個性的な自画像を描く女性画家として知られるフリーダ・カーロ。
彼女の作品には従来の芸術家には見られなかったインパクトがあり、現代芸術史においても重要な地位を確立した存在といえるでしょう。
今回は、フリーダ・カーロの人生や代表作、買取相場を解説します。
1.フリーダ・カーロとは
フリーダ・カーロの人生は非常に壮絶なものでした。
ここでは、出生から晩年に至るまでの彼女の生き様を解説します。
1-1.大事故を機に描いた自画像
フリーダ・カーロは、1907年にメキシコで生まれました。
父親はハンガリー系ドイツ人、母親はスペインとネイティブアメリカンの血を引いており、こうした背景がカーロの作品に表現されるテーマであるアイデンティティの追求に結びついています。
また、プロの写真家であった父を手伝いながら、のちの作品につながる観察眼を磨きました。
カーロは、幼い頃にポリオに罹患し、これがきっかけで足に障害を持つことになり生涯にわたりカーロを苦しめます。
1922年、15才になったカーロは医学の世界を目指し、メキシコシティにある難関の高等学校に入学しました。
1925年、またもやカーロを悲劇が襲います。
たまたま乗っていたバスが大事故を起こし、数ヶ月もの間寝たきり状態を強いられたのです。
なんとか退院できたものの、その後も後遺症は残り続け生涯の間に30回以上もの手術を受けなければなりませんでした。
カーロにとって心身ともに大きな苦痛を与えた経験ですが、皮肉なことにこの経験が芸術表現の源となっています。
療養中に独学で絵を描き、カーロの特徴である自画像もこの頃に生み出されました。
1-2.画家としての成功
フリーダ・カーロは、画家のディエゴ・リベラと出会い結婚します。
リベラとの結婚はカーロの画風を変えるきっかけにもなりました。
例えば、カーロの代名詞でもあるロングスカートのドレスはこの時期に描かれ始めたものです。
リベラとの結婚生活は順風満帆とはいかず、不倫や離婚、またリベラとの再婚など苦悩に満ちたものでした。
さらに、2回子供を授かったものの、事故による後遺症が影響して2度の流産を経験しました。
カーロにとって大きな衝撃であり、母の死も合間って「子供の死」と「母の死」を重ねて表現した作品「My birth」を残しています。
こうした中で、カーロとリベラはともに世界を周りメキシコに対する愛国心や先住民族の伝統文化を伝える活動、政治活動に取り組みました。
メキシコの自宅には政治活動家や芸術家が集まり、こうした人脈が繋がってカーロは画家として大成功を収めます。
ルーヴル美術館ではカーロの作品である「Self Portrait – The Frame」を購入し、メキシコ人芸術家として初めてコレクションに加えられたことからも当時の人気ぶりがうかがえるでしょう。
1-3.晩年
1930年半ば、カーロとリベラはそれぞれに不倫関係に陥り、離婚することになりました。
1940年には和解し、カーロが幼少期に過ごした通称「青い家」に移り住みますが、事故の影響もありカーロは体調を悪くします。
その結果、アルコールやドラッグに溺れてしまいました。
しかし、こうした中でも制作活動に向けるエネルギーは衰えませんでした。
1950年代には自力での歩行が困難になりながらも、1953年にメキシコで初めて開催された個展には、ベッドに横たわりつつ参加しました。
最後まで自分の表現を力強く続けたカーロでしたが、1954年に47才という若さで逝去しました。
彼女亡き後も、作品に対する評価は高く、現在でも作品展が世界中で開催されています。
2.フリーダ・カーロの代表作
続いては、フリーダ・カーロの代表作の中から3つを紹介します。
2-1.いばらの首飾りとハチドリの自画像
フリーダ・カーロは多くの自画像を描きましたが、中でも著名な作品のひとつが1940年に制作された「いばらの首飾りとハチドリの自画像」です。
いばらのトゲが首に刺さり血を流した自分自身を描いた作品で、当時抱えていた苦悩が表現されています。
18才で見舞われた事故の影響が晩年になっても彼女を苦しめたことが伝わる一方で、正面を見据える彼女の表情からは辛い日々に打ち勝つ強い心も感じられるでしょう。
また、ともに描かれたハチドリは、自由や精神的な解放を表すとされています。
2-2.Portrait of Cristina, My Sister
1928年に、カーロの実妹クリスティーナを描いた作品です。
制作した当初、姉妹の関係は良好でしたが、後にクリスティーナはカーロの夫であるリベラと不倫関係に陥ります。
これにより姉妹の関係は悪化したため、妹を描いた唯一の作品となりました。
2-3.Diego y yo
亡くなる5年前に描かれた作品が「Diego y yo」です。
自画像の目には涙が浮かび、その額には3つの目を持つ夫のリベラが描かれており、リベラとカーロが不倫をしていることを示唆した作品だとされています。
同作品は、2021年11月16日に開かれたサザビーズオークションにおいて約40億円で落札されました。
この額は、女性アーティストのオークションにおける過去2番目の落札額であり、ラテンアメリカ美術と個人のオークションレコードの記録をも更新しています。
3.フリーダ・カーロの買取相場
フリーダ・カーロの作品は、現代においても非常に価値が高いものです。
特に、近年はその価値が再評価されており、アートオークションでも数十億円の価値がつくケースも少なくありません。
当然、彼女の代名詞である自画像の直筆作品であれば高価買取が期待できるでしょう。
4.まとめ
今回は、フリーダ・カーロの人生や代表作品、買取相場について解説しました。
壮絶な人生だからこそ生まれた作品の数々は、現在でも多くのアートファンを魅了しています。
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