世界で活躍する日本人アーティスト・ロッカクアヤコ。
彼女の筆を使わずにカラフルな色彩で描かれるペインティングは、現代アートの最前線で注目を浴び続けています。
ふわっとした魅力的な空気感の中に、女の子が登場する作品を目にしたことがある方もいることでしょう。
この記事では、そんなロッカクアヤコの作品のテーマや代表作品についてまとめ、作品の画像とともに解説しています。
また、ロッカクアヤコの作品を実際に見ることのできる方法についても情報をまとめています。
ロッカクアヤコについて、この記事を読んで一緒に理解を深めていきましょう!
1.ロッカクアヤコについて
ロッカクアヤコ(本名:六角彩子)は、海外を拠点に活動する日本人の女性アーティストです。
大きな瞳をした少女が出てくる作風、手を使って描かれるカラフルな作品群、ペインティング以外にも幅広く制作をしていることで良く知られ、国内外で評価され、特にヨーロッパにおいて非常に高い評価を得ています。
1982年に千葉県に生まれた彼女は、グラフィックデザインの専門学校でイラストレーションを学び、卒業後は20歳ごろから路上での創作活動を始めて独学で描き始めます。
村上隆主催の現代美術の祭典『GEISAI#4』に参加すると、2003年にスカウト賞を受賞し、アートシーンから注目を集めることとなりました。
その後、さらなる躍進を求めてニューヨークへ訪れて国外の画廊への知見を深めたロッカクは、この時のことに対して、ロッカクは自身のインタビューで次のように語っています。
”観たこともないような大きな絵を、黒人のお客さんが鑑賞して、考えているのを目にして、アートは奥深い、と思いました。ただ観てもらうだけではなく、社会的な背景まで感じさせたり、怒りや悲しみを共有する手段になったり、ダイナミックなことができる気がしたんです。”
出典:ロッカクアヤコ アクリルに閉じ込めた二面性 (vice.com)
ニューヨークで大きな気づきを得て、制作に励んでいた彼女は2006年に再びスカウト章を受賞すると、このころからロッカクの作品はヨーロッパでたびたび紹介されるようになります。
彼女のアクティブな姿勢が、国内外で人の目に触れる機会を増やし、20代前半という早い段階で才能の芽を出していたことがわかりますね。
2.ロッカクアヤコの作品のテーマ
ロッカクアヤコは、一つ一つの絵をどういう風に描いていくか、いつも完全に決めて描きだすことはしません。
しかし、自身の手に絵の具をとって力強い手探りで創り出していくそのスタイルは一貫しており、明確にテーマがあるというわけではないながらも、ロッカク自身の中から出てくる感情・ダイナミックな動き・彼女の好きなカラフルな色彩がそのままこちらに訴えかけてくるものになっています。
テーマを明確に定めていないからこそ、明るい色彩や、たびたび登場する少女のもつ雰囲気は、鑑賞する人のその時の思い・状況によってもに与える印象が異なっていくのかもしれません。
彼女の作品に登場する少女については、大きなキャンバス、またはダンボールを前にして、「ここにこんな子がいたらいいかな」と思う瞬間を捉え描き出していくそうです。
少女についてはさまざまな考察がなされていますが、
「自分のどこか一部を切り取って育てたような感覚はある。その作品によって関係性が異なる存在」
だとロッカクは答えています。
少女はロッカクが育ててきたなくてはならない重要な存在であり、ロッカクとともに歩んできた相棒のような対象なのですね。
3.ロッカクアヤコの作品の特色
3-1.作品の特色
そんなロッカクアヤコが、自分の絵について大切していることは「色」だと語っています。
元気をもらえるような色の重なりや色の流れを大切にして描き始め、前章でご紹介したように、何を描くかどうかはいつも決めないそうです。
自身の身体を十分に動かし、手のひらに絵の具を直接とって、指の一本一本、目いっぱい手を広げた状態、手全体などを使って、キャンバスやダンボールに描きだしていくスタイルは独特で、ライブペインティングなどを行った際は多くの人に勇気を与えました。
3-2.ロッカクアヤコは奈良美智と作風が似ている?
