フェリシアン・ロップスの代表作は?作品が鑑賞できる場所も紹介 | Artis

フェリシアン・ロップスの代表作は?作品が鑑賞できる場所も紹介

フェリシアン・ロップスの代表作は?作品が鑑賞できる場所も紹介
出典:フェリシアン・ロップス美術館 https://www.collections-musee-rops.be/fr/notice/g-e0783-2-satan-semant-l-ivraie-a878b769-6c30-4e4c-b565-c7aa0a35a988

ベルギーの代表的な画家のひとりがフェリシアン・ロップスです。

妖艶な作風で知られ、象徴主義を先取りした画家ともいわれています。

今回は、フェシリアン・ロップスの代表作を紹介するとともに、作品を鑑賞できる場所も紹介します。

1.フェリシアン・ロップスとは

フェシリアン・ロップスは、1833年にベルギー・ナミュールで誕生しました。

裕福な家庭の一人息子として十分な教育を受け、ノートル=ダム・ド・ラ・ペ中等学校時代にはすでに挿絵を描いています。

15才で美術学校に入学しますが、同年に父親が亡くなりました。

その後、叔父が後見人となりブリュッセル大学で法律を学びながら、アトリエ・サン=リュックで絵画のスキルを高めます。

さらに、亡くなった父の遺産を受け継いだことをきっかけに、風刺雑誌「ウイレンスピーゲル」を発刊し注目を集めました。

1862年にパリに移住したロップスは、フランスの画家であるブラックモンやジャックマールに師事し、エッチングを習得します。

その流れから、象徴主義の作風に代わり、詩人・小説家のゴーティエやリラダンなどの作品に挿絵を提供するようになりました。

挿絵の他にも写生画を手がけ、1868年にはブリュッセル美術自由教会の設立にも携わります。

同会の副会長となったロップスは、代表作である「踊る死神」を描きました。

晩年は眼病に苦しめられ、1898年に65才でその生涯を閉じます。

2.フェリシアン・ロップスの代表作

フェリシアン・ロップスの代表作の中から3作品を紹介します。

2-1.聖アントワーヌの誘惑

聖アントワーヌの誘惑

出典:ベルギー王立図書館
https://uurl.kbr.be/1917895

聖アントワーヌの誘惑は、1878年に描かれたフェリシアン・ロップスのパステル作品です。

ロップスの傑作ともいわれており、1884年に開催されたベルギーのアーティストによる「20人展」にロップスが招待された際に初めて展示されました。

ロップスの特徴でもある象徴主義が反映された作品で、カトリック協会や教皇の権力に反する反教権主義の思想も踏まえて描かれています。

2-2.踊る死神

踊る死神

出典:フェリシアン・ロップス美術館
https://www.collections-musee-rops.be/fr/notice/g-e0928-mort-au-bal-masque-la-7d28782a-5587-41ae-aa1c-e577baeaa5c8

フェリシアン・ロップスが1860〜1865年ごろに描いたとされるエッチング作品のひとつが「踊る死神」です。

着物のような衣装をまとった死神が踊る姿を描いた作品で、一見すると背筋が凍るような恐ろしい印象を与えます。

実は、この衣装はカトリック司祭が着る衣装です。

反教権主義を謳っていたロップスの思想が大いに反映されている作品といえるのではないでしょうか。

2-3.娼婦政治家

娼婦政治家

出典:フェリシアン・ロップス美術館
https://www.museerops.be/oeuvres-majeures

1878年に制作された「娼婦政治家」もフェリシアン・ロップスを代表する作品のひとつです。

手袋とストッキングだけを纏ったほとんど裸の女性がブタを連れて歩いています。

西洋でブタは、食べることと交尾のみをする本能をむき出しにした動物の象徴です。

この作品では、ブタと娼婦を並べて描くことで、対価を得るために性行為をする娼婦を私利私欲に走る政治家に重ね合わせているといわれています。

2-4.毒牙の種を蒔くサタン

毒牙の種を蒔くサタン

出典:フェリシアン・ロップス美術館
https://www.collections-musee-rops.be/fr/notice/g-e0783-2-satan-semant-l-ivraie-a878b769-6c30-4e4c-b565-c7aa0a35a988

1882年に制作された「毒牙の種を蒔くサタン」は、ミレーの「種を蒔く人」をイメージさせる作品です。

ミレーの作品は、貧困に苦しみながらも力強く働く農民を讃えたものですが、政治に対する批判と捉えられたことから当局に目をつけられていました。

この出来事を皮肉として表現したのが「毒牙の種を蒔くサタン」です。

一見すると、ミレーをマークしていた政治に対する批判に感じますが、実はミレーの作風を批判する意味が込められているといいます。

実際、ロップスはミレーの作品に対して「陰鬱で宿命的な不幸を見せびらかしている」と評しており、まさしくその考えが表現された作品といえるでしょう。

3.フェリシアン・ロップスの作品が鑑賞できる場所

フェリシアン・ロップスの作品は国内外で鑑賞できます。

ここでは、その中から2つの美術館を紹介します。

3-1.フェリシアン・ロップス美術館

フェリシアン・ロップス美術館は、ロップスの生まれ故郷であるベルギー・ナミュール市街に位置します。

19世紀の邸宅を改修・拡大した建物で、当時の様子を感じながらロップスの作品を楽しめる施設です。

所蔵されている作品数も豊富なので、ロップスの作品に魅了されている方は一度訪れてみたい場所といえるでしょう。

3-2.独立行政法人国立美術館

東京都千代田区にある独立行政法人国立美術館にもフェリシアン・ロップスの作品が所蔵されています。

同施設には「呪文」や「犠牲」といったロップスの代表的な版画作品のほか、挿絵として提供された作品も多数所蔵されており、日本でもロップスの息吹を感じられる貴重な場所です。

4.まとめ

今回は、フェリシアン・ロップスの代表作や鑑賞できる場所を解説しました。

複数の代表作を生み出した画家であり、一度は本物を目にしたいという方も多いでしょう。

ロップスの故郷であるベルギーだけでなく、日本でも所蔵している施設があるのでぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

 

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