抽象画の創始者として知られるワシリー・カンディンスキーは、どのような画家だったのでしょうか。
美術評論家としても活躍した彼の作品は、現代でも高く評価されています。
今回は、ワシリー・カンディンスキーの概要や代表作と併せて買取相場や査定のポイントを解説します。
1.ワシリー・カンディンスキーとは
ワシリー・カンディンスキーは、1866年にロシア・モスクワで生まれました。
絵画を本格的に始めたのは30才を過ぎてからでした。
大学時代に法律と経済を学んだカンディンスキーは、卒業後大学教諭として働いていましたが、モネの作品「積み藁」を鑑賞したことをきっかけに、アートの世界に飛び込んだといわれています。
当時、ロシアの絵画は写実的な作品が一般的であり、印象派の代表的な作家であるモネの作品は、カンディンスキーに取って衝撃的なものでした。
1-1.抽象画の創始者
これまで絵画は写実的なものであるという概念があったカンディンスキーは、モネの作品に対して感銘を受けつつも絵の意図が理解できなかったといいます。
そこで、具体的な意図がわからなくても、色や形で絵画が成立することを確信し、絵画の研究に没頭していきました。
モスクワからミュンヘンに拠点を移し、印象派の技法を学びながら1911年に初めての抽象画を描きます。
同年、アウグスト・マッケらとともに芸術集団「青騎士」を立ち上げ、ドイツ表現主義の基礎として活動しました。
1-2.美術理論家
カンディンスキーは、制作と並行して美術評論家としても頭角を表します。
初めて抽象画を描いた1911年には、「抽象芸術論ー芸術における精神的なもの」という書籍を出版しました。
著書の中で自身の表現を「インプレッション(印象)」「インプロヴィゼーション(即興)」「コンポジション(作曲)」の3つの要素に分類しています。
1922年からはドイツの美術・建築学校であるバウハウスで教鞭を振るい、2冊目となる著書「点と線から面へ」を出版しました。
2.ワシリー・カンディンスキーの代表作
ワシリー・カンディンスキーの作品は国境、そして時代を超えて愛されています。
その中から、2つの代表作を紹介します。
2-1.コンポジションⅧ
コンポジションシリーズは、カンディンスキーを代表する作品です。
1910年から描き始め、29年間で10の作品を仕上げました。
そのうち、「コンポジションⅧ」はもっとも有名な作品として知られています。
コンポジションには「作曲する」という意味があり、この作品にも音楽的な要素が取り入れられている点が特徴です。
多様な色や形が描かれながら、不思議とバランスが保たれていることから、音のハーモニーのように色彩や形のハーモニーを大切にした作品といえます。
2-2.印象Ⅲ(コンサート)
カンディンスキーは、音が色に見えるという共感覚の持ち主でした。
「印象Ⅲ」は、1911年にアルノルト・シェーンベルクのコンサートに訪れた際、感銘を受けて描かれた作品であり、まさしく共感覚で得たものが表現されています。
2-3.TENSIONS CALMÉES
カンディンスキーは、晩年パリに拠点を構えていました。
「TENSIONS CALMÉES」は、1937年に描かれた1mを超える大作でありカンディンスキーの傑作のひとつとされています。
この頃の作品には、これまでにあった幾何学模様から有機的な形態が見られるようになりました。
どこか微生物のように見える表現は、カンディンスキーの内面を表現しているといわれています。
3.ワシリー・カンディンスキーの買取相場
抽象画の創始者とされるカンディンスキーの作品は、そのほとんどが美術館などに収蔵されており、市場に出回る数はごくわずかです。
その分、希少価値が高く、特に直筆で描かれた作品は高額で取引されています。
実際、50年にわたり個人が所有してきたカンディンスキーの作品「Tensions calmées」が2021年6月29日に開催されたサザビーズオークションに出品された際は、約32億4844万円で落札されました。
これは、この回のオークションにおける最高落札価格でした。
4.ワシリー・カンディンスキーの買取査定ポイント
カンディンスキーの作品を高値で売却してもらうための大きなポイントは、真作であることです。
鑑定書が付いているか、サインは本物かなどを確認した上で売却するとよいでしょう。
また、作品の状態も押さえておきたいポイントです。
いくら真作であっても、作品の状態が悪ければ価値が下がる可能性があります。
カンディンスキーの作品以外にもいえることですが、売却を検討している作品は丁寧に保管することが大切です。
5.まとめ
今回は、抽象画の創始者である画家・美術評論家のワシリー・カンディンスキーにスポットを当てて紹介しました。
カンディンスキーの作品は非常に希少価値が高く、市場に流通している数は多くありません。
そのため、真作であれば高値がつく可能性が高いため、買取を検討している人は一度鑑定に出してみることをおすすめします。
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