世界を舞台に活躍しているアーティスト杉本博司の代表作である「海景」。
シンプルでスタイリッシュな作品を、一度は目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな魅力的な作品を制作している杉本博司という人物や、どのようにして作品が生まれたのか、作品のコンセプトなど、具体的な作品紹介を行いながら解説します!
また、「海景」についてより深く知りたい方向けに、購入方法もご紹介しています。
この記事を通して、是非、杉本博司の「海景」についての知識を深めて頂けると幸いです。
1.杉本博司について
海景の作者である杉本博司。
建築家や演出家としても活動されていますが、主に写真家、現代美術作家として有名です。
台東区出身の杉本博司は主に東京とニューヨークを活動の拠点としており、作品は厳密なコンセプトと哲学に基づき制作されています。
立教大学卒業後、ロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインで写真を学びます。
ニューヨークで写真家のアシスタントなどをした後、1975年に写真作家として生きる道を選び、自らのスタジオを構えました。
彼は主に8×10の大判カメラを使用して制作を行っています。
照明や構図、現像における制作過程における技術的側面も高い評価を受けています。
杉本博司が渡米した頃のアメリカは、メディア映像の氾濫による現実の変容が指摘されており、あるがままの世界を写そうとするストレートフォトグラフィの理念の失効や、絵画的な表現を写真表現によって行うピクトリアリスムの再評価が主張されていました。
写真においてもモダニズムが問い直され、ポストモダニズムが盛んになった時期でした。
そんな中でしたが、杉本博司は「ポストモダン時代を経験したポストモダン以前のモダニスト」という立場を自認しています。
技法では構図や照明の計算により絵画的な画面を実現し、ピクトリアリスムに接近していますが、「真実らしさで満ちている世界では、写真が真実を映し出すことはできない」としつつ、「写真には嘘をつかせない」というモダニズム的な倫理を守る姿勢をとっています。
そのため、写真に嘘をつかせないために明らかに人為的で嘘だとわかるジオラマや蝋人形を撮影したり、表象不可能な「時間」を撮ろうとしたりしてきました。
1960年代頃から世界的に活発化したコンセプチュアル・アートの影響を強く受けたこともあり、視覚的な要素よりもコンセプトや哲学に重きを置く傾向が強くなっています。
作品は歴史と存在の一過性がテーマになっており、経験主義と形而上学の知見を裏付けに、西洋と東洋の狭間に観念の橋渡しをしようとする意図を持って時間の性質、人間の知覚、意識の起源を探求しています。
2.杉本博司の「海景」のコンセプト
そんな世界的に写真作家として活躍する杉本博司の代表作が「海景」です。
海景は1980年ごろに発表され、この作品を機に杉本博司の名声は決定的なものになりました。
世界各地の水平線を上下均等な構図で撮影したシリーズ作品で、画面上部に空を、下部に海をグレースケールで映し出し、空と海以外何もない海景はミニマルアートの平面的な表現とも読み取られます。
海景シリーズは、「古代人が見ていた風景を現代人も見ることは可能なのか」という問いが発端となって生まれました。
特定の場所で撮影され、その具体的な場所がタイトルになっているのとは対照的に、抽象化、普遍化された作風が特徴です。
古代人の見ていた風景を現代人が見ることができるのかという問いそのものが、歴史と存在の一過性という杉本博司のテーマにぴったり重なっています。
テーマと問いのどちらが先にあったのかは分かりません。
ですが、それぞれが存在する必然性が「海景」という作品を世界に広めたひとつの要因になっているのかもしれませんね。
3.杉本博司の海景
海景シリーズは「現代の進んだ技術の先に存在する海や空気は、今存在しているそれらとは異なっているかもしれない」という考えに基づいた記録的な作品であると同時に、地球の数十億年という歴史を感じさせる壮大な作品であるとも言えます。
モチーフの風景は杉本博司の子供の頃の記憶から着想を得ており、記憶の中にゆっくりと浮かび上がってくる普遍的な海のイメージを写真にしています。
以下、実際の海景シリーズを5点ご紹介します
《371 MARMARA SEA SILIVLI》 1991年 35.5×46.5cm
《357 IONIAN SEA SANTA CESAREA》 1990年 35.5×46.5cm
《366 BLACK SEA OZULUCE》 1991年 24×31cm
《322 MEDITERRANEAN SEA CASSIS》1991年 24.0×31.0cm
《340 TYRRHENIAN SEA AMALFI》1990年 24×31cm
3-1.もっと見たい人は青幻舎『杉本博司 SEASCAPES』を読もう
さらに杉本博司の作品を見てみたい方はぜひ作品集を手に取って見てください。
定価:8,580円
30年にわたる杉本博司のライフワークとも言える海景シリーズ215点が収録されています。
4.杉本博司の「海景」を購入する方法
杉本博司の作品はネットや画廊で比較的簡単に購入することができます。
先ほどご紹介した海景シリーズのオフセット版画作品は、ほとんどが10万円前後で比較的安価に入手することが可能です!
杉本博司の作品を購入するおすすめの方法は以下の通りです。
【草間彌生の作品|おすすめ購入方法】
- 画廊での購入
- 百貨店(デパート)での購入
- 個展・合同展での購入
- インターネットでの購入
以上の購入方法のメリット・デメリットを表にしてみました。
お近くの画廊や百貨店やインターネットをぜひチェックしてみてくださいね。
購入方法 |
メリット |
デメリット |
画廊 |
・贋作の心配がない ・画廊のスタッフから作品の説明を受けられる ・今後人気になりそうなアーティストを見つけられる ・入店は無料 |
・入店のハードルが高い ・手軽に買える価格帯の作品が少ない |
百貨店 |
・入店のハードルが低い ・百貨店のスタッフから作品の説明を受けられる |
・手軽に買える価格帯の絵が少ない |
個展・合同展 |
・アーティスト本人が主催しているため贋作の心配がいらない |
・アーティスト本人が値付けしているため、価格帯はピンキリ。 ・入場には予約やチケットの購入が必要な場所もある |
インターネット |
・販売価格がお手頃な作品もある |
・購入する絵が贋作の可能性がある |
ぜひ、表を参考にして杉本博司の作品の購入を検討してみてくださいね。
5.まとめ
本記事では杉本博司の「海景」についてご紹介させていただきました。
なんとなく「海景」の写真を目にしたことがある人も多いとは思いますが、そのコンセプトや哲学の部分はなかなか知られていないと思います。
眺めていると不思議な感覚に陥る海景シリーズですが、その裏には杉本博司の明確なコンセプトと緻密な技術があり、世界的な評価を受けている理由が少しでも分かっていただけたら幸いです。
ぜひ作品集からでも手に取って、時間を超えた作品を生活の一部に添えてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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本記事を読んで杉本博司の「海景」を始めとする現代アートの作品に興味を持った方は是非、Artisでの購入を検討してみてはいかかでしょうか。