抗議の意味があります。
2-30.『Devolved Parliament(退化した議会)』(2019年)
幅4メートル以上の巨大な作品でバンクシーの手がけるキャンバス作品としては最大の大きさの『Devolved Parliament(退化した議会)』。
絵画のモチーフは英国議会の下院の様子で、議論している政治家は人から猿へと置き換えられています。
2009年に発表した時は『質問時間』という名前でしたがイギリスのEU離脱に合わせて『退化した議会』と改名されました。
2-31.『Bathroom(バスルーム)』(2020年)
『Bathroom(バスルーム)』は2020年4月15日にバンクシーがインスタグラムで発表した作品です。
世界中が新型コロナの影響でロックダウンしているさなかに発表され、ストリートアートではなくユニットバス内で制作されています。
インスタグラムの投稿には「私が在宅勤務をすると、妻はいやがる」という文が掲載されています。
ネズミはバンクシー作品によく登場するモチーフの一つで資本主義と浪費に対する批判の寓意とされています。
2-32.『Game Changer(ゲーム・チェンジャー)』(2020年)
新型コロナの感染拡大の最中、現場で奮闘する医療従事者へ敬意を表すような作品です。
少年が手に持つマスクをつけ赤十字の入ったマントを羽織った看護師の人形とおもちゃ箱に投げ込まれた従来のヒーローとの対比がヒーロー像の変化を物語っています。
また、バンクシーは病院で働く人たちに「お疲れ様でした。これで少しでも明るくなるといいな。白でも黒でも」。とメモを残しているのです。
『Game Changer(ゲーム・チェンジャー)』はイギリス南部のサウサンプトン総合病院に寄贈され、同作品は2021年3月に開催されたオークションで約25億円で落札されました。
バンクシーのオークションについてはこちらの記事でランキング形式で紹介していますので、ぜひ合わせてお読みください。
2-33.『If You Don’t Mask, You Don’t Get(もしマスクをしないと、得ることはできない)』(2020年)
『If You Don’t Mask、 You Don’t Get(もしマスクをしないと、得ることはできない)』は2020年7月14日にバンクシーがインスタグラムに動画で投稿した作品です。
新型コロナウイルスが猛威をふるう中、イギリスのマスク着用義務化が発表された翌日に投稿されました。
消毒清掃員に扮した男性がロンドン地下鉄社内でくしゃみを飛ばすネズミなどの落書きを行っている内容で、マスクの着用を促すメッセージと見て取れます。
当作品はロンドン交通局の清掃員によって消されました。
2-34.『Girl playing hula hoop with bicycle wheels(自転車のタイヤでフラフープをする少女)』(2020年)
『Girl playing hula hoop with bicycle wheels(自転車のタイヤでフラフープをする少女)』は2020年10月15日イギリス・ノッティンガム市の美容室の壁に描かれた作品です。
少女が自転車のタイヤをフラフープ代わりにして遊び、その傍らには後輪のない自転車が配置されています。
環境問題や大量消費社会の風刺と共に自転車工場の町で有名なノッティンガム市との社会的距離を少女を通して表現しているのではないかと言われています。
2-35.『Create Escape(脱獄囚)』(2021年)
『Create Escape(脱獄囚)』は2021年イギリス・レディング旧刑務所の外壁に描かれた作品です。
19世紀に同性愛の罪で投獄されていた詩人・劇作家「オスカー・ワイルド」がモチーフとされています。
バンクシーの公式サイトではテレビ『ボブの絵画教室』とコラボした動画が公開され、その中で当作品が発表されました。
旧刑務所の再開発計画反対を訴える市民の運動を支援する目的があると言われています。
まとめ
バンクシーの絵35作品とその意味を紹介しました。
バンクシーは神出鬼没の覆面アーティストです。
バンクシーの絵は過度な反資本主義や消費主義などといった現代社会の問題に対して批判的なメッセージが含まれているのが特徴です。
メッセージ性の強い傾向にある一方で作品はシンプルかつストレートで万人に理解され共感されやすいというのも評価されている理由でしょう。
ぜひ、当記事を参考にあなたのお気に入りの一作を見つけてくださいね。