日本が世界に誇る芸術家・奈良美智(ならよしとも)。
彼の作品にも、大きな瞳をした女の子が登場します。
ロッカクアヤコと奈良美智の作風が似ていると感じる方も多いかもしれません。
そんな2人の現代アーティストですが、性別も年代も違う二人によって、2013年にはノエビア銀座ギャラリーにて奈良美智との2人展が開催されています。
2人の描く「少女」は、一見かわいらしいながらも、じっとみていると多彩な表情を秘めていることに気が付くでしょうか。
ロッカクアヤコの描く少女は、女の子と言えそうなものから少女と表せるすこし大人びたような表情をした存在のものも登場します。そして、のびのびとした動きが特徴的です。
一方、奈良美智の描く少女は、頭が大きくかなり低年齢に見える女の子ながらも、じっとこちらを見つめ、さまざまな感情を秘めているように思えます。
また、2人は同じ油絵という技法を使っていますが、ロッカクは絵の具のペインタリーな質感を楽しんで描いているのに対し、奈良は混色をして絵の具の色味を調整しながら、繊細に描いていることが、実物を目の前にすると明らかです。
画像でも、ロッカクは背景と同じ筆のタッチで女の子を描いていますが、奈良は輪郭を明確に持って描かれながら、空気感の中に女の子がたたずんでいますよね。
一見似ているように見えながらも、それぞれの特徴があることが分かりますね。
両者の作品に、通ずる魅力と、似通っていない違う魅力があることは、奥深くて面白いですね!
4.ロッカクアヤコの代表作
多作なロッカクアヤコですが、次々と新たな試みをしています。
彼女の代表作・シリーズについて紹介していきましょう!
4-1.《Untitled》(2017)
2022年7月に東京のSBIアートオークションにて、自身の最高落札額を更新した作品です。100× 150cmの大きさで、色彩的には全体的にさまざまな淡さのピンク色、暖色をちりばめつつ、水色がアクセントになり、首をひねって何かを一見しているような女の子が特徴的です。
片腕をまげて組むようなポーズが、どこか大人の女性らしい仕草も感じさせ、かわいらしい雰囲気の質感とのギャップも魅力的と言えるでしょう。
4-2.段ボールシリーズ
彼女の代表シリーズともいえる、段ボールにペイントした作品シリーズです。もともとは経済的な理由や、失敗してもダメージがないというところから始まりましたが、素材としてのおもしろさ、油絵の具との相性に気が付いたロッカクは、彼女のキャリアの中でその可能性を広げていきます。
彼女の絵の具の明るい色使いが、段ボール本来の茶色い色味とうつくしい自然なコントラストをつくり、魅力を発揮していますよね。
近年ではオークションでも人気のシリーズで、高額で取引されています。
4-3.円形キャンバスシリーズ
キャンバスと言えば、四角いイメージがある人も多いかもしれません。
こちらの写真のような円形のキャンバスは、使いこなすことが難しいため、使用している作家はそれほど多くないのです。しかし、ロッカクアヤコは円形のキャンバスでのアプローチも見事成功させています。
キャリア初期から、キャンバス・壁・段ボールなど「どこに描くのか・何に描くのか」という実験的な試みを精力的におこなってきたロッカクアヤコは、キャリア初期から小さめのサイズで円形キャンバス作品を手掛けてきました。
近年は、1m以上の大きな円形キャンバス作品に取り組んでおり、有機的な線のイメージ、やわらかな女の子のスタイル、ふんわりとした全体の雰囲気を損なわずにさらに魅力を増して全体の世界観を伝えています。
四角いキャンバスに比べ、装飾性がつよくなり、ノスタルジックな方向に見る人の気持ちをいざなうようです。円形のもつゆるやかな印象が、ロッカクの作風の特徴を新しい領域へと押し上げています。
4-4.《OBSCURA》 シリーズ
“OBSCURA”はロッカクが2015年より取り組んで来たプロジェクトの名称でもあり、それらはアクリルの層によって構成される立体作品として初めて発表した作品です。
作品の最大の特徴は平面で表現出来ない“絵の奥行き“や”絵の後ろ姿“を描く事でしょう。
相反するそのふたつの要素を表現出来ることは、2面性をより強く浮かび上がらせる事になり、小さいスケールながらもロッカクの世界観を表現することに成功しています。
