イギリスで活動する現代アーティスト、ジュリアン・オピー(Julian Opie)
点や線、独特の色彩感覚で表される単純化されたポップな表現が、世界の人々に広く支持されています。
日本でも展覧会が行われたり、パブリックアートの設置があったり、企業とのコラボレーションがあったりと、ジュリアン・オピーの作品は注目を浴びています。
現代アートの知識を豊かにするうえで、チェックしたいアーティストの1人です。
そんなジュリアン・オピーとはどんな作品を作っているアーティストなのか?詳しく知りたい方に向けて、作品解説を交えながら代表作を見ていきましょう。
また、作品を購入したり、彼のグッズなどが気になっているという方に向けて、この記事ではグッズ情報についてもまとめています。
唯一無二の魅力を放つジュリアン・オピーについて、知識を深めてもらえたら嬉しいです!
1.ジュリアン・オピーについて
1-1.略歴
ジュリアン・オピー(Julian Opie)は、1958年イギリスロンドン生まれ。現在もロンドンを拠点にして活躍する現代アーティストです。
1983年ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジを卒業、そこで現代コンセプチュアル・アーティストのマイケル・クレッグ=マーティンに師事します。卒業後は、イギリスを代表する彫刻家たちを多く抱えるリッソン・ギャラリーで、キース・ヘリングらとともに作品が展示されると、その後数年の内に、ヨーロッパの主要な美術館やギャラリーに出品するようになったのです。
1-2.バンド「ブラー」のジャケットを手がける
ジュリアン・オピーの活動は、絵画にとどまりません。
代表的なものでは、イギリスのロックバンド・Blur(ブラー)のベスト盤『ザ・ベスト・オブ』のジャケットデザインなども彼が手掛けています。
メンバー四人の特徴を明快にとらえていながら、一目でオピーの作品と分かるとてもキャッチーなデザインですよね。
実はこのアルバムのアートワークのような人物像が表れてきたのは、1990年代後半頃からでした。風景画をそれまで主に描いてきたオピーが人物を描くようになった背景には、西洋絵画への深い分析・日本の浮世絵からの影響があります。
自分のスタイルを確立しながらも、新たなモチーフを見つけたのですね。
作風の幅を広げたオピーは、インテリア・ショップのためのポスターやクレジット・カードなどをデザインし、商業美術の分野にも幅広く進出していきました。
彼の作品は人の特徴を捉えていながらも受け入れやすい作風であるため、商業美術によって世の中の大衆にも認知されて人気を獲得していったのです。
2.ジュリアン・オピーの作品の特色
ジュリアン・オピーの作品は、「省略の美」とも評されます。
単純化された線で表される、記号化された人間や風景は、都会的で洗練された印象を受ける人も多いのではないでしょうか?
しかし、徹底的に要素を絞っているにもかかわらず、モチーフのもつ魅力や特徴、生きている対象を切り取っていることがしっかりと感じられます。
単純な形の組み合わせによって人物の動きを表現することは、簡単なことではありません。
オピーの制作方法はとても独特であり、先ほどご紹介したアルバムジャケットのようなポートレートシリーズ作品においては、モデルの写真を何百枚と撮ることから始まります。それら写真の中から、特徴が出ているいくつかの写真を重ね合わせて写し取り、精巧なトレースを行う作業を経て単純化されているのです。
とても時間を費やす作業ですが、そのようなこだわりが彼の作品がなぜか生命感を感じさせる理由になっています。
動きを表す形や、時にダイナミックに特徴を押し出した形、均一化された形、それぞれのバランスで作品が成り立っていますが、そんな作品群の中に一貫して見えてくるのは、「省略された美しさの中にその人の個性を表す」ことです。
またオピーの作品の中には、一色の線で全体の姿勢や動きを表現したものもあるのをご存じでしょうか?
