煌めきを放つ鹿、この作品は名和晃平がデザインした「Trans」という作品です。
これは、春日大社本殿第一殿の祭神である「武甕槌命(たけみかづちのみこと)」が鹿に乗って鹿島から春日に姿を表す様子を表現しています。
見た目から華やかさを感じる一方で、歴史的な趣も感じる作品ですよね。
深い意味合いを持ち、見た目が煌びやかな名和晃平の作品を見たいと思っている方は多く存在しています。
そのため、本記事では「Trans」をはじめとした名和晃平の作品が見れる場所を紹介しています。
また、記事の後半では彼の作品の解説も行っているため、名和晃平の作品の理解を深めたい人は最後まで読んでみてくださいね。
1.名和晃平とは?
本章では名和晃平の人物像について簡潔に紹介します。
【本章でわかること】
- 名和晃平のプロフィール
- 名和晃平の経歴
1-1,名和晃平のプロフィール
名和晃平のプロフィールは以下の通りです。
氏名 |
名和晃平(なわ こうへい) |
生年月日 |
1975年 |
出身地 |
大阪府 |
職業 |
彫刻家・京都芸術大学教授・ Sandwich Inc主宰 |
名和晃平は彫刻家以外にも、大学教授やSandwich Inc主宰(名和晃平のアトリエ)といったさまざまな顔を持っています。
1-2.名和晃平の経歴
名和晃平の経歴は以下の通りです。
年度 |
内容 |
1998年 |
京都市立芸術大学美術学部美術科彫刻専攻 卒業 |
1999年 |
英国王立美術院(Royal College of Art, Sculpture course)交換留学 |
2003年 |
京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程 彫刻専攻修了博士号(美術、第1号)取得 |
2010年 |
第 14 回アジアン・アート・ビエンナーレ・バングラデシュ2010 最優秀賞 |
2011年 |
平成 23 年度京都市芸術新人賞 |
2017年 |
平成 29 年度京都府文化賞 功労賞 |
2018年 |
Pen クリエイター・アワード 2018 |
2019年 |
第32回京都美術文化賞 |
これらの経歴から、名和晃平は美術大学や交換留学で経験を積み、多くの賞を受賞されているとわかりますね。
また、名和晃平はさまざまな個展やグループ展示にも参加しています。
次項で名和晃平の経歴のポイントを解説していきます。
1-2-1.京都市立芸術大学に入学
1975年大阪に生まれた名和晃平は幼少のころよりものづくりや描画を好み、作品を作りながら小学校、中学校、高校へ進み、大学は京都市立芸術大学に進学し、大学院を卒業しています。
在学中にイギリスに留学した経験もあります。
1-2-2.咲くやこの花章を受章
院卒業後は大阪市主宰の日本から海外へ活躍が期待される作家に送られる「咲くやこの花賞」を受賞しています。
この時期には名和晃平は海外を舞台に活躍できる芸術家として期待されていました。
1-2-3.六本木クロッシングの特別賞を受賞
2007年には京都府文化賞の奨励賞を受賞し、翌年08年に六本木クロッシングの特別賞を受賞しています。
六本木クロッシングとはアートシーンを代表する芸術家を選定するために開催されるもので、受賞したことから一気に名が広がりました。
2.名和晃平の作品概念・特色
名和晃平の作品概念「PixCell(ピクセル)」。
人は「見る」や「触れる」といった視覚による触感を通してモノを感知し認識しています。
感覚に接続する境界面として「表皮」に着目し「セル(細胞・器・粒)」で世界を認識するという概念を軸にしています。
素材の表皮をセルで覆うことでモチーフの表面は球体を通してでしか見えなくなるのです。
私たちもスマホで色んなモノを見て知ることができますが、実物そのものに触れられない情報化社会との共通点があります。
多様な技法や発砲ポリウレタンやガラスビーズなど多くの素材の特性と3Dスキャンなどの最先端のテクノロジーを融合させた彫刻制作・空間表現を行っています。
3.名和晃平の作品が常設されている場所3選!
