ゴッホといえば、日本でも知らない人がいないほどの著名な画家です。
数多くの作品を残しており、その魅力に惹きつけられている方も多いでしょう。
今回は、ゴッホの生涯に触れながら、代表的な作品の中から5つを紹介します。
1.ゴッホとは
ゴッホは、1853年にオランダの小さな村で生まれました。
父親が聖職者だったことから、ゴッホもまた聖職者を目指していましたが、その後画家の道を志すことになります。
幼い頃から癇癪持ちだったため、両親ですら扱いづらさを感じていたというゴッホは、弟テオのサポートを受けながら、画家としての人生をスタートさせました。
まず、テオが暮らしていたパリに移り、印象派の画家たちと交流を図ります。
いわゆる「パリ時代」と呼ばれる時期で、ゴッホにとって変化に富んだ期間となりました。
1888年には、南フランスのアルルに移り、同じく画家であったゴーギャンと暮らします。
しかし、ゴッホの不器用な性格が影響したのか、ゴーギャンとの折り合いがつかず、アルルでの暮らしは2カ月ほどで終わりました。
アルル時代に終止符を打った決定的な出来事が「耳切り事件」です。
ゴーギャンとの決裂により、精神を病んだゴッホは自分の耳を切り落としてしまいます。
この事件をきっかけにアルルの病院に入り、退院したのち南フランスに位置するサン=ミレという小さな町に移りました。
ゴッホは、新たな地で精神病院に入り療養生活を送りながら、制作活動を続けます。
その後、精神病院を退院しますが、1980年に拳銃自殺を図り、37年という短い生涯を閉じました。
画家として活動をした期間は、わずか10年という短いものでした。
2.ゴッホの代表的な作品5選
ゴッホは、短くも波乱に満ちた人生の中で、数多くの作品を残しています。
その中から、代表的な作品を5つ紹介します。
2-1.ひまわり
ゴッホの代表作といえば、「ひまわり」を思い浮かべる方も多いでしょう。
ゴッホは、短い画家人生の中で、ひまわりをモチーフにした作品を7点制作しています。
7点とも似通った構図ですが、ひまわりの本数や背景の色が異なります。
このうち2点が日本とゆかりのある作品です。
しかし、「芦屋のひまわり」と呼ばれる実業家・山本顧弥太氏所有の作品は、戦時中に紛失してしまいました。
そのため、現在世界に残っている「ひまわり」は6点のみです。
日本にある「ひまわり」は、SOMPO美術館(東京・新宿)にて展示されています。
2-2.夜のカフェテラス
南フランスのアルルで暮らしていた頃に描かれた作品の一つが「夜のカフェテラス」です。
夜空の青とガス灯で照らされた黄色いカフェテラスのコントラストが印象的で、ゴッホが得意とする色彩がふんだんに使われています。
ゴッホは、カフェが見える広場の角にイーゼルを立ててこの絵を描きました。
モデルとなったカフェは、現在も同じ場所に位置しており、「カフェ・ファン・ゴッホ」という名称になっています。
今でも多くのゴッホファンが訪れる名所です。
2-3.包帯をした自画像
ゴッホは、10年間の画家人生において約37点の自画像を描いています。
今でこそ有名になり、価値の高いゴッホの絵ですが、当時は1枚も売れませんでした。
収入が乏しい中ではモデルを雇うこともできず、自画像が増えたといわれています。
中でもひときわ目を引くのが、「耳切り事件」ののちに描かれた「包帯をした自画像」です。
痛々しい姿が、耳切り事件の壮絶さを物語っています。
この他にも、同じ構図でパイプをくわえた状態の自画像が有名です。
これら2つの作品以降、ゴッホの自画像は切断されなかった側から描くようになりました。
2-4.星月夜
ゴッホが、南フランスのサン=ミレーという小さな町にある精神病院に入院していた際に描かれた作品です。
病院の窓から見える風景を描いたといわれています。
まるで渦を巻いているように描かれている夜空は、当時のゴッホの精神状態が反映されており、彼の眼に映る情景をそのままに表現しているのではないでしょうか。
ゴッホの作品は、人物がや風景がが多いため、こうした夜空を描いた作品は珍しく、非常に高く評価されています。
2-5.花咲くアーモンドの枝
ゴッホの作家人生を支え続けた弟テオの息子が生まれたことを祝って描かれた作品が「花咲くアーモンドの木の枝」です。
この絵を描いた当時も、ゴッホは精神病院に入院中でした。
辛い心境の中で、甥の誕生はゴッホにとって大変嬉しいものだったようです。
テオからの吉報を受け取ると、すぐに「言葉では表せないほど嬉しい」という気持ちを込めた手紙を返信しています。
その後、母アンナに宛てて、甥のために白い花をつけたアーモンドの木の枝の絵を描き始めた旨を報告しており、その喜びが見るものにも伝わる作品です。
3.日本でゴッホの作品が見られる場所
ゴッホの作品は世界各国の美術館が所蔵しています。
日本も例外ではなく、全国各地の美術館でゴッホの作品を観覧可能です。
そのうちの2ヶ所を紹介します。
3-1.SOMPO美術館
前述の通り、ゴッホの代表作である「ひまわり」が所蔵されている美術館です。
1987年に損保ジャパン日本興亜が当時の価格にして約53億円で落札し、大変な話題となりました。
こちらの美術館では、常設で「ひまわり」の展示をしており、開館時間であればいつでもゴッホの作品を楽しむことができます。
3-2.ポーラ美術館
神奈川県・箱根町にあるポーラ美術館では、「ヴィゲラ運河にかかるグレーズ」「アザミの花」「草むら」の3作品を所蔵しています。
中でも「ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋」は、ゴーギャンと暮らした思い出の地であるアルルで描かれました。
ゴッホは、自然豊かなアルルの情景を、憧れを抱いていた日本の浮世絵と重ね合わせていたといいます。
他の2点は、精神病院に入院していた時に描かれたものです。
特に「アザミの花」は、日本の浮世絵を彷彿させる作品となっています。
目にすることで、ゴッホと日本の関係性が見えてくるのではないでしょうか。
ポーラ美術館では、時期によって展示作品を入れ替えています。
訪れるたびに、異なるゴッホの表情を楽しめる点が大きな魅力といえるでしょう。
4.まとめ
今回は、ゴッホの生涯と合わせて代表的な作品を5点紹介しました。
わずか10年という短い作家人生でありながら、多くの人に感銘を与える素晴らしい作品を数多く残しているゴッホ。
繊細な精神を見事に表現した作品が印象的です。
日本でもゴッホの作品を所蔵している美術館が多数あります。
代表作だけでなく、様々な作品に触れることで、その時々のゴッホの心情が伝わるでしょう。
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