豊かな色彩を使い大胆で躍動感溢れる作風が魅力の現代アーティスト近藤亜樹。
絵画のみならず、建築や音楽など他ジャンルとのコラボレーションでも認知されています。
今回は、近藤亜樹の魅力に迫るとともに、代表作を見ていきましょう。
1.近藤亜樹とは
近藤亜樹は、1987年に北海道で生まれました。
2012年に東北芸術工科大学大学院修了後、現在は山形県を拠点に制作活動を行なっています。
「描くことは生きること」という彼女の作品は、彼女自身がそのまま表現されたものといっても過言ではありません。
彼女の作品に大きな影響を与えたのが、2011年に起きた東日本大震災でした。
大学院在学中だった彼女にとって、絵筆を持つことすら罪悪感を感じた時期だといいます。
それでも、祈りを込めて毎日何十枚もの絵を描いたとのこと。
さらに、気持ちに一区切りをつけようとして、2016年には絵を描くことをやめて映像作品にもチャレンジしています。
また、出産も彼女の作風が変わるきっかけとなりました。
加えて、最愛の夫を亡くすという悲しい出来事もターニングポイントとなっています。
これらの出来事を正面から受け止められた彼女だからこそ、現在のダイナミックな作品が表現できるといってもよいでしょう。
以降、ますます「生きること・生命=作品」という構図が生まれ、生命力溢れる作風に昇華しています。
2.近藤亜樹の代表作
続いては、近藤亜樹の代表作を3つ紹介します。
2-1.星、光る
出産を機に描かれた「星、光る」は、生きることの喜びをそのままに描いた作品です。
2021年に山形美術館で初の個展が開かれ、こちらの作品が発表されました。
そのサイズは幅5.4メートルという大画面であり、大作としても評価されています。
全面に描かれたエネルギッシュな草花や動物、そしてそれらに囲まれて表現される母子の姿。
まさしく、近藤亜樹の代名詞ともいえる大胆な作風を存分に感じられる作品です。
2-2.ともだちになるためにぼくらはここにいるんだよ
「ともだちになるためにぼくらはここにいるんだよ」は、国際芸術祭「あいち2022」で展示された作品です。
近藤亜樹ならではの大胆なストロークが印象的な大作で、中央に描かれた太陽が鑑賞者の目を惹きます。
世界中で巻き起こる様々な問題を吹き飛ばすようなエネルギーがあり、人間は誰しもが手を取り合い助け合って生きることでよりよい未来が描けるという彼女の想いも込められている点が特徴です。
近藤亜樹が持つ深い慈愛が感じられる作品でもあり、破壊から再生、絶望から回復といった逆境を活力へと転じられる力強さが溢れています。
2-3.心に花を
私たちが生きる世界は、刻一刻と変化を続けています。
科学や医学、社会情勢、文化などあらゆる分野で変化は起こり、個人レベルでも歴史は繰り広げられます。
こうした中でも止まない雨はなく、明けない夜はありません。
「心に花を」という作品は、辛い時期を乗り越えると新たな芽吹きがやってくることを教えてくれる作品でもあります。
近藤亜樹の作品には花が多く登場しますが、いずれも植物が持つ生命力を表現したものであり、鑑賞者の心を華やかにしてくれるものばかりです。
彼女自身「心の栄養剤」としてアートがあり、音楽があり、そして心に花があるといっています。
先の見えない現代だからこそ、心に花を咲かせて欲しいという近藤亜樹の想いが込められた作品です。
3.まとめ
今回は、大胆かつ生命力溢れる作風で注目を集める近藤亜樹の概要と代表作を紹介しました。
彼女は、命に関わる出来事を多々経験しており、正面から受け止めながら作品へと昇華していることがよくわかります。
悩みや問題は、誰しもに起こりうることです。
辛いときこそ、彼女の作品を鑑賞して、生命の素晴らしさを感じてみてはいかがでしょうか。