2022年3月11日に東京国際フォーラムで開催された「アートフェア東京2022」にて、HASHIVA ART GALLARY(Satelites ART LAB)ブースより作品出展されたアーティスト森勉さんにインタビューしました。
展示作品のテーマから、作品のモチーフ、制作に関する考え方など、森勉さんがアートとどのように向き合っているかについてお話いただきました。
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森勉(Bem Mori)
慶應義塾ニューヨーク学院を経て、ロードアイランド・スクール・オブ・デザイングラフィックデザイン科卒業。アーティスト活動開始後は、国内外のアートフェアや、百貨店・メーカーとタイアップした展示など幅広い活動をしている。
森勉さんが語るオリジナル作品に対するこだわり
──今回の展示作品のテーマについて教えてください
大きく2つのテーマがあります。
1つ目は、和の文化について表現しました。昇り鯉、ニワトリ、虎、松など、和の文化にまつわるものをモチーフとして、アート作品に落とし込んでいます。江戸時代の画家、伊藤若冲の浮世絵のテイストも取り入れています。
2つ目は、自然について表現しました。昆虫標本や、軽井沢の森などをモチーフとして、アート作品に落とし込んでいます。新型コロナウイルス感染症の影響から、なかなか遠出ができない環境の中で、アート作品を通して見る人に自然を体感してほしいという気持ちがあります。
──森さんの作品は、動物をモチーフとされている作品が多い印象があります。動物を描くきっかけ等はありましたか?
幼少期にたくさんのペットを飼っていたことがきっかけになっています。特に爬虫類が好きで、爬虫類のウロコの部分を立体的な丸で描いていました。その立体的な丸が点に変わっていき、昨今の作風となっています。
今は動物だけでなく人間も描くようにしています。人間対動物の作品や、景色なども描いています。何を描くか?よりもどうやって描くか?が重要だと考えているので、モチーフは色々なものを描きたいと考えています。
最近は、風神や雷神をモチーフにした作品も描いています。
──何を描くか?よりもどうやって描くか?が重要なのですね。作品を制作するときに意識していることはありますか?
制作については、オリジナル作品を描くことを心がけています。グラフィティアート、ドット絵など、様々な作風を試していった結果や、海外で生活した経験、父親が描いていた作品の影響など、これまでの人生の積み重ねを作品で表現しています。
他人の作風のまねではなく、0から自分で考えて描くということにこだわっています。
今回のニワトリをモチーフにした作品では、これまでのしっかりアウトラインを描く手法ではなく、フラットなアウトラインで新しい作風を表現しています。これまで制作してきたクラシカルな雰囲気から、ジャズのようにふわっとした作品に仕上げることを意識して制作しました。
──今後の作家活動について、展望を教えてください
直近では、国内の展示を予定していますが、中長期的にはアメリカで個展を開催したいと考えています。アジアでは、シンガポール、台湾、上海などで個展を開催しましたが、アメリカでは10年以上開催したことがないので、チャレンジしたいです。
私自身、アメリカの美大を卒業していることもあり、アメリカの感性も入っていると感じています。日本×アメリカの感性を作品に落とし込んで、発表したいと考えています。
森勉さんはとても気さくな方で、誰に対しても明るく親切にコミュニケーションを取られている姿が印象的でした。アート制作において大切にしている「オリジナル作品」の過程の中に、アートに限らずこれまでの人生の積み重ねがあるという点も興味深く、インタビューを通して作品の楽しみ方が広がったように感じています。