3DCGやVRと従来の絵画を融合させた作品を手がける木村翔馬。
数々の個展を開き、受賞歴もある新進気鋭の作家としても注目されています。
デジタル・ネイティブ世代だからこそ表現できる作品の数々も見逃せないでしょう。
今回は、木村翔馬の経歴や代表作について詳しく解説します。
1.木村翔馬とは
木村翔馬は、1996年に大阪で生まれました。
2018年に京都市立芸術大学美術科油画専攻を卒業し、2020年には京都市立芸術大学学院美術研究科修士課程絵画専攻を修了。
同学在学中の2017年にはCAF賞2017で最優秀賞、京都市立芸術大学作品展・有志展2017で市長賞を受賞しています。
これらの受賞をきっかけに、木村翔馬の作品がアート界で認知されるようになりました。
2018年にはCAF賞の副賞として関東での個展を開催しています。
自分自身を「デジタル・ネイティブ世代」であると謳っており、従来のキャンバスを使った絵画とデジタルを使った3DCGやVRとを融合させた作風が特徴です。
展示ではVRゴーグルが用意され、鑑賞者は装着して作品を楽しみます。
2.木村翔馬の代表作
続いては、木村翔馬の代表作を3点紹介します。
2-1.水中スペック
水中スペックは、2020年にリニューアルオープンした京都市京セラ美術館で行われた作品です。
現実世界にある6点のキャンバス作品とVRの中に表現された作品が重なるように展示されています。
デジタル技術は、新たな表現方法を与えてくれる魅力的な手段ですが、その一方で思い通りに動かしづらいといった側面がある点も否めません。
こうしたもどかしさを水中の動きになぞらえて表現されたのが水中スペックです。
展示空間には、VRのヘッドセットが備えられており、3DCGも体験することができます。
2-2.絵画とVRの不確定
京都市立芸術大学作品展・有志展2017で市長賞を受賞した作品です。
ビニールキャンバスに油彩、水性顔料マーカー、油性顔料マーカーを使った絵画とVRインスタレーションを融合した作品となっています。
従来の絵画は最も古いメディアであり、そこに最新のテクノロジーを導入することで、リアルと非現実とをつなぐ実験的要素も感じられます。
また、鑑賞者の感覚を、現実世界とは異なる新しい世界へと導いてくれる作品といえるでしょう。
2-3.透明の上に描く
京都市京セラ美術館で開催された水中スペックの展示会場にて制作された作品です。
同美術館の北西エントランスにあるフリースペースの窓ガラスに描かれました。
陽の光を浴びる作品は、クリアなガラスと融合し美しいきらめきを放っています。
この空間は、無料で誰でも入場できるため、地域の人も木村翔馬の作品を楽しめる点も魅力です。
なかなか触れる機会のない現代アートが身近に感じられるようにデザインされており、これまで現代アートを知らなかった方も興味を持つきっかけになるでしょう。
3.まとめ
今回は、木村翔馬の経歴や代表作を紹介しました。
VRといえば、夢の技術でありアートも自由自在に制作できるようになると期待されていましたが、実際は不自由さもあります。
こうしたギャップを活かした木村翔馬の作品は、これからのアート界において大きな影響を与えるでしょう。
木村翔馬は、VR技術を駆使しながらも「画家」であることを大切にしています。
長時間見られる絵を「良い絵」であるとしており、彼の作品もVR作品と従来の絵画を交互に楽しむことで長く鑑賞できる点が特徴です。
木村翔馬のVR作品をきっかけに、従来の絵画を楽しむ方が増えることも期待されます。