本章では名和晃平の作品を見れる場所を紹介しています。
彼の作品を見たい方は必見の内容です。
【名和晃平の作品を見れる場所】
- 森美術館
- 十和田市現代美術館
- 越後妻有 大地の芸術祭2022
- 市原湖畔美術館
3-1.森美術館
森美術館では、名和晃平の作品「PixCell-Kannon#7」が常設されているため、いつでも見ることができます。
森美術館の詳細は以下の通りです。
住所 |
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階 |
電話番号 |
050-5541-8600 |
開館時間 |
月・水~日10:00~22:00(最終入館 21:30) 火10:00~17:00(最終入館 16:30) |
休館日 |
展覧会会期以外は閉館 |
アクセス |
※森美術館は、展覧会会期以外は閉館しています。
森美術館は六本木ヒルズ森タワー53階にありますが、屋外展望台やアート作品のグッズを販売しているショップも同じビルに併設されています。
ぜひ、森美術館で名和晃平の作品を鑑賞した後は、他の施設にも足を運んでみてくださいね。
3-2.十和田市現代美術館
十和田市現代美術館では名和晃平の作品「Pix Cel-Deer#52」が常設されているため、いつでも見ることができます。
十和田市現代美術館の詳細は以下の通りです。
住所 |
〒034-0082 青森県十和田市西二番町10-9 |
電話番号 |
0176-20-1127 |
開館時間 |
美術館:9:00 – 17:00(最終入館 16:30) cube cafe&shop:9:00 – 17:00(カフェラストオーダー 16:30) |
休館日 |
月曜日(月曜日が祝日の場合は、その翌日)、年末年始 ※イベントや工事、メンテナンス等で臨時休館する可能性あり |
アクセス |
3-3.越後妻有 大地の森2022
「越後妻有 大地の森2022」では名和晃平の作品「Force」を鑑賞することができます。
「越後妻有 大地の森2022」は新潟県十和田市の越後妻有地域で20年続いている芸術祭です。
越後妻有大地の森2022で「Force」を見れる場所の詳細は以下の表の通りです。
※2022年11月上旬は繁忙期のため、予約が必要になります。
住所 |
越後妻有里山現代美術館 MonET(新潟県十日町市本町6-1) |
作品番号 |
T415 |
マップコード |
「越後妻有 大地の森2022」は越後妻有エリアを活用した展示会であるため、作品番号やマップコードで作品の場所を確認しながら、鑑賞を楽しんでみてくださいね。
4.名和晃平の注目を浴びた過去の展示会3選!
本章では名和晃平の注目されていた過去の展示会について紹介します。
【名和晃平の過去の展示会】
- 「Fountain」銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM
- 「Metamorphosis Garden(変容の庭)」GINZA SIX
- 「Oracle」GYRE GALLERY
4-1.「Fountain」銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM
名和晃平による個展「Fountain」は、銀座 蔦屋書店で行われています。
この展示会は、名和晃平と振付家のダミアン・ジャレによるパフォーマンス作品《VESSEL》《Mist》《Planet [wanderer]》の書籍刊行を記念して開催されました。
展示された作品は、版画から彫刻まで多岐にわたる作品が公開されました。
「Fountain」で公開された作品は以下の通りです。
開催期間 |
2022年4月16日(土)から2022年5月8日(日) |
公式ホームページ |
https://store.tsite.jp/ginza/event/art/26750-1843080520.html |
4-2.「Metamorphosis Garden(変容の庭)」GINZA SIX
名和晃平による作品「Metamorphosis Garden(変容の庭)」は、GINZA SIX 2Fで公開されました。
「Metamorphosis Garden(変容の庭)」は、生命と物質またはその境界線にある曖昧なものが共存する様子を表現したインスタレーション作品です。