作品を並べることによっても、奥行きや関係性が新たに生まれますよね。
平面作品で壁に一列に並べることでは生み出せない、「距離」、立体的な「空間」が出来ることで、新たなもうひとつの世界が展開されているのです。
光の当たり方によっておちる影、アクリルのもつ透明性とロッカクの絵の相性のよさから、視覚的にも非常に完成度の高い作品となっています。
4-5.《Magic Hand》
千葉県立美術館での展示の際に滞在制作によって描かれた横幅7mにも及ぶ大作です。
訪れた人は、そのスケールに圧倒されたことに間違いないでしょう。
元気いっぱいに駆け回っているような子どもや、勢いのある水のイメージ、カラフルな花々なかわいらしさとともにこちらに大きな勇気を与えるようです。
中心に描かれた大きな少女は、大きく手を広げたポーズをとっており、ロッカクの手を使って描かれるダイナミックな制作スタイルをどこか彷彿とさせます。
この作品は、ダンボールを何枚か組み合わせたものに、アクリル絵の具で描かれており、ロッカクの素材への意識がダイレクトに感じられる非常に印象深い作品となっています。
5.ロッカクアヤコの作品の値段は300万円から400万円前後
ロッカクアヤコの作品は、価格面ではどのような価値があるのか気になりますよね。
現在、ロッカクアヤコの作品は平均の相場では300万円から400万円前後で取引されています。人気オークションなどでは、1000万円を超える作品もこれまで登場してきました。
作品の形態によっても値段が変動しますが、日本の若手アーティストの中では頭一つ抜けたような人気と価格の上昇が見られるため、今後も相場の上昇が予測されます。
6.ロッカクアヤコの作品を購入する方法
ロッカクアヤコの作品を、部屋に飾ったりしたい、購入したいと思った方も多いはずです。
人気のアーティストで競争率が高いため、現在手に入れることは難しく、公式では抽選販売や時間での限定販売が行われています。また、大手アートオークションでも取引されており、それらを主な購入方法として考えたほうがいいでしょう。
手に入れたい作品の形態によっても、流通している場所が異なるので、チェックしてみるといいかもしれません。
7.ロッカクアヤコの作品を見る方法
さまざまな作品を発表しているロッカクアヤコ。実際に目にして、それぞれの作品の魅力や、雰囲気を感じたいですよね。
ヨーロッパでの評価が高いロッカクですが、日本でもコレクションされて展示があったり、アート関係者にコレクションされてギャラリーで展示されたり、2020年には大規模個展を千葉県立美術館で開催したりと、日本でも目に出来る機会があります。
現在は終了していますが、2022年には日本の天王洲に位置する複合型アート施設 「TERRADA ART COMPLEX」で展示が行われ、好評を得ました。
こちらの展示は、日本で約二年ぶりとなる作品発表だったそう。
ロッカクアヤコは海外での作品発表が多いため、SNSなどでつねに動向をチェックしておくと、見逃すこともなさそうですね!
【ロッカクアヤコinstagram】https://www.instagram.com/rokkakuayako/
8.まとめ
この記事では、現代アーティスト・ロッカクアヤコの作品のテーマや代表作などについてまとめてご紹介しました。
「色」を大切にしながら、手指を使ったパワフルでダイナミックな制作方法の特色、カラフルな色彩や女の子にロッカク独自の世界観が表されていることがわかりました。
また、キャンバス・段ボール・アクリルなど多彩な表現の作品群から、視野を広げて可能性を探り続け、ハングリー精神で自身の魅力を国内外に伝えてきたことがよく伝わってきましたね。
近年では、群を抜いて高額で取引される人気アーティストの1人でもあります。
記事を読んでロッカクアヤコについて知る中で、現代アートの世界をもっと深く知りたいと考えた方や、作品を購入したいと考えた方も多いのではないでしょうか。
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本記事を読んでロッカクアヤコの作品に興味を持った方は是非、Artisを利用してさまざまな現代アートにも視野を広げてみてくださいね。