渦を巻いたように描かれたゴッホの代表作「星月夜」。
ゴッホの作品の中でも一際インパクトがあり、アートファンならずとも知っている方は多いでしょう。
今回は、ゴッホの星月夜について解説するとともに、ゴッホの生涯も紹介します。
1.ゴッホとは
ゴッホは、1853年にオランダ南部で生まれました。
幼い頃から癇癪持ちで、両親からも扱いにくい子供として捉えられており、一人遊びをすることが多かったようです。
父親が牧師だった影響もあり、聖職者を目指したこともありましたが、結果的に画家を志し、弟の経済的なサポートを受けながら活動しました。
1886年には、弟を頼ってパリに移住し、2年間の同居生活を始めます。
その後、南フランスに移ったゴッホは、同じく画家として活動していたゴーギャンとともに暮らしました。
しかし、この生活は2ヶ月も持たない短いものでした。
ゴッホとゴーギャンは、作品に対する考え方が異なっており、その結果二人の仲は悪化。
1888年12月23日には、現代にも語り継がれる「耳切り事件」が勃発します。
周囲から精神を病んでいるとみなされたゴッホは、精神病院に収容されます。
1890年、パリ近郊にあるラヴー旅館に滞在していたゴッホは、銃弾自殺を図り37歳という若さで亡くなりました。
しかし、誰も彼が亡くなった現場にいなかったことや銃弾の入り方が不自然だったことなど、彼の死には多くの謎が残されています。
こうした背景もゴッホが現在まで多くの人を惹きつける理由の一つと言えるでしょう。
2.ゴッホの代表作「星月夜」について
ゴッホの代表作は多数ありますが、中でも目を惹く作品が「星月夜」です。
星月夜は、ゴッホが精神病院に入院している最中に描かれました。
現代でも知られている「耳切り事件」直後の作品で、精神病院の窓から見える風景と言われています。
作品のメインとなるのが、中央に描かれた糸杉です。
ゴッホが入院していた病院には糸杉が多く植えられており、他の作品にも頻繁に登場しています。
星月夜には、同じくゴッホの代表作である「ひまわり」で使われた青色と黄色が多用されている点が特徴です。
夜空が渦巻いているように描かれていますが、精神状態が悪く幻覚を見ていたゴッホの目に映る情景そのものが表されているのではないでしょうか。
従来、ゴッホは人物や風景を描くことが多く、星月夜のような夜空を描いた作品は稀です。
そのため、星月夜の価値は高く、世界中の人を魅了する作品となっています。
3.ゴッホの「星月夜」が与えた影響
ゴッホの星月夜は、見る人によって様々な解釈があります。
聖書の目次録や陰陽道との関連などを聞いたことのある方も多いでしょう。
また、夜空や星を描いたことから、ゴッホ自身が「死」を感じていたと言われることもあります。
このように、星月夜は多くの人に多大なる影響を与えた作品です。
また、現代のアート表現においても、星月夜にインスパイアされた作品が多数あります。
例えば「ミッドナイト・イン・パリ」とい映画では、ポスターに星月夜が使われました。
日本でも、1990年の黒澤明監督による映画「夢」の中で、星月夜が登場しています。
その他、SFドラマやアニメーション映画でも、星月夜にインスパイアされたと思われる作品が多数見られます。
4.まとめ
今回は、ゴッホの名作「星月夜」について解説しました。
壮絶な人生を送ったゴッホが画家として活躍したのは、たった10年程度でした。
その中で生まれた数々の作品は、現代の私たちにも大きな影響を与えています。
中でも「星月夜」は、作品が生まれた背景も伴い、インパクトのある作品といえるでしょう。