一つの色を使ってしまうと、奥行きや影の表現がしづらく、ただの記号のようになってしまいがちです。しかし、画像のようなオピーの作品からは、人々の「動き」がはっきりと伝わってきますよね。
さまざまな実験と試行錯誤を行ってきたオピーだからこそ、さらに単純化された作品でもアプローチを成功させているのです。
3.ジュリアン・オピーの代表作
3-1.ポートレイトシリーズ
1990年代後半ごろから描き始め、今では広くオピーのイメージとして認識されている「ポートレイト」シリーズの中の一枚です。
つぶらな瞳が、見ている人に絵の中の人と向き合っているような気持ちを起こさせます。
絶妙な首の傾げ方、眉毛や口元が表すもとの写真を想起させる表情など、一見すると単純化されている部分に”その人らしさ”が詰まっていることが見て取れますね。
また、ポートレイトシリーズには先ほどのようなものと、目や鼻など顔のパーツを排除し、頭を円で描いた極限まで単純化させたタイプのものの2種類あります。
ピクトグラムのようなこちらの作品ですが、もともとのモデルが描かれたものはこちら。
半身をひねってこちらを見ている雰囲気はそのままに、ふと目が合ったような瞬間を表した一枚だったことが分かりました。
顔を描いていないほうでは、その人の「動き」に着目しており、描いているほうでは、その人の仕草が持つ「雰囲気」をありありと描きだしています。
ジュリアン・オピーとその人物の距離感や関係性まで伝わってくるようですね。
ポートレイトシリーズでは、タイトルにモデルとなった人物の名前が使用されています。
自分の身の回りの友人や知人などのポートレイトを多く制作しているようです。
3-2.風景画
こちらはジュリアン・オピーの最近の風景画です。
タイトルを目にせずとも、直感で青い空と自然に囲まれた道であると感じるのは、長年培われた色彩センスと線へのこだわりがなせる技でしょう。
キャリア初期の頃の風景画と比べると、極限まで単純化されてきていることが分かります。
有機的な線ではないながらも、どこか見たことのあるような、目にしたことのあるような、そんな記憶の中の場所へといざなってくれるようです。
3-3.歩く人々シリーズ
街を行き交う人々を描いた「歩く人々」シリーズ。
人を描き始めた初期から、人間の基本動作である”歩き”に注目していたオピーでしたが、近年では歩く人が集団的な構成で表されるようになっていきました。
「walking in ○○(場所の名前)」でタイトルはつけられており、さまざまな恰好をしてどこか目的の場所へ行きかう、一瞬のすれ違いを描いています。
頭は全て円で描かれているため、人々の表情は読み取ることができないのですが、なぜかその土地の雰囲気や気温が伝わってくるようです。
4.ジュリアン・オピーのグッズ3選
ジュリアン・オピーは、グッズの展開も豊富です。
実際にどんなグッズが購入できるのか、チェックしていきましょう!
4-1.ポスター
こちらは2020年にポルトガルのベラルド近現代美術館で行われた個展のポスター。
芸術性が高いながらも、インテリアや部屋の雰囲気を損なわずに主張してくれそうですね!60ドルほどで販売されています。
カラフルで立体的なデザインのものもあります。
ポスターの他にも、ハガキサイズのポストカード等があり、種類によって1000円以内のものや3万円を超えるものなど幅広い価格帯で販売されています。
4-2.ジュリアン・オピー×ユニクロ
ユニクロのTシャツブランド「UT」から発売された「ジュリアン・オピー×ユニクロ」コラボレーションTシャツです。
ホワイト×ブラックの、ファッションに取り入れやすいデザインで、どんなシーンでも着回しが効くアイテムになっています。
1,500円という手に届きやすい価格帯なのも嬉しいですね。
4-3.Tシャツ
ジュリアン・オピーの公式サイトでは、先ほどご紹介したポスター等の他に、ファッションアイテムも販売されています。
こちらのライトブルーのTシャツは、代表作の「歩く人々」がプリントされたもので、2019 年の人気が高い作品 ‘Walking in New York’です。
画像 |
出典:https://www.julianopie.com/ |
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価格 |
約6,500円 |
約5,000円 |
約6,500円 |
このように豊富なデザインで展開されており、どれもさりげない袖のロゴが素敵ですね。
それぞれサイズの展開もSサイズからXLサイズまで取り揃えているようです。
その他のグッズはこちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひ合わせてお読みください。
5.ジュリアン・オピーの作品の値段は55万円~65万円前後
ジュリアン・オピーは世界から注目されている作家で、今後の相場上昇も予想されます。
市場に流通しているオピーの作品は、主にシルクスクリーンかインクジェットプリントのもので、作品シリーズによって値段が異なりますが、平均すると55万円〜65万円程度が相場と言えるでしょう。
手に入りやすい価格帯のものでは20万円ほどから、高額なものでは100万円を軽く超えてしまうものもあります。
自分が手に入れたい作品の動向を定期的にチェックしてみるとよさそうですね。
6.ジュリアン・オピーの作品の購入方法
現在、ジュリアン・オピーの作品はネットなどで購入できることが確認されています。
個人が出品するオークションサイトか、アート作品の通信販売サービスが主な手段となっています。
一点ものではないため国内サイトでも流通はしていますが、人気のシリーズでは入手困難なものもあるようです。
7.ジュリアン・オピーの作品を見れる場所
そんな人気アーティストであるジュリアン・オピーの作品を目に出来る機会はあるのか、気になった方も多いのではないでしょうか。
日本で彼の作品を見ることができる場所についてご紹介します。
7-1.渋谷パルコ
2022年10月から11月にかけて渋谷パルコのPARCO MUSEUM TOKYOでは、ジュリアン・オピーのVR作品個展「OP.VR@PARCO」が開催されていました。
それに合わせて、渋谷パルコの公園通り側出口の自動ドアと、パルコのアートウィンドウをジュリアン・オピーが飾ったのは、「歩く人々」シリーズでした。
渋谷の街の風景に合った、現代的かつ人々のライフスタイルを想起させる作品ですね。
ジュリアン・オピーは過去にも渋谷にパブリックアートが設置されて話題になりました。
7-2.MAHO KUBOTA GALLERY
ジュリアン・オピーは、日本のコンテンポラリーアートのギャラリー、「MAHO KUBOTA GALLERY 」に所属しています。
ジュリアン・オピー | MAHO KUBOTA GALLERY
渋谷区神宮前に位置するこのギャラリーでは、2022年10月21日(金) – 11月26日(土)の期間でジュリアン・オピーの個展が開催されました。
ダンスを主題とした5点の映像作品と8点のペインティングによる新作展でしたが、MAHO KUBOTA GALLERY では定期的にジュリアン・オピーの展示を行っています。
どの展示も入場無料でどなたでも鑑賞できるので、気になった方はSNSなどで動向をチェックしておきましょう。
MAHO KUBOTA GALLERY(@mahokubotagallery) • Instagram写真と動画
8.まとめ
この記事では、現代アーティスト・ジュリアン・オピーの作品やグッズなどについてまとめてご紹介しました。
10年以上に渡り、人々を描いた作品を発表しつづけて世の中に広く支持されているジュリアン・オピーでしたが、実は風景を描いたものを制作していたり、単純化された線にも深いこだわりがあったりすることが分かりましたね!
その活動は絵画にとどまらず、アルバムジャケットなどの商業美術や、彫刻・アニメーションなどさまざまな方法で世の中の人に伝えています。作品において、彼が表し続けているテーマは「省略された美しさの中にその人の個性を表す」ことでした。
世界の名だたる美術館に作品が所蔵されているジュリアン・オピーの作品ですが、親しみやすいファッションアイテムやポスターなどでグッズの展開もされています。
実際に購入を考えた方も多いのではないでしょうか。
この記事を通して、ジュリアン・オピーについての知識を深めていただけたなら幸いです。
現在では、インターネットでも作品が購入できることが確認されているジュリアン・オピーですが、彼の作品の他にも現代アートを知りたい、手元に置きたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
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今後、ジュリアン・オピーの作品が取り扱われる可能性も大きいでしょう。
本記事を読んでジュリアン・オピーの作品に興味を持った方は是非、Artisを利用してさまざまな現代アートにも視野を広げてみてくださいね。