ポップアートの創設者「アンディウォーホル」。
当記事では彼がどのようなアーティストなのか、彼の代表作について解説しています。
また、アンディウォーホルの作品を見る方法も紹介していますので、ぜひご確認ください。
1.アンディウォーホルとは?
アンディウォーホル(1928〜1987)は60年代に活躍したポップアーティストです。
ポップアートとは新聞や広告など大衆文化を主題に繰り広げられた美術運動です。
当記事を御覧になられている方も「マリリンモンロー」や「キャンベルスープ缶」をモチーフにした作品を見たことがある方が多いと思います。
鮮やかな色彩で作られるグラフィックはアートファンのみならず多くの方々を魅了し、日本でもユニクロなどのアパレルブランドとのコラボが制作され続けています。
ユニクロだとキースへリング並みにコラボが多いですよね。
アンディウォーホルが今もなお評価される大きな理由は「馴染みのあるものや人物であってもアートになる」という新しい視点を世の中に与えたことです。
1-1.アンディウォーホルって何がすごいの?
「ポップアートの生みの親」と言われているアンディウォーホルですが、美術のみならず「インタビュー・マガジン」を創刊したり「アンディウォーホルの哲学」を執筆したり、はたまたロックバンドのプロデューサーになったり幅広い分野で活躍していました。
87歳で生涯を終えるまで常に新しいジャンルに挑戦し多くの作品を残しました。
1-2.アンディウォーホルの死因は心臓発作
アンディウォーホルは1987年2月21日にニューヨークのコーネル医療センターで胆のうの手術を受けました。
しかし22日、容態が急変し心臓発作で58歳の生涯を終えたのです。
アンディウォーホルは生涯独身でした。
2.アンディウォーホルの作品の特徴
以前のアメリカでは具体的な表現の題材を持たず自身の感情や絵具の使い分けで魅せる「抽象表現主義」が注目されていたのです。
アンディウォーホルは高校を卒業したあと商業美術を学び「広告デザイン」や「イラスト」の世界で活躍していました。
それまで抽象表現主義のアートか一点ものしか存在しないもの(キャンバス絵画など)だったのに対し「大量生産・消費」と大衆文化をテーマにしたウォーホルの作品はシルクスクリーン(版画)という方法で制作されました。
2-1.アンディウォーホル『撃ち抜かれたマリリン』が約253億円で落札
そんな彼の作品の一つ「撃ち抜かれたマリリン」が2022年5月9日にオークションで約253億円の落札額を記録しました。
20世紀の美術品として史上最高額をマークし大きな話題や議論を生みました。
それまでの最高落札額の作品は2016年に1億7940万ドルで落札されたピカソの「アルジェの女たち(バージョンO)(1955年制作)」でした。
アート市場においてウォーホルの価値がピカソと並んだと評する意見もあります。
現在、アンディ・ウォーホルの作品の落札価格が上がっている理由はこちらの記事で解説していますので、ぜひ合わせてお読みください。
3.アンディウォーホルの作品5選
撃ち抜かれたマリリンの他にも気になるウォーホルの代表作を落札額と共に解説していきます。
- 『Four Marlons』
- 『Green Car Crash (Green Burning Car I)』
- 『Triple Elvis [Ferus Type] 』
- 『Silver Car Crash (Double Disaster)』
- 『Shot Sage Blue Marilyn』
次項で各作品の詳細についても解説します。
3-1.『Four Marlons』落札額:約90億4,865万円
ウォーホルの最盛期にあたる1966年に制作され、20世紀最高の俳優と称された「マーロン・ブランド」をモチーフにした作品です。
映画『乱暴者(あばれもの)』の公開画像をもとにシルクスクリーンで描かれもので、同時期に同じ写真をもとにしたキャンバス作品は8パターン制作されており、イメージであるマーロン・ブランドが繰り返されているのは本作を含め3作です。
3-2.『Green Car Crash (Green Burning Car I)』落札額:約93億2,360万円
煙が立ち上がる自動車事故の凄惨な現場写真を鮮やかな緑色で鮮烈に描いている一作。
通信社が配信する衝撃的な報道写真をもとに制作された『死と惨事』というシリーズの中の一つです。
『死と惨事は』彼の作品の中でも美術的評価が高い作品です。
悲惨な場面もテレビや雑誌を通じて日常的に目にすることで当時のアメリカにとっては日常の一部になっていることの危機に対して事故にあった車をリフレインすることで警笛を鳴らしています。
3-3.『Triple Elvis [Ferus Type] 』落札額:約110億8,753万円
銃口をこちらに向ける『燃える平原児』の主演俳優「エルヴィス・プレスリー」。
宣伝用写真をもとにした等身大サイズの三重肖像でシャツや顔などトーンの明るい部分は背景のシルバーに溶け込んでいます。
このシルバーはハリウッドの銀幕を想起させ、ウォーホルが幼少期に目にしたカトリック教会の装飾を反映しているという解釈もされています。
3-4.『Silver Car Crash (Double Disaster)』落札額:約137億785万円
『死と惨事』シリーズの代表作の一つです。
2枚のパネルが組み合わさり一つの作品で、左面は凄惨な自動車。
特筆すべき点はシルバー一色の右側です。
銀色はたびたびウォーホルの作品に登場し、自身のスタジオでもシルバー一色の時代が存在しました。
ウォーホルにとってシルバーは特別な色で、この作品では左側で痛々しい瞬間を表現し右側で静かで温度を感じさせない”死”にも似た感情を想起させます。
3-5.『Shot Sage Blue Marilyn』落札額:約253億5,520万円
「撃ち抜かれたマリリン」はウォーホルがそれらのシリーズを重ねてスタジオに置いていたところ、銃で撃ち抜かれたというエピソードがあることがあることからこの名がつけられています。
マリリンが薬物過剰摂取で死亡したすぐ後に作品を制作したウォーホルの姿勢から、作品のタイミングをとても重要視していたのでしょう。
アンディウォーホルの作品についてもっと知りたい方はこちらの記事をご確認ください。
4.アンディウォーホルの名言
ウォーホルは数々の名言を世に送り出しています。
ここでは日本語訳も一緒に紹介していきます!
アンディウォーホルの名言
・美しくない人なんて、僕は出会ったことがない。
I’ve never met a person I couldn’t call a beauty.
・考えは豊かに、見た目は貧しく。
Think rich, look poor.
・誰もが15分間なら有名人になれる。いずれそんな時代が来るだろう。
In the future everyone will be world-famous for 15 minutes.
・退屈なことが好きなんだ。
I like boring things.
・好調なビジネスは、何よりも魅力的なアートだ。
Being good in business is the most fascinating kind of art.
12.人が死ぬなんて思えない。ちょっとデパートに行くだけだ。
I never think that people die. They just go to department stores.
・お金を稼ぐことはアートだ。働くこともアートだ。ビジネスで成功することが最高のアートだ。
Making money is art and working is art and good business is the best art of all.
・「なんでオリジナルじゃないといけないんだい?他の人と同じがなんでいけないんだ?」
But why should I be original? Why can’t I be non-original?
・「僕がこのような方法で絵を描いているのは、僕が機械になりたいからである。そして、僕がすること全て、機械のようにすること全てが、僕がしたいことなんだ。」
The reason I’m painting this way is that I want to be a machine, and I feel that whatever I do and do machine-like is what I want to do.
彼の名言は固定概念を覆すものが多く見られます。
日常にある大量生産されたものを自分の作品に使用し、その作品を大量生産できる技法で制作する。
これは当時のアート界では考えられないことでした。
もっとアンディウォーホルの名言について知りたい方はこちらの記事をご確認ください。
5.アンディウォーホルの作品を見る方法
最後にアンディ・ウォーホルの作品を見る方法をご紹介します。
2022年9月17日から2023年2月12日まで京都市京セラ美術館で「アンディ・ウォーホル・キョウト」が開催されています。
約200点+映像15作の作品が展示されており、その内100点以上は日本で初めて公開されます。
※2023年3月追記:アンディ・ウォーホルキョウトは閉展しました。
「アンディ・ウォーホル・キョウト」詳細 |
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期間 |
2022年9月17日(土)から2023年2月12日(日) |
会場 |
京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ |
時間 |
10:00~18:00 入場は閉館の30分前まで |
休館日 |
月曜日(但し祝日の場合は開館)、12月28日~1月2日 |
チケット |
<観覧料> 土日祝一般 :2,200円(2,000円) 平日一般:2,000円(1,800円) 大学・高校生:1,400円(1,200円) 中学・小学生:800円(600円) |
アクセス |
公式ホームページ参照 →https://kyotocity-kyocera.museum/access |
6.まとめ
今回はアンディウォーホルについて紹介しました。
アンディウォーホルは大衆文化と消費主義を作品のモチーフにたポップアートの創設者です。
当記事では彼の代表作の解説と日本で作品を見る方法をご紹介しました。
ぜひご参考にしてください。