形がそれぞれ異なる島々と雫、そこに生命の象徴としてアルミナとマイクロビーズの粒で作られた「Ether」と「Trans-Deer」が立ち上がっています。
大規模な彫刻作品でインパクトがありますよね。
開催期間 |
2021年4月12日(月)~2022年10月20日(木) |
公式ホームページ |
4-3.「Oracle」GYRE GALLERY
名和晃平の個展「Oracle」は、東京都の表参道にあるGYRE GALLERYで開催されました。
この個展では、鎌倉時代の「春日神鹿舎利厨子」へのオマージュとして、木彫金箔仕上げの「Trans-Sacred Deer (g/p_cloud_agyo)」(通称:雲鹿)が初公開されています。
開催期間 |
2020年10月23日(金)– 2021年1月31日(日) |
公式ホームページ |
https://gyre-omotesando.com/artandgallery/kohei-nawa-oracle/ |
5.名和晃平の代表作4選
本章では名和晃平の代表作を4つ紹介しています。
【名和晃平の代表作】
- 「PixCell」シリーズ
- 「Rhythm」シリーズ
- 「Direction」シリーズ
- 「Moment」シリーズ
名和晃平の作品について理解を深めたい方はぜひ、最後まで読んでみてくださいね。
5-1.「PixCell」シリーズ
「PixCell」シリーズは動物の剥製に無数のガラスを覆い、ガラスの反射により光を放つ作品です。
このシリーズは、PCの画面に現れるPixelの集合体のように、無数のCell(細胞)で「被膜」されていく様子がイメージされています。
Pixelの集合体とCell(細胞)を意識してデザインされたシリーズのため、「PixCell」というタイトルになりました。
5-2.「Rhythm」シリーズ
「Rhythm」シリーズは、サイズが異なる球体を組み合わせ、球体の配置によって律動(リズム)を表現している作品です。
本シリーズとPixcellシリーズとの共通点は球体が利用されていることですが、相違点は球体を全て平面で表現しているという点です。
平面で表現しているものの、どこか立体的に感じ、球体に引き込まれそうな作品ですよね。
5-3.「Direction」シリーズ
「Direction」シリーズは、斜めに立てかけたキャンパスに絵の具を垂らし、重力を活用して直線を描いている作品です。
直線は定規がないと描けないという概念を壊す作品で、自然の力を利用して制作された点が特徴的ですよね。
白と黒のコントラストから、力強さを感じます。
また、こちらのURLから「Direction/ Ether」の制作の様子が見られます。
→https://www.scaithebathhouse.com/ja/videos/behind_the_scenes_direction/
5-4.「Moment」シリーズ
「Moment」シリーズは、「Direction」シリーズと同様に直線で構成された作品です。
しかし、「Direction」シリーズとは制作方法に大きな違いがあります。
「Moment」シリーズは固定した機械から絵の具を垂らし、その下でキャンバスを何回もくぐらせることで完成します。
「Direction」シリーズでは、キャンパスは固定されていたのに対して「Moment」シリーズではキャンバスを動かして作品が作られています。
同じ直線が描かれているのにも関わらず、制作方法が全く異なるのは面白いですよね。
このような制作方法によって直線に躍動感を与えている点が、この作品の特徴です。
また、こちらのURLから「Moment#162〜164」の制作の様子が見られます。
→https://www.scaithebathhouse.com/ja/videos/behind_the_scenes_direction/
6.【まとめ】名和晃平
本記事のまとめは以下の4つの表の通りです。
名和晃平の作品が見れる場所
- 森美術館
- 十和田市現代美術館
- 越後妻有 大地の芸術祭2022
- 市原湖畔美術館
本記事では、名和晃平の過去に注目を浴びた展示会についても紹介しました。
再び個展を開く可能性もあります。
名和晃平の展示会にいきたいという方は、名和晃平のTwitterや下記のホームページを日頃からチェックしてみてくださいね。
名和晃平の展示会情報をチェックしたい方はこちら |
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