世界的に有名なオークションハウスといえば、クリスティーズを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
多数の秀逸な作品が出品されるオークションとあって、落札額も相当な金額になっています。
今回は2022年12月5日〜13日に開催されたクリスティーズオークションに注目して、最高落札額TOP5を見ていきましょう。
1.クリスティーズオークションとは
クリスティーズオークションは、世界2大オークションとしてサザビーズオークションと肩を並べるオークションハウスです。
その始まりは1766年と古く、3世紀に渡り貴重な美術品を守ってきました。
創設者のジェームス・クリスティー氏は非常に魅力的な人柄で、アーティストだけでなくアートコレクターとも深い繋がりを持っていたそうです。
こうした背景もあり、クリスティーズオークションは創立後すぐに軌道に乗り、世界的にも有名なオークションハウスとなりました。
近年は、美術品や骨董品のほか、車やワイン、NFT作品など取り扱う品目も多岐に渡っています。
取引額も高額になることが多く、オークション界における落札価格TOP3はクリスティーズに出品されたものです。
2.クリスティーズの2022年のオークション結果
クリスティーズで2022年に開催されたオークションの総売上高は、84億ドル(約1兆1121億円)を記録しています。
この金額は、美術品市場史上最高とされており、前年と比べても17%増という結果になりました。
例えば、2022年5月にニューヨークで開かれたクリスティーズオークションでは、アメリカの画家アンディー・ウォーホルの作品「マリリン」が1億9504万ドル(約253億円)で落札されています。
20世紀のアーティスト作品としては史上最高額であり、いかにクリスティーズオークションで秀逸な作品が取引されているか伝わるでしょう。
3.クリスティーズオークションの結果TOP5【2022年12月5日~13日】
クリスティーズでは、世界46ヶ国に実店舗を所有しており、各国で年間約350回ものオークションを開催しています。
その中から、2022年12月5日〜13日に開催されたオークションに注目して、高額取引されたTOP5を見ていきましょう。
1位.草間彌生『Pumpkin』:693000香港ドル
草間彌生といえばかぼちゃをモチーフにした作品で広く知られています。
こちらの「Pumpkin」もそのひとつで、1983年に制作されたシルクスクリーン作品です。
彼女は、かぼちゃに人間のような温かさを感じており、そのユーモラスな姿に惚れているといいます。
また、草間彌生が前衛的なアーティストとして生きてきた人生そのものをかぼちゃで表現しているともいわれ、非常に価値の高いモチーフです。
近年、草間彌生の作品はますます高値で落札されるようになりました。
年齢を重ねてもアグレッシブに活動する彼女の表現は、この先もますます高く評価されるでしょう。
2位.DAMIEN HIRST『The Virtues – Courage; & Honesty』:529200香港ドル
DAMIEN HIRSTは、イギリスの現代アーティストです。
「生と死の関係性」を表現した作品が多いことで知られており、こちらの作品は儚さを感じさせる「桜」がモチーフになっています。
また、新渡戸稲造が説いた8つの美徳を踏まえて作成された作品でもあり、武士道で重んじる「正義」「勇気」「慈悲」「礼儀正しさ」「誠実さ」「名誉」「忠誠心」「支配」が桜のイメージと相まって表現されています。
単に桜の美しさだけでなく、日本に伝わる美徳を表現した意味深い作品といえるでしょう。
3位.ロッカクアヤコ『Untitled』:504000香港ドル
ロッカクアヤコは、近年アート界で注目を集めるようになったアーティストです。
ダンボールに手を使って描く独特の制作スタイルで、瞳の大きな少女をモチーフにしています。
2018年頃から頭角を現し、2021年に香港で開催されたクリスティーズオークションでは、彼女の落札額レコードを更新しました。
2019年に開催された村上隆主催の「GEISAI」でスカウト賞を受賞するほか、奈良美智との二人展を開催するなど今後も価値が上がることが予想されるアーティストといえるでしょう。
4位.GENIEVE FIGGIS『Driving Home』:441000香港ドル
アイルランドのアーティストGENIEVE FIGGISによる作品です。
鮮やかな色を使いながらも、不気味な印象をもたらす作風で注目を集めています。
彼女の作品が有名になったのは、Twitterでイギリス王室のリチャード王子から「作品を購入したい」というメッセージを受け取ったことが始まりでした。
それは、これまで自宅のキッチンで絵を描き続けていたという彼女の人生が大きく変わった瞬間です。
以降、一躍有名となった彼女の作品はこの度の高額落札からもわかるように、多くのコレクターを魅了しています。
5位.VU CAO DAM 『Réverie (Fantasy)』:403200香港ドル
VU CAO DAMは、1908年にベトナム・ハノイで生まれた画家です。
1932年にパリへ渡り、1949年には彼の作風に影響を与えたシャガールの隣人となりました。
彼の作品には、フランスの影響を受けた油絵だけでなく、中国古来のシルク画も反映されています。
これら二つの作風を絶妙なバランスで表現しており、彼が信じていた「伝統と西洋絵画の品質のマッチング」が実現しているといえるでしょう。
2000年に92歳で亡くなるまでフランスで過ごした彼の作品は、今でも高く評価され、各地の美術館にて所蔵されています。
4.まとめ
今回は、2022年12月5日〜13日に開催されたクリスティーズオークションで高額取引された作品TOP5を紹介しました。
日本のアーティスト作品も多く出品されており、中には新進気鋭のアーティストも頭角を現していることが伝わります。
今回ご紹介した期間に限らず、クリスティーズでは高額取引される作品が数多く出品されており、今後もますます目が離せないオークションハウスといえるでしょう。