仮想通貨の広がりとともに徐々に世間に存在を受け入れられ始めたNFT。ブロックチェーン技術を使うことによって、デジタルアートに真正性の概念をもたらし、取引記録や所有権も証明できるようにさせ、アートのあり方をアップデートさせている。
新たなアートの形として市場からの期待が集まり、投機目的の所有や、高額な価格などが話題になることも多い。今回はその高額で購入された話題のNFTアート3作品を紹介する。
Beeple「Everydays—The First 5000 Days」約79億円
2021年3月にアーティストのBeepleによる作品「Everydays ーThe First 5000 Days」が老舗オークションハウス「クリスティーズ」のオンラインセールにて、約75億円で高額落札された。この作品は、クリスティーズが販売した初の純粋なNFT作品であったことも話題になった。落札したのはシンガポールを拠点にした世界最大のNFTファンドである「Metapurse」の創設者であり匿名の投資家Metakovan氏。
Beepleの本名はマイケル・ジョセフ・ウィンクルマン、1981年生まれのアメリカのデジタル・アーティスト。政治的・社会的な風刺をポップカルチャーと融合させた作品で、もともとデジタルアーティストとして知られた存在だった。
「Everydays 」シリーズはBeepleが毎日デジタルアートを制作する企画であり、「Everydays ーThe First 5000 Days」はその最初の5000日のアートをコラージュした作品である。
NFT作品でありながら、「Everydays ーThe First 5000 Days」の落札価格の約79億円は、ジェフ・クーンズ、デイヴィッド・ホックニーなどに次いで、現存アーティストのオークション記録第4位となっている。
Beepleはこの作品以外にも、「Human One」や「Ocean Front」など高額で取引されるNFT作品を多く生み出している。
CryptoPunks 「#5822」約27億円
CryptoPunks(クリプトパンクス)は、NFTアート界では誰もが知る作品で、Bored Ape Yacht Club(ボアード エイプ ヨット クラブ)”と並び、世界で最も価値のあるNFTコレクションの1つである。知名度が高く投機としても人気のため、市場にあまり出回らず、2022年2月#5822が驚愕の8,000 ETH(約27億円)で売却された。
それまでのCriptoPunks最高額は2021年6月の「Sotheby’s(サザビーズ)」オーションで売却された#7523。フェイスマスクをしているエイリアン型である特徴から「COVIDエイリアン」として有名だった。その売却額の1,170万ドル(約13億6,000万円)の倍以上の値をつけたことが大きな話題となった。
CryptoPunks”史上最高額での取引で、購入者はブロックチェーンのテクノロジー会社「Chain」のCEOであるDeepak Thapliyal氏。
XCOPY「Right-click and Save As guy」約8億円
XCOPYは2018年から活躍している有名な古参のNFTアーティストで、漫画的な造形と旧型テレビの放送休止画を思わせるツギハギの点滅グラフィックが特徴的な作風で有名。
高額な値が付いたが皮肉にも、「Right-click and Save As guy」というタイトルは、インターネット上にあるデジタルデータをRight-click(右クリック)で無料で保存できることを表しており、NFTアートに対する批判を込めて2018年に発表した作品。
まとめ
話題になった高額NFTアートを紹介したが、NFTアートの知名度は日々あがっており、購入に興味を持つ人も増えてきた。購入者のすそ野が広がることにより、さらに様々な作風のNFTアートが生み出され、高額取引も増えてくるだろう。