「KAWS」、現代美術の世界について何か知っているならその名前を以前に聞いたことがあるでしょう。KAWSはどうやって有名になったのか、KAWSの本名は?、目がバッテンのキャラクターはどうやって生まれたのか、など解説していきたいと思います。
KAWS(カウズ)とは?
KAWS(カウズ)の本名はブライアン・ドネリー。
ブライアン・ドネリーは、アメリカ人のデザイナー兼アーティストです。1974年にニュージャージー州ジャージーシティに生まれ、ニューヨークのスクールオブビジュアルアーツでイラストレーションを学びました。大学在学時から、地下鉄や街中でグラフィティアートの活動をしていました。
現在は、画家、トイ作家、ファッションデザイナー、グラフィックデザイナー、彫刻家として活動中。キャンバスや絵画、プリントなどの平面の作品に加え、フィギュアなどのトイ、巨大な彫刻、バルーンなど立体作品も多く制作しています。
アーティストとして成功する前は、ディズニーの101ダルメーションなどのアニメシリーズの背景画家として働いていました。この経験が後の作品にも大きな影響を与えます。
KAWSのアーティストとしての人生はギャラリーから始まったわけではありません。
KAWSは幼い頃から、ニュージャージーとマンハッタンの建物に「KAWS」というマークを付けたことで知られていました。彼はすぐにこの単純なタギングから、バスの待合所や公衆電話ボックスの広告に漫画のようなキャラクターを書き加えるなど、企業広告の上から絵を描いて全く違う意味にする手法「Subvertising(サブバータイジング)」を使う独特なスタイルに移行していきました。
いくつものストリート作品をSNSに投稿し、フォロワーの数が増加していき、コレクターや批評家の注目を集めました。
KAWSの代表作「Companion(コンパニオン)」の魅力
KAWSが繰り返し利用する同じキャラクターの中でも、目のバッテンが特徴のキャラクター「コンパニオン」。
1999年、カルト・トイとストリートウェアの日本のブランド会社バウンティーハンターからのオファーで訪日。この時に最初の限定版ビニールトイ「コンパニオン」を制作し、これが大ヒットとなりました。
2008年より、エマニュエル・ペロタンが経営するギャラリーに所属します。2019年香港でサザビーズが開催したオークションでは、NIGOの個人コレクションだった「THE KAWS ALBUM」が、約16億4700万円で落札されました。
KAWSのアートトイは安いものでは数千円程度で購入することも可能です。一方、オークションではその価格が驚異的な額に高騰することもあります。
例えば、プラスチック製のフィギュアについては、2019年にHong Kongで開催されたSotheby’s主催のオークションで「Untitled (Astro Boy)」という作品が約4,700万円 (3,125,000HKD) で落札されています。また、100体限定で販売された「Companion (Black)」 は、複数点同じ作品の存在する「マルチプル」の作品であるにも関わらず、約2,100万円 ( 1,416,000HKD) という高額で落札されています。
KAWS、ユニクロ UTとのコラボTシャツが人気
記念すべき初コラボは2016年4月29日発売のCOMPANION(コンパニオン)のUTでした。
その1年後のコラボ第2弾(2017年4月28日発売)・第3弾(2017年11月23日発売)では「UT × KAWS × PEANUTS」のトリプルコラボが大ヒット。お馴染みの“XX”の眼で描かれたスヌーピーのぬいぐるみ(大・小)も人気を後押しするなど、この時から争奪戦が熾烈になります。
コラボ第4弾(2018年6月29日発売)・第5弾(2018年11月22日発売)では、「Sesame Street(セサミストリート)」とコラボし、エルモやクッキーモンスターらが左胸に刺繍で施された白ベースのポケTが大人気ですぐに完売となりました。
コラボ第6弾(2019年6月7日発売)「KAWS UT」コレクションの集大成となる「KAWS:SUMMER」・第7弾(2021年7月30日発売)も争奪戦は凄まじく、初期作品から昨今までのコラボ品は二次流通市場では今もなお高値で取引されています。
まとめ
最後に、KAWSを有名にした3つの理由をまとめます。
- シンプルで覚えやすいタグ、コピーライティングの天才
- ストリート・グラフィティの反骨精神
- UNIQLOなどファッション産